八柏龍紀の「歴史と哲学」茶論~歴史は思考する!  

歴史や哲学、世の中のささやかな風景をすくい上げ、暖かい眼差しで眺める。そんなトポス(場)の「茶論」でありたい。

2018年NPO新人会・宏究学舎「講座」のお知らせ(その2)

2018-03-23 09:36:18 | お知らせです!

 昨日に引き続いて、今年の夏学期の「近代・現代史」講座のお知らせです。

 よく日本人は歴史好きと言います。
 でも、実際はどうなのかなと、わたしには疑念が多くあります。
これまで若い人びとにも、それから市民講座といったものを数々開講し、
歴史についてのお話しをしてきましたが、
そうした人びとの〝歴史好き〟の内容は、だいたいが歴史知識の獲得や
「小ネタ」的な面白話を欲しがるものだったと思います。

 そもそもこうした歴史の知識や小ネタみたいなものは、
一時期はやった「うんちく」ブームと同じで、
人より自分は知っているぞ! おれの方が詳しいぞ!
驚いただろう。ホントはこうなんだ!
 つまり、他者への優位性の誇示でしかないものです。
いうまでもないことですが、いまの日本の教育制度の悪しき根幹、
それは「受験」だろうと思われます。
この「受験」はいかように発想力や論理力を試そうとしても、
それは知識と処理能力から切り離すことはできないもので、
結局は知識を蓄え、量的なものをいかに迅速に処理することができるかで、
「受験」から導き出される学歴社会の階級差は出来上がっています。

 だから、人びとはその中で勝者である意味をよく知っているのでしょう。
あまり勉強の得意でない子も、「鉄道」だったら詳しい、「萌えキャラ」だったら一番・・・。
 つまり、知識量の〝バトル〟の中での自己実現に他なりません。
 これは一つのルサンチマンなんでしょう。

 〝歴史好き〟にも同じような状況を見て取れます。
たしかに歴史を理解する上で、歴史の知識は豊富であることにこしたことはありません。
ただしそれは、あくまでも「歴史を理解」するためのもので、
人びとの営みの機微や、その時代の人びとの辛苦や労苦、
さらにそれぞれの時代で人びとは何を渇望し、その結果、どのような歴史状況が作られていったのか。
 あくまでも「歴史」は、その生成の過程とその中でどんな美しいものが生まれ、
どれだけの惨禍が起こったのか。そうした「事実」を見極めるものであるように思います。

 無責任な「謀略史観」や面白話に貶められる歴史上の人物評価、その下卑たありようは、
人びとを一時は楽しませることにもなるでしょうが、
そんなものは「歴史」ではなく、時代という幾層も重ねられた地層をすべて破壊して、
恣意的に取り上げられた後世のご都合主義以外の何物でもありません。

「歴史」が時折見せてくれるキラリと光る倫理性や人間の精神の高潔さ、
それと歴史はまるで天体の運行のように、わたしたちに数々の神秘を伝えてくれるものである。
わたしはいつもそんな風に思っています。

 そんななかで、2018年NPO新人会・宏究学舎の「日本近代・現代史」講座を開講します。
今回のテーマは、「経済と戦争」です。戦争はともすればその経済的利権を巡って発生したとも言えます。
しかし、ひとたび戦争がおこれば、その経済的損失と破壊は未曾有のものになります。
でありながら、なぜ人びとは「戦争」を欲したのか。その意味について考えていきたいと思っています。

 詳細は下記の通りです。お申し込みは
E-mail:shinjinkaikouza@gmail.comか
E-mail:yagashiwa@hotmail.comにお願いします。
 歴史を愛する多くのみなさんのご参集をお待ちしています。

        

◆◇戦争と経済!日本「近代・現代」を考える!◇◆
明治維新から150年の日本!~日本の〝かたち〟とは何か?~
*期 間:2018年4月28日~6月30日(全6講)
*曜日・時間:毎週土曜日<午後13時30分~15時>
*定員・受講料:30名程度 9000円(全6回分)
*会 場:としま産業振興プラザIKE・Biz 
豊島区西池袋2-37-4 (JR池袋南口下車徒歩4分) 
【講座内容】
 2018年の年は、明治維新から150年となります。日本の近代・現代の歴史は、
西欧列強の「近代国家」「国民国家」を急速に受容するものの、いわば後発国家
の宿命ともいえる〝安普請〟の文明化の上に打ち立てた「国家」でした。
 それは実際、〝軍事大国・経済小国〟の矛盾がいつまでもついて回る変則的な
「国家」であったとも見ることができます。 しかし、そのなかで〝経世済民〟
を標榜し、「国家」とは何かを模索した財政家や政治家、思想家もいました。
 本講座では、彼らが時代がどう交錯し、それぞれの存念のなかで生きたか。
それを考えてみたいと思います。デモクラTV「八柏龍紀のモダーン・ヒストリー」
とは違った切り口を考えています。題して「戦争と経済~日本人の軌跡」です。

第1講(4月28日):〝渋沢栄一〟と資本主義~「経済」の理想をどこに置くのか?
第2講(5月12日):〝福澤諭吉〟と日清戦争~「脱亜論」と〝文明と野蛮〟とは?
第3講(5月26日):〝小村寿太郎〟と日露戦争~〝戦争と経済〟外交とは何か?
第4講(6月2日):〝加藤高明〟と対華二十一箇条要求~帝国主義的野望の危うさ
第5講(6月9日):〝井上準之助〟と昭和恐慌~経済的理想と生活経済との断層
*「講外講」(6月23日・自由参加)<手でつかむ〝歴史〟:「現場」に立ちあう旅!>
       水没した谷中村、現在の足尾銅山跡などを探訪する!
第6講(6月30日):〝山本五十六〟とパールハーバー~日米経済戦争の一断面



 


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2018年NPO新人会・宏究学舎「講座」のお知らせ(その1)

2018-03-22 09:22:37 | お知らせです!

 東京は昨日今日と冬に逆戻りした感じですが、
春分の日も過ぎたことでもあり、いよいよ春の到来となりました。
そのうち桜花も空を覆うばかりに咲き誇り、そして数日で多くの花弁を散らして、
ささやかな春の華やぎと慰安を終えることでしょう。
そして、あっという間に梅雨の時期をむかえ、
夏へと季節は巡っていきます。

 そんなふうにふと思ってみると、
時間は、まるで早周りの時計のように過ぎていくようです。

 でも、それだけではなく
そうした時間のなかには、
人との多くの出会いと別離があって、
時間の過ぎ去ることは、それよりも「人が過ぎていく」ということだと、
しみじみと実感されます。
「人が過ぎていく」ことの言いしれようのない寂しさ、悲しさ。
それが過ぎ去る時間へ哀切を深くしていくのでしょう。

 ところで、2018年夏学期の講座の案内のお知らせです。

 いまのところ、
4月26日(木曜19時30分~)を初講日とする「〝戦争の世紀〟に生きた画家たち」

4月28日(土曜13時30分~)を初講日とする「〝戦争と経済〟日本の近代・現代を考える!」

 それと京都商工会議所主催の「京都検定講座」、
いわゆる「京都学」の講座、
これは
4月8日(日曜15時30分~)を初講日とする「京の六賢人」
 

 以上、三講座を開催します。

 それを本日一挙に公開すると、混乱すると思いますので、
今日は、「〝戦争の世紀〟に生きた画家たち」の講座をまずは掲載します。

 お申し込みはE-mail:shinjinkaikouza@gmail.com
 あるいはyagashiwa@hotmail.comまでメールをいただければと存じます。

 パンフレットと概要は下記の通りです。

 人と人が出会う喜びと別離からくる悲しみ、まさに一期一会の「講座」になると思います。
 みなさまのご参集を心からお待ちしております。


 

◇◆芸術から読み解く近代日本の「精神史」!◇◆
 〝戦争〟と青い絵具~〝戦争の世紀〟に生きた画家たち~
*期間:2018年4月26日<初講>~7月5日(全6講)
*曜日・時間:隔週木曜日<午後7時30分~9時>
*定員-30名:受講料-9000円(全6回分)
*会場:としま産業振興プラザIKE・Biz
     豊島区西池袋2-37-4(JR池袋南口徒歩4分)
【講座内容】 頭上に重くたちこめる鈍色の空。時代は軽薄な狂騒に賑わいを見せているだけで、足下の地核は動揺し液状化した不気味な泡を立てている。近代の日本が「戦争の世紀」にさしかかって突き進んで行ったありさまは、まさにそんな時代の〝光景〟が拡がっていたのではないか。そして、いまわたしたちが見ている〝光景〟も、それとどれほどの懸隔があるのでしょうか。
 ところで、そうした茶色の〝戦争〟の時代のなか、画家たちの多くは、自らの純粋な生命を懸け、ひたむきに画業に向かい、表現の極限を見ようとしました。印象派、キュビズム、フォービズムなど西欧絵画のモードmode。あるいは艶と余白で織りなされる日本絵画の美。この講座では7人の画家とその「戦争の世紀」を考えます。絵を見て感性が磨かれる喜び。そして歴史の深みを見つめ直す楽しみ。学ぶ意味を再確認したいと思います。

第1講(4月26日):〝外光〟と〝近代国家〟~黒田清輝の気風。『朝妝』『湖畔』
第2講(5月10日):〝余白〟が生む「実存」~菱田春草の悲情。『寡婦と孤児』
第3講(5月24日):〝清澄〟であり〝艶麗〟なるもの~上村松園の美。『序の舞』
第4講(6月7日):〝浪漫〟と〝彷徨〟~竹久夢二の夢。 『黒船屋』『変災雑記』
第5講(6月21日):〝池袋モンパルナス〟の群像~松本竣介と野田英夫の闘い
*「講外講」(6月23日・自由参加)<手でつかむ〝歴史〟:「現場」に立ちあう旅!>
       水没した谷中村、現在の足尾銅山跡などを探訪する!
第6講(7月5日):〝収容所〟と〝青い絵具〟~香月泰男と凍土。 『シベリア』

 



 

 


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