いやはや ご無沙汰してしまいました。
前回、韓国のことで書いたあと、こんどは台湾についてと言ったきり、ほんとに申し訳ありませんでした。
でも、この間、また韓国に行って、浅川巧という朝鮮の「白磁の美」を日本に伝えた人物を調べたり、
問題になっている「徴用工」訴訟について、韓国メディアの人の話を聞いたり、また横浜の学校の先生たちの研修会で、
講演したり、忙しかったといえば、忙しく・・・。
でもそんなことはどーでもいいことです。
それにしても、台湾や韓国に行くたびに思うのですけど、これらの国は1980年代まで戒厳令をしかれていた国なんですが、
それぞれさまざまな問題を抱えているにせよ、若者たちは、ある意味、日本の若者のように無自覚で、何事にも無関心ということはなく、
いかに生きていくか、いかに自身があるべきか、日本の若者には最近あまり感じることのない〝硬派〟な印象で、
とりわけ台湾での「書店文化」とも言うべき「本」への思いについては、学ぶことが多いなと思いました。
ネットじゃなくて、本は紙媒体のを読む。その一冊一冊の本への感じ方が、今どき日本の「読書離れ」「本離れ」とすごく対照的でした。
さてそんなとき、ネットで今回本を出します。
自分で「龍books」というレーベルを立てまして、池袋で行っている市民講座の講義録を本にしました。
『講座 時代と表現者』というものです。中味は、アマゾンのレビューにありますので、
アマゾンをクリックして、『講座 時代と表現者』と入力して、ごらんください。
もちろん講義録ですから、語り口調で書いていますし、でも講義とはけっして同じものではないようにリライトしています。
読みやすいと思います。これまで文学は、その作品論が主なテーマだったと思うのですが、
この本は、そのぞれの作家とその時代の対峙や葛藤に焦点を当てて、そこでの時代の要請の一方で、表現者がどうしても抱え込んだ限界や国家、
そんなものをテーマにしてまとめました。
本書の中でも述べていますが、時代が浮ついて、劣化し、利便性を求めるがあまりにファシズム化する問題意識と、
「文学」のもつ意味を交差させて考えてみようという試みです。
お読みいただければ、とても嬉しく思います。値段は324円(現行の消費税を含めて)です。苦になる金額ではないと思うので、それに電車の中でもスマホでスイスイ読めるので、ぜひお買い求めください。
ほんとは紙の本を出したかったのですが、それも後日なんとかなると思います。その本は、「侘び」「寂び」など日本人の根底にある美意識についてのものになると思います。
最近やっと、自分がこれまで長きにわたって求めているものが、どうも〝根源性〟にあるのだなと思い至りました。地下水脈を掘るように仕事できたらな、と思うしだいです。
まずは、本書『講座 時代と表現者』をよろしくお願いいたします。
八柏龍紀