河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

畑――豆の花

2023年03月31日 | 菜園日誌

あすから四月。旧暦を使う俳句の季語からいえば、明日から夏になる(厳密にいえば立夏から)。
「豆の花」という季語は三月頃から咲く豌豆や空豆の花のこと。したがって、季節は「春」になる。
  畦道に豆の花咲く別れかな (星野 椿)
実がみのった「豌豆」や「蚕豆(そらまめ)」は「夏」の季語になる。
  蚕豆も豌豆も咲くや庭畠  (正岡子規)

蝶々が羽を広げているような形が豆の花の特徴。蝶形花(ちょうけいか)という。
外側に大きな花びらがあり、真ん中に二つの花びら、その中にもう二つの花びらがある。
そして、それに包まれて雄しべと雌しべがある。だから雄しべと雌しべは見えない。
ならば、どうやって受粉するのか?
真ん中の花びらに昆虫がとまると、重さで花びらが下がり、もう二つの花びらが出てくる。
昆虫はその中にもぐりこみ受粉させる仕掛けになっている。
豆の花はむやみやたらに受粉させない貞操観念の強い花である。

豌豆の花にいたっては、もっとガードが堅く、昆虫が乗っても中の花びらはむき出しにならない。
雄しべと雌しべには到達させてくれない。つまり、自家受粉しているのである。
豌豆はなぜ自家受粉の道を選んだのか?

人間のわがまま。品種改良されてしまったのである。
あるいは、人間の意思に従順にしたがったのかもしれない。
その方が確実に実をつけることができるから。
豌豆の花言葉は「必ずくる幸福」。
      朝もぎの莢豌豆にある重さ (山口昌子)

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ちょっといっぷく50  桜

2023年03月30日 | よもやま話

明治時代の小説家、評論家、翻訳家、劇作家。近代日本文学の成立や演劇改良運動に大きな影響を与えた坪内雄蔵(坪内逍遥)による高等科女子用の国語教科書にある桜の詩。軍国主義に偏る前の国粋主義(日本の文化・伝統の独自性を強調し、保守しようとする思想)的な誌です。

  桜の歌

我が国は、桜名高き花の国。
都も、ひなも春くれば、
朝日ににほふその花の
風情ぞ、やがて国ぶりと、
昔の人の歌言葉。
咲いては、かをる花の雲、
塵もとどめぬ薄くれなゐ、
すきとほる程うつくしく、
散ってはこごえぬ花ふぶき、
しべも残さぬいさぎよさ。
桜こそ、よそには咲かぬ国の花。
薔薇はかをり高けれど、
枝にとげあり、木もちさし。
桃はその実の甘けれど、
木ぶり、花ぶりひなびたり。
ああ、さくら花、国の花、
そのいさぎよさ、うつくしき。
実をむねとせで、此の花を、
めずるけだかき心こそ、
やまと心ぞ、此の心、
夢失うな末長く。

※国立国会図書館デジタルより

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ちょっといっぷく49 ご利益

2023年03月28日 | よもやま話

一昨日の雨で畑はまだ濡れている。草抜きくらいしかできない。
ほんでもって、昼から、「花見に行こか!」と車で南へ。千早街道に入って、ふと「今日は何日や?」、「28日!」。
「ほなら不動さんにでもお詣りしょ!」と、「でも」付の滝谷不動尊参拝。
日本三不動の一つで「目の神様」「芽の出る不動様」などと呼ばれる。

どっちもご利益にあやかりたい。
「おい、賽銭おくれ」、「あっ、一円しかない」。

「仏説 摩訶 般若波羅蜜多心経・・・」と般若心経を一巻唱えたつもりで、お賽銭の一円。
チャリーンではなくニャラリーンと乾いた音。どうもご利益に与(あずか)りそうにない。
露店をひやかそうと境内を出たが、店がない。昔は駅まで露店が並んでいたのに・・・。
しかたなく、帰ろうとすると、下の駐車場に15店ほどが開店していた。
乾物屋があって、干しエビを500円で売っっていたので、買おうかどうかまよっていると。
店の大将が「おいしいで!」と、シラス干しを一つかみして、私と相棒に試食させてくれる。
それを食べながら買おうかどうかまよっていると、店の奥さんが唐突に「1000円!」。
「1000円? 高いやろ!」
「三つで1000円!」
「それを早よ言わんかい!」
というので、干しエビ2つとシラス干しを購入。

ちょっと得した気分。滝谷不動の仏さんは、賽銭一円のまよえる人間にも平等にご利益をくださる。
気分よく、近くの富田林のサバ―ファームの前の「にこにこ市場」へ。
桜は満開!

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ちょっと一服48 花見

2023年03月26日 | よもやま話

石川の堤防はちょっとした桜の名所。2キロほどの堤防に桜の並木が続く。
土日ともなれば多くの人が花見に来る。
いつもならバーベキュウの美味しそうな臭いが漂ってくるのだが、焼肉どころか、あいにくの雨。
そこで、せめても絵で豪華な花見。


『嵐山桜狩之図』豊国


『千代田大奥御花見』楊洲周延

弁当も豪華に! ビールはこれ!

そして宴会! 「五座候」

ああ、酔った、酔った!

※錦絵は国立角界図書館デジタル



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一寸一服47 夜桜

2023年03月25日 | よもやま話

一週間前に植えたプリンの容器温室のトマトが芽を出し始めた。
トマトはおっちょこちょいで、少し温度をキープしてやると発芽のスイッチが入る。
しかし、雨続きで窓際に置いていても地温が上がらないのでパシッと葉を開かない。
ショートケーキ温室のナスはまだ。
ナスは寒さに弱いので慎重に発芽スイッチを入れる臆病な野菜である。

近くの堤防の桜は五分咲き。
桜はある温度になれば発芽するのではなく、2月1 日からの日々の最高気温を足して600℃になる 頃に開花する。
なかなか手堅い植物である。

今日の夜は町内の元青年団が集まって飲み会。
華麗に夜桜と思いきや焼肉屋で一杯とか。
加齢には勝てない。


※横山大観『夜桜』 東京富士美術館収蔵品データベース

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