河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

畑193 / 花は咲く

2025年03月11日 | 菜園日誌

3月になったのに雨やら寒波やらで再度の冬眠状態。
今日あたりから春めいてくるという天気予報。
そろそろ本格的に畑活に入ろうと6時半に外に出たが寒い。
外で飼ってるメダカの水槽をのぞくと薄氷がはっている。
バイクのサドルには霜が降りている。
大きな御天道様が昇ってきたのに温度計はまだ3度。
まだまだ冬か。
ならばもう一度穴暗に入っているとしよう。

のんびりするつもりでいたのに9時を過ぎたころから気温がぐんぐん上がってきた。
氷の解けた水槽のメダカが日向ぼっこに水面へ上がってきている。
慌てて畑へ行ってビニールハウスの中の温度計を見ると35度。
野菜だって熱中症になる。
ビニールをめくり上げて涼しい空気を入れてやる。
冬だか春だか夏だか分からなくなる。

しばらくして百姓仲間のLINEグループに「ジャガイモの芽が出た!!」のメール。
もう一人の仲間からも「わしとこも出た!!!」のおっさんメール。
やっぱり春か。
やっぱり畑へいざ行かん。
いやいや待て待て。
この時期は冬と春とのせめぎあい。
羨ましいのは解るけども焦るコジキは貰いが少ない。
ならばというので何時でも畑に行くことができるように家の周りの片付け。
プランターや植木鉢の土の入れ替え。
仕終えて元の場所に配置したが土だけでは何とも殺風景。
早く花を咲かせて春にしよう!
我が相方を誘って近くの道の駅へ花を買いに行く。
買って帰ってすぐに定植。
花が咲いた玄関先は少しは賑やかになって我が家の春の準備は完了。
 友がみなわれよりえらく見ゆる日よ花を買ひ来て妻としたしむか(石川啄木)
花は人を慰めて優しくさせる。
まだまだ冬。
本当の春がくれば本当の花は花は咲く

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畑192 / はーやくこい

2025年03月05日 | 菜園日誌

昼過ぎに歩数計を見ると58歩。
昨日に続いて、今日も朝から雨。
赤い鼻緒のじょじょ履いて、おんも(=表)に出たいのだが、ままならない。

3時ころから、ようやく雨があがり、水筒に熱いコーヒー入れて畑へ。
殊更にするべきことはないから、ビニールハウスの中で、とりあえずのコーヒーをすする。
そして、おもむろにハウスの中の小さな畑の様子を確認する。
ナス・トマト・キャベツ・ブロツコリー。
まだまだ双葉だが、本葉が見えてくれば春になる。

春を迎える畑には、楽しみがたくさんある。
こないだまで、たよりげなかったレンゲの葉が、いつのまにやら青々としてきた。
こいつが、あの赤い花をさかせるのか。
露地だと気づかないが、ハウスの中だと、植物の成長の仕方がよく解る。

ほっほぉう……! キャベツはこんなふうにして玉をつくっていくのか。
花芽を包み込むように結球している。
外葉の白い葉脈は、人間の血管なんだ。

ダイコンは、なぜもこんなに根を太くするのだろう?
しかし、太腿を露わにして、なんとも色っぽい。

なーるほど……。
春になると、キャベツの玉はパカッと割れて葉を広げ、花を咲かせる。
ダイコンは、外葉が垂れて、中心部の葉が広がり、根の養分を使って花を咲かせる。
レンゲは、冬の間に、こっそりと葉を広げて大きくなって、花を咲かせるのだ。
歩きはじめた みいちゃんのように、みんな春を待っているのだ!

※清原ひとし 著『童謡画集 : やさしいおうた』,ゆりかご社,昭和27. 国立国会図書館デジタルコレクション 

コメント (2)
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畑191 / くじけないで

2025年02月26日 | 菜園日誌

今日からしばらくは暖かいというので、気温が上がった9時頃に畑へ。
気温は8度だが風が強いので寒い。
どうしよう? 明日にしようか?
今年の農作業の開始に、ジャガイモを植えるつもりで来たのだが、気持ちがくじける。
すでに25℃になっているビニールトンネルの中で、しばらく考える。
「くじける」という漢字は、どない書いたかなあ?
漢字が出てこない。
くじけている場合ではないのだ!
畝だけでもたてるとすそるか。

      ☆

まずは、管理耕運機を出して耕す。
カラスが一羽、後ろからついてくる。
去年にさんざん苦しめられた憎きカラスだ。
思わず「コラ!」と怒鳴る。
カラスは驚いてバタバタと飛び立つ。
耕運機に鋤(すき)を付けて畝をたてる。
たて終えて、畝の出来栄えを眺める。
さっきのカラスが、また、やって来て、なにやらほじくっている。
思わず「コラ!」と怒鳴る。
だが、カラスは慣れてしまったのか、飛び立つ様子がない。
こりない奴だ!
まあいい、さて、どうしよう? 続きは明日にするか?
ハウスの中から椅子を出して、悠然とほじくっているカラスを見ながらしばらく考える。
「こりない」という漢字は、どない書いたかなあ?
またもや、漢字が出てこない。
こっちが、こりている場合ではないのだ!
どうせ、ワープロで打てば、漢字は出てくる。

結局、挫けることなく、懲りることもなく、3キロのジャガイモを植えた。
今年の農作業の始まり!
今年もくじけずにやるとするか。

 ねえ 不幸だなんて 溜息をつかないで
 陽射しやそよ風は えこひいきしない
 夢は 平等に見られるのよ
 私 辛いことが あったけれど
 生きていてよかった あなたもくじけずに
     (柴田トヨ『くじけないで』)

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畑190 / 春遠からじ

2025年02月11日 | 菜園日誌

最強寒波が緩んで、3月並みの暖かさ。
こんな日にじっとしているのはもったいない。
ジャガイモでも植えるとするか。
陽気に誘われて、ウォーキング替わりに畑へ。
12月から冬眠していたから⒉ヶ月半ぶりの農作業。
久々に管理耕運機出して畑を耕す。

冬草がびっしりと生えた畑は硬い。
管理機で三往復ほど搔きまわさないと草は抜けず、柔らかくならない。
「畑の草は根っこごと抜くな」という。
雑草が根を張ることで空間をつくり、土をやわらかくしているのだという。
なるほど、そうに違いない。
しかし、これは、関東ローム層のような粒子の細かい柔らかな火山灰土壌に限ったことだ。
畝をたてずに平畝で栽培できるような、さつま芋を引っ張ったら芋づる式に収穫できる畑のことだ。
我が畑のような堆積物の多い、粘土質の畑で同じことをしたら、我が物顔に雑草が蔓延る。
            ★
書物やネット検索で野菜の栽培について調べると、同じような内容が延々と続く。
中には、したり顔に、臆面もなく、一字一句同じなどというのがある。
タキイ、サカタ、カネコなどの大手種苗会社のコピペが多い。
自然相手の野菜作りが、日本全国で同じはずがない。
地域や土地によって、栽培の時期や栽培方法は異なる。
そして、同じ地域でも、作る人間によって育てる人のスタンスは違う。
郷に入れば郷に従え。
他所の郷と同じにしていては面白くない。
我が畑が我が郷なのだ。

耕し終わって、ドカリと椅子に座って考える。
さて、畝をたててジャガイモ植えようか……?
待て待て、下手に植えて、下手に芽が出て、次の寒波で雪や霜に遭ったら元もこうも無くなる。
思えば、毎年、「ジャガイモをいつ植えようか」と同じことを考えている。
結果、毎年、同じことをする。
ジャガイモは昼夜の平均気温が10℃にならないと芽が出ない。
郷に入れば郷に従え。
大阪の平均気温が10℃になるのは3月の半ば。
陽気に誘われて勘が狂っていた。
When in Rome, do as the Romans do,
ローマへの道はまだまだ遠い。
もうしばらく、我慢して根を伸ばすとするか。
冬来りなば春遠からじ。
If winter comes, can spring be far behind.

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畑189 / 上でも下でも

2025年02月05日 | 菜園日誌

立春だというので、夕方近くに、水筒を持って畑へ。
強い風に背を押されて、すたこらすたこらの速歩き。
身体活動の強さを表す「メッツ」という単位がある。
厚生労働省のHPからの受け売りでいうと、
座って安静にしている状態が1メッツ、普通歩行は3メッツになる。
日常生活で体を動かす量の基準は、3メッツ以上の身体活動を1日1時間、1週間の合計で 23メッツ(約8時間)する必要がある。
これに加えて、少し強めの運動(例:速や歩き=約5メッツ)を一日20分以上、1週間の合計で150分以上すると寿命が伸びるのだという。
早い話、こんなの、普通に働いていれば1日で達成できる。
なのにメタボが増えるのは、デスクワーク中心、過度のカロリー摂取、高齢による活動不足、強めの運土不足ということになる。

強い風に背を押されてすたこらすたこら速歩き。
こりゃ良い運動だわい。
と思っているうちに畑に着く。
かといって、格段にすることはない。
気温は7度、慌ててビニールハウスの中に入る。
中は25度。
冷たい風に震えているビニールハウスの中で、どかりと指定席に座って、うららな春を感じる。
暦の上であろうが下であろうが、ここには春がある。
豌豆が背丈ほどに伸びて花をつけている。
水筒のお湯を紙コップに注ぐ。
少し焼酎が交じっている。
ポケットに入れて来た柿の種をつまみながら、ちびりちびり。
ずうっと前から、これがしたかった。
キャベツの葉も10枚を超えて、巻きだしている。
もう一杯注いで、ちびりちびり。

福岡の伝統野菜かつお菜(勝男菜)が、我が物顔に葉を広げている。
隣のキャベツは肩身狭そうにしている。
ハウスの中だから、まったく虫に喰われていない。
なんとも見事な葉っぱを眺めながら、最後の半分をちびりちびり。

天気予報を見ると「もうすぐ雪が降ります」。
こりゃいかんわいと、勝男菜を収穫して帰路につく。
強い風をまともに受けて、大きく黒い雪雲に向かって、のたりのたりと歩く。
これもまた、良い強めの運動になる。
家に帰ると、ちらほらと咲きだした梅に、ちらほらと雪が舞っている。
勝男菜をさっと湯がいてお浸しにして、鰹節をかけて、肴にして、ちびりちびり。
冬と春を一緒に味わう、なんとも贅沢な孤独のグルメである。

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