河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

ちょっといっぷく54 らんまん

2023年04月26日 | よもやま話

今日(4/26)の朝ドラ『らんまん』で主人公の槙野万太郎が吠えていた。
「名もなき草というものはこの世にはなかっち。人がその名前や能力を知らんだけじゃ!」
これを聞いて、畑の厄介者の雑草を思い出した。

名前はカタバミ。ハート形の葉が、一部分を虫に喰われたように切れ込んでいるので、漢字では「片喰」と書く。
種をつけたのを引き抜こうものなら50㎝四方に種を弾け飛ばす。
だから、黄色い花を見つけたら、今のうちに引き抜く。
一方では「鏡草」ともいって、昔は真鍮の鏡や仏具を磨くために使われていたそうな。
葉っぱに含まれるシュウ酸という成分が、酸化銅を溶かしてくれるのだという。
実際に錆びた10円玉を磨けばピカピカになる。そんな能力をもっている。

そこで、家の周囲を一回り。
こぼれ種で生えたミツバの中にまざってピンクの綺麗な花が咲いている。
名前はムラサキカタバミ。
元々は園芸種として日本にやってきたのだが、いつしか雑草になった。
引き抜くと木子(きご)という小さな球根をたくさんつけている。
それが日本中に広まり雑草となった。
家紋になるほど身近な雑草なのだが、「要注意外来生物」という肩書を頂戴している。

引き抜こうとしたが、
「我らは自由という地面に根を張って生きるたくましき草じゃ」
万太郎の言葉に免じて今日は見逃すことにする!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

畑――ややこしい

2023年04月25日 | 菜園日誌

アサツキ。ネギより浅い緑色をしていることから漢字では「浅葱」と書く。
しかし、アサツキはネギとは違う。
アサツキはネギ科で、ネギはユリ科。
だから、アサツキがネギで、ネギはネギではない。
そんなややこしいアサツキの花が咲きだした。

ネギの白い花は目立たないが、アサツキの紫いろの花はよく目立つ。
畑の花の中でも美しい花の一つである。
放っておくと種をつけるが、球根を植えたほうが手っ取り早いので、一通り干渉して掘り起こしてしまう。
球根を植えるという意味ではワケギと同じである。

ワケギ。一つの球根からいくつもの球根ができることから漢字では「分葱」と書く。
しかし、ワケギはアサツキとは違う。
ワケギはヒガンバナ科で、アサツキはネギ科。
だから、アサツキがネギで、ワケギはネギではない。
そんなややこしいワケギが早くも休眠(葉が枯れる)しだしたので引き抜いた。

桜の開花が早かったせいか、ワケギと同じくタマネギ(早生)も根元が折れて休眠しだした。
タマネギ。丸い大きな玉ができるのできることから「頭葱」と書く。
しかし、タマネギとワケギとは違う。
ワケギはタマネギとネギをかけ合わせたのハーフで、タマネギはタマネギなのである。
ただし、どちらもネギと同じユリ科。
だから、タマネギとアサツキは違う。
タマネギはユリ科でアサツキはネギ科・・・・・

※最新の分類では玉ネギはヒガンバナ科。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

畑――ひばりのす

2023年04月23日 | 菜園日誌

町内の農業組合長や水利の組合長がいっぺんに回って来て、先週はドタバタ。
引継ぎなどでブログにまったくタッチできなかった。
ようやく、余裕ができて畑へ。
畑を一回りして野菜の状態を確認していると、畑と田を区切っている畦道にヒバリの巣を発見!
卵が三つ。ちょうど親鳥がいない時だったのでパチリ!

休憩用の椅子から7、8メートルの所なので、椅子に座って観察していると、雌鳥が帰って来て巣の周りをうろうろ。
日中は地温で温められるので抱卵しないとか。
しばらくは子どもたちが巣立つまで静かにしておいてやろう。
そう思っていると、上空で雄鳥だろうか。縄張りを主張しているのかピーチクと鳴いている。
「おおきに! ありがさんでございます」とでも言っているのか。
なんとものどかな光景に心が和んでくる。

百姓仲間で作っているライングループにトークを流すと返信。
「うちの畑でもヒバリの巣があって無事にかえった。しかし、次の日、イタチかカラスにやられていた」
弱肉強食に心が沈む!
巣立ちまで20日ほどかかるとか。
それを見届けるまでオッチャンが守ったる!

  ひばりのす  

ひばりのす
みつけた
まだたれも知らない

あそこだ
水車小屋のわき
しんりょうしょの赤い屋根のみえる
あのむぎばたけだ

小さいたまごが
五つならんでる
まだたれにもいわない

 ※木下夕爾児童詩集「ひばりのす」(光書房)より

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ちょっといっぷく54 おかいさん

2023年04月14日 | よもやま話

屋外で食べる食事は美味い。
退職前は、日曜日しか畑に行けない。
日曜日は仕事に行くより早く起きて、畑に行く。しばらくするとオ母ンが来る。一時間ほど作業をすると朝食。
オ母ンが作った弁当。俵型のお握り二つに卵焼きと漬物、紅ショウガ。小学校の時の弁当のまんま。
それでも屋外で食べる食事は美味かった。

小学生の頃、田植えや稲刈りの手伝いに行った。家に帰る間を惜しんで、昼食は田んぼの畔道にムシロ。
弁当ではなく「おかいさん」。
直径20㎝、高さ30㎝ほどのおかいさん鍋に、茶袋(ちゃんぶくろ=粉のほうじ茶を入れた木綿の袋)で煮だした茶粥。これとキュウリとナスの古漬け。
それでも屋外で食べる食事は美味かった。

我が喜志村からほど近い大ケ塚(河南町)の『河内屋可正旧記』に「奈良茶の事」という記事がある。
「昔往、南都ニ弥二ト云(いふ)者、貧キ者ニテ仕始メタリ」。
同様の記事が大和の医者の越智宣昭の『南都古記』にもあって、奈良の井戸屋弥十郎という人が初めて作ったとある。
どうやら奈良茶粥が河内に伝わったのが、喜志村の「おかいさん」なのだろう。


※「京都・大阪・三重・奈良・和歌山の茶粥 習俗と分布」早川史子他より引用

畑を耕していると、茶碗や湯呑の欠片が出てくる。
我が先祖の農家レストランの名残であるとともに、宝なのだと、捨てないでそのまま畑の土に戻している。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

畑――無農薬

2023年04月13日 | 菜園日誌

「無農薬、無肥料、自然水でなければダメなのじゃ!」という「幻の当帰」の件で思ったことは、無農薬有機栽培をするどころか、それに見合う土地を見つけることすら、いかに困難であるかということだ。
化学合成農薬や化学肥糧を使っていなくても、周りの田畑が使っていれば無農薬有機栽培とは言えない。
いきおい、山奥の草ぼうぼうの土地を開墾しなければならなくなる。それには膨大な費用と労力が必要になる。
だから農家は農薬を使用する。そして、「無農薬など有り得ない!」と豪語するまでになる。

「無農薬の野菜を食べたことありますか?」とたずねて、「はい!」と言える人が何人いるだろうか。
世界の無農薬有機農業の取組面積は、全耕地面積のうちの約1.2%程度とか。比率が高い国は、1位イタリア(15.4%)・2位スペイン(8.9%)・3位ドイツ(8.2%)・4位フランス(6.3%)。
一方、アメリカと中国は0.6%、日本にいたっては0.2%。
高温多湿で虫の活動が活発な日本は農薬を使わざるを得ない。

「虫が喰った跡があるキャベツを買いますか?」
道の駅で、山盛りに積まれたキャベツを一つ一つ手に取っさんざん選んでいるオバチャンを見ると、「どれでもええから最初に持ったキャベツを買えよ!」と言いたくなる。
100日かけて育てたキャベツが100円!
100日の間、毎日一つ一つキャベツを眺めてアオムシを捕っていたのでは労力には見合わない。
省力するために農薬を使わざるを得ない。

今年はまだ一回も農薬を使っていない。
莢豌豆は虫がつきにくい。ついたところで莢の中の豆をたべるのだから関係ない。
スナップと絹莢は若いうちに食べるので虫はいない。
田植え前の今はしばしの間の無農薬!

白菜の周りを蝶々がとんでいる。蚕豆にはアブラムシが付きだした。
そろそろ使うか!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする