八柏龍紀の「歴史と哲学」茶論~歴史は思考する!  

歴史や哲学、世の中のささやかな風景をすくい上げ、暖かい眼差しで眺める。そんなトポス(場)の「茶論」でありたい。

10月からはじまる「精読『1984』」講座と「日本〝近代・現代〟のプロフィール」講座について

2021-09-26 17:58:17 | 〝哲学〟茶論
 いわば一政権政党の領袖選びの騒動に、なんでこんなにマスメディアは盛り上がるのか? それはむしろ禍々しいことのように思われてなりません。 
  Twitterだネットだと権威化されたコミュニケーション・テクノロジーが見境もなく肥満化していって、それに乗っかって捏造的なプロパガンダが飛び交う日々。それは同時に「人間性」(humanism)を基礎とした議論を、もはやほとんど無効にしてしまったのではないか。そんな恐れさえ抱きます。   
 そんな21世紀のただなかに、たしかにわたしたちはひどく追いつめられているのかもしれない。
 そんななか、とにかく「人間」の付き合いをしようということで、ここにふたつの講座を設定し、対話と教養の深まりを、秋の深まりとともに感じていこう思い立ちました。
 もちろん、それには講座を運営する人びとの助けと、講座に参加する人びとの力に負うところが大きいことは言うまでもありません。
 その意味を込めて、対話のためにも、みずからの教養を積むためにも、ぜひ多くのみなさんのご参加をと願います。

 なお講座の申し込みは、「精読『1984』」の講座は今月9月29日まで、「日本〝近代・現代〟のプロフィール」の講座は、来月10月7日を最後の期限とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

「精読『1984』」の講座
*NPO新人会・宏究学舎2021年秋学季講座*
 ◆現代「世界」を問う!◆
 時代に杭を打つ! partⅥ 〝精読『1984』〟
  ~わたしたちが存在する〝世界〟と
   ジョージ・オーウェルが見た〝現実〟~
◇期間:2021年10月2日~11月20日<4講>

◇日時:毎回土曜日<午後15時~17時>
 ◇受講定員:30人程度
◇受講料:全講受講5000円
<一講毎1500円、ファイル便は6000円>
 *1講毎、zoom・ファイル便(レジュメ送付)
  の受講ができます!
◇会場:としま区民センター403会議室 
*JR各線池袋駅東口下車・ビッグカメラ裏
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第1講(10月2日):『1984』には
        何が書かれているのか?
第2講(10月16日):『1984』が描く管理社会
              と原理主義
第3講(11月6日):〝傲慢な無知と羨望と卑屈〟
                の社会
第4講(11月20日):対話としての『1984』
         ~困難に対峙する精神~
*テキストはハヤカワ文庫版を使用し、
 3部構成を各1部づつ読み進めます。


「日本〝近代・現代〟のプロフィール」
              講座
〝戦争とテロ、そして国民〟(第1部)
  War/Terrorism 
   and The Ordenay Poeple
◇期間:<第1部・全5講>
  2021年10月10日~11月21日
◇日時:毎回日曜日<午前11時~12時>
 10月3回、11月2回
  *全講zoom/GIGAファイル便で発信。
  各講毎、事前にレジュメ(PDF)を送付し、
  質疑応答はメールにて行います。
◇受講料:全講受講6000円<5回分>
*学生3000円、1講毎受講は1講1500円
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・第1講(10月10日):戊辰戦争の真実
  ~人びとは〝御一新〟を望んでいたのか?
・第2講(10月17日):征韓論と
           西南戦争の真実
  ~西郷隆盛は何と戦ったのか?
・第3講(10月31日):日清戦争の真実
  ~朝鮮戦争、台湾征服戦争であった現実!
・第4講(11月14日):日露戦争の真実
  ~歪な「一等国」は民衆の犠牲から
・第5講(11月21日):外での戦争、
           内なる戦争
  ~第一次世界大戦と米騒動の挟撃~















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☆☆10月10日から〝日本「近代/現代史」のプロフィール〟講座をzoomとGIGAファイルではじめます!☆☆

2021-09-12 23:11:58 | 〝哲学〟茶論

 政権党の党首を決める選挙に、マスメディアはのめり込むように、不確かな情報を垂れ流ししながら、はしゃぎまくっています。
 そもそも政治は「お祭りごと」ですから、外野の人間が大騒ぎするのは、当の党首候補に名を連ねている政治家にとっては、たまらないほどの愉悦でしょう。でも、そんなんでいいはずがないよね。

 コロナ禍、生活苦、学生のモチベーションの低下。反知性主義。学問や教養に対する侮蔑・・・。
 これは政治を執っていたりする連中が、そもそも学歴をつけるだけに執心し、言い換えるなら「読み書きそろばん」のご都合主義に乗っかって世の中を渡ろうとした連中ばっかりで、学びや教養によっての〝人格の陶冶〟を経てこなかったことでの悪弊が蔓延しているからなのですが、世の中のさまざまな困難が目に入らない。だから総裁選に大騒ぎする。

 しかも、気候変動というか、環境破壊というか、9月だっていうのに空模様はからっとせず、そもそも昨今めっきり短くなった秋ではあるものの、かつては時候の挨拶に〝美しい秋になりました〟と書いたことは、もはや遠い記憶に残るだけのものになったのかなと、思うしだいです。

 そんななか前回にご紹介した「時代に杭を打つ!〝精読『1984』!〟~わたしたちが存在する〝世界〟とジョージ・オーウェルが見た〝現実〟~」の講座に続いて、〝日本「近代/現代史」のプロフィール〟-戦争とテロ、そして国民-の講座を開始します。
  <戦争と戦争ごっこ>


 講座の詳細は下記をご覧いただければと思いますが、いろいろトンチンカンな近代/現代の日本史が垂れ流されるなか、ホントのところはどうなのかってことを、さまざまな学説や資料なんかをふまえて、ここが大事なんですが、わかりやすくお話ししようとするものです。
 ただし、話しがあちこち行くと訳がわからなくなりますので、いちおう、テーマを「戦争とテロ」として、そこに軸を立て、戦争に熱狂したり、悲嘆にくれたり、ひともうけしたり、死の淵に立ったりしたふつうの人びとの目線から、日本の近現代史を見ていこうと考えています。ちなみに「国民」というと誤解が混じるので、英語の「War/Terrorism and The ordinary People」のほうがわかりいいのかも知れませんね。

 講座は、
〝御一新から米騒動〟までの50年ほどを【第1部】として5回。つづいて〝関東大震災から満洲事変、アジア太平洋戦争〟までの22年ほどを【第2部】として5回。さらに〝敗戦後から朝鮮戦争、ヴェトナム戦争、9・11テロと現在〟までの75年ほどを【第3部】として5回おこないます。

 いま立てている予定では、すべてを2022年3月いっぱいで終えるように計画しています。各講座は一時間ほどの講座になります。
 講座は、毎回PDFで講座のレジュメをみなさんへ送付して、それをもとに、テーマを絞りながら進めていきます。質問や疑問点などは、メールでできるだけやりとりしたいと思っています。

 受講料その他については、ご参加の連絡をいただいた段階で、あらためてご連絡させていただきます。ちなみに大学生や高校生は半額で受講できます。

 それとここは大事なのですが、今回は講座会場を借りていません。
 すべて自宅からzoomと、もしリアルタイムで受講できない場合を想定して開封して1週間有効なGIGAファイル便での講座になります。ですから、まとめて【第1部】【第2部】【第3部】という括りで、受講することも可能ですので、その旨についてはお知らせください。(その場合、視聴期間の延長は可能です)
 くわえて、これはお願いもかねてですが、講座映像を他の媒体に流出した場合は、ペナルティが課されます。ぜひご留意ください。

 お申し込みは、今月9月27日(月)までに、
 メール:
    npo.shinjinkai1989@gmail.comまで
                          お申し込みください。
 以下、概要をflyerとともに載せておきます。
 講座のへのご参加、なるべく多くの方にご参加いただければと思いますので、ご興味のある方、よろしくお願いいたします。
 以下【第1部】の概要です。

       

◆NPO新人会・宏究学舎
      2021年「近現代史」講座◆
 日本「近代・現代」のプロフィール
〝戦争とテロ、そして国民〟(第1部)
  War/Terrorism and 
                      The Ordenay Poeple
◇期間:<第1部・全5講>
    2021年10月10日~11月21日
◇日時:毎回日曜日<午前11時~12時>
                             10月3回、11月2回
*全講zoom/GIGAファイル便で発信。
 各講毎、事前にレジュメ(PDF)を送付します。
◇受講料:全講受講6000円<5回分>
                *学生3000円
           cf)1講毎受講は1講1500円
【講座概要】
 まずは〝歴史〟を知ることからです! いまのこの国では、知ったかぶりで薄っぺらな歴史が横行していると言わなければなりません。「サヨク」だとか「ウヨク」だとか、そんな自己顕示のためだけの自説や主義、偏見をもてあそび、史料や情報そのものの検討も不十分なまま、とんでもない事実をあげ、実証的だとうそぶく人のなんと多いことか・・・。〝 歴史〟とはさまざまな事実や要素が複合的に連結し、多様な視点からアプローチされるべきものです。また〝歴史〟への眼差しは、まさにいまのわたしたちの精神や態度そのものを示すものでもあります。
 この講座では、明治維新から現在日本までの歴史を、さまざまな読み解きを通じてわかりやすく考え、いまのわたしたちのよって立つ基盤を再検討してみようとする講座です。テーマは表題にあるとおり〝戦争とテロ、そして国民〟に置き、第1部から第3部まで日本の近代/現代史150年の素顔profileを15回にわたってお話しします。さしあたって今回は第1部として◆御一新から米騒動の顛末◆までの約50年間の歴史を5回にわたって考えていきます。
【講座内容と日程】
・第1講(10月10日):戊辰戦争の真実
 ~人びとは〝御一新〟を望んでいたのか?
・第2講(10月17日):征韓論と
                                          西南戦争の真実
 ~西郷隆盛は何と戦ったのか?
・第3講(10月31日):日清戦争の真実
 ~朝鮮戦争、台湾征服戦争
                                   であった現実!
・第4講(11月14日):日露戦争の真実
 ~歪な「一等国」は民衆の犠牲から
・第5講(11月21日):外での戦争、内なる戦争
 ~第一次世界大戦と米騒動の挟撃


 
 

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☆☆☆2021秋学季講座についてージョージ・オーウェル『1984』を読みます! それと歴史講座について!☆☆

2021-09-05 11:56:02 | 〝哲学〟茶論
 気がついてみれば、もう9月です。
 2021年の夏は、異常な気候変動と無理筋で開催された「オリンピック」の虚栄とその後の残骸、そしてコロナ禍の蔓延であたふたした夏でした。
 なんにも楽しめない、青空すら見上げる余裕もなく、たまに見上げてみるとゲリラ豪雨か意味のない戦闘機の空中ショーで染料が降ってくるような、気分の優れない日々でした。
 そんななか政治を姑息な闘争だと思い込んでいた秋田出身の宰相が、安倍・麻生といったもっと姑息な手練手管に翻弄され、辞任することになりました。事の善悪正邪は置くとして、わたしの秋田での旧い友人と同姓である「菅」くんには、これからゆっくりパンケーキでも食べて、自らの過ぎ来し方をゆっくりと顧みていただけるといいかなと思っています。

 そんなことを思いながら、わたしも自らの過ぎ来し方を振り返ってみていくと、高校生だったときに読んだジョージ・オーウェルのことが思い浮かんできました。
 たしか最初に読んだのは評論集だったのか、『アニマルファーム』だったのか。とにかくわたしが高校生だったとき、ジョージ・オーウェルの本は、〝反共〟つまり反共産主義の本だとして、そのころの進歩的(?)とされる評論家からはほとんどキワモノ本程度の評価しかなく、日本語訳も秋田の書店で容易に入手できないものでした。
 ところが、たまたま英語版はペーパーバックかなんかで書店には置かれていて、どうもそれは地元の大学で教材とされていたようですが、英語の受験勉強に役立つだろうなといった面白半分の軽い気持ちで買って、読み進めていきました。
 一言で、『Animal Farm』は面白かったし、評論集にあった「A Hanging絞首刑」「Shooting an Elephant象を撃つ」も、むずむずとした不快感の底から植民地主義、当時はそんな言葉はわかりもしなかったのですが、なにか深い矛盾が見えてきて、ほかの勉強には手がつかず、とにかく先へ先へと読んでいったのを覚えています。
 そして『1984』を買ったのは、ちょうど高校がおわるころだったでしょうか。
 主人公ウィンストンの脳裏にくり返しくり返したたき込まれる真理省のスローガン。
  戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり
 こんなふうにして人間は隷従と卑屈さのなかに沈んでいくんだという、驚きとひたひたと押しよせる怖さをぼんやりと思っていました。

 そんな思い出話はどうでもいいのですが、そのジョージ・オーウェルが注目を浴びはじめたのは、ちょうど日本が〝バブル〟期に突入しようとしていた、まさに〝1984年〟ころだったように思います。ただし、それは近未来小説のカテゴリーのなかで、オーウェルの予言は外れているよね、といった文脈でのものでした。
 しかし、バブルが崩壊し、オウム真理教のサリンテロや2001年の世界同時テロなどがおこると、世情がざわざわと音を立てて危機意識のなかに沈み、それと相伴するように日本を含め世界各地で〝ヘイトクライムhate crime〟や〝ショービニズムChauvinism〟が巻き起こってきます。
 またさらに、肥大化するネットNetのなか、フェイクfakeが横行し、教養が蔑ろにされ、反知性主義が跋扈するなか、2009年にタイトルだけをイメージのみで切り取った小説が登場した影響もあったのでしょうか、にわかに、わたしたちのいま存在する現実と『1984』の近似性が取り沙汰されるようになってきました。

 でも、はたしてそうした読み方は、ジョージ・オーウェルを本当に読んだことになるか。ただ現在のNIPPONのありようと似ているだけという浅い「読み」でいいのかなっていうのがわたしの疑念です。
 ジョージ・オーウェルはエリート校であるパブリックスールに進んだものの、その後、ケンブリッジやオックスフォードには進まず、植民地での警察官の仕事を選び、その後の放浪生活を経て、ナチス台頭のなかスペイン市民戦争の参戦の経験もし、まさに裸足で現場を歩くようにして世界大戦中に思想の鍛錬を積んできた小説家であり思想家でした。
 オーウェルのたどった足跡が、そのまま現代史であったとも言えるように思います。46歳で没したオーウェルの未来も含めて、まだまだその生きかたと思想は探究されてもいい。そんな印象です。

 そこで、この秋の講座では、まだお読みでない方、すでに読んでしまった方、それぞれのかたがたともに、〝精読!『1984』〟を試みてみたいと思い、講座を開設するしだいです。

 じつは本は一人で読んでもいいのですが、複数のかたがたとともに読み進めるのが大事であることを、これまでのさまざまなゼミでわたし自身が実感してきました。
 読書とは多様な「読み」と、自分が気づけなかった世界が交錯するところです。というわけで、下記に概要を掲載しますが、ぜひこの秋は、ジョージ・オーウェル『1984』を、わたしのお話しをひとつの起点として、みなさんとご一緒に読み進めていきたいと思っています。
 講座へのご参加をよろしくお願いいたします。

*ところでこの秋から、わかりやすい日本の「近代・現代史」の連続講座を、わたしの自宅から発信する(zoomとGIGAファイル便を通じて)予定でおります。
〝近代そして現代のNIPPONのプロフィール〟といった内容で、いったいNIPPONとはこの150年ばかりのあいだ、どんな相貌で世界に対してきたのか、人びとの高揚と悲惨、厄災と歓喜、その織りなす「歴史の地勢模様」をお伝えできればと思っています。
 なお詳細については、一週間後のblogでお伝えさせていただきます。
        
<NPO新人会・宏究学舎2021年秋学季講座> 
◆時代に杭を打つ! partⅥ 〝精読『1984』〟◆
  ~わたしたちが存在する〝世界〟と
   ジョージ・オーウェルが見た〝現実〟~
◇期間:2021年10月2日~11月20日<全4講>
◇日時:毎回土曜日<午後15時~17時>
◇受講定員:30人程度
◇受講料:全講受講5000円
 <一講毎1500円、ファイル便は6000円>
 *1講毎、zoom・ファイル便(レジュメ送付)の受講可能!
◇会場:としま区民センター403会議室 
 *JR各線池袋駅東口下車・ビッグカメラ裏

【講座内容】〝現代〟という世紀にあって、わたしたちの視野は以前よりずっと狭くなり、網の目のように張られたネットの監視と制約のなかで息を殺しているかのように見えます。
 一方、富を独占する権力者は、メディアを動員しフェイクニュースとゴシップで民衆を誘導し、民衆には〝パンとサーカス〟をあてがっておけと高をくくり、民衆もまた、金と享楽にしか価値を見いだせないままです。それはまさに1949年に発表されたジョージ・オーウェル最後の作品『1984』の世界そのものと言っていいでしょう。
 しかも現代の深刻さは、そうした管理社会が、権力といった外部の圧力だけからではなく、コロナ禍と未来への〝ぼんやり〟とした不安も含め、わたしたちの内部の腐食から生み出されていることにあります。本講座で は『1984』をみなさんと精読し、「人間の崩壊」といかに対峙するかを論考します。

第1講(10月2日):そこには何が描かれているのか?
          -『1984』を読み解く!
 ~[第一部]ジョージ・オーウェルが見つめた〝現代〟
第2講(10月16日):『1984』が描く管理社会と原理主義
 ~[第二部]〝恐怖と隷従、憎悪(ヘイト)〟が生む「鉄の檻」
 講外講:10月23日(土)〝月日は百代の過客〟ツアー!
第3講(11月6日):〝傲慢な無知と羨望と卑屈〟の社会
 ~[第三部]〝未来〟を想像できない国〝NIPPON〟
第4講(11月20日):対話としての『1984』
 ~[まとめ]〝困難に対峙する精神〟

*テキストはハヤカワ文庫版を使用し、3部構成を各1部づつ読み進めます。以下、Flyerです!(拡大してごらんください)




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