馳星周さんは直木賞受賞作の「少年と犬」を読んでから2冊目。
自分勝手な母親、そんな親に翻弄されるのが嫌で
立科の伯父のもとに身を寄せることになった中学生の雨音。
伯父の愛犬バーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテルと暮らして
徐々に犬からの信頼を得ていく。
見返りを求めず、愛し、相手の気持ちを汲み、
辛い時や悲しい時には余計な言葉は口にせずただ寄り添ってくれるワルテル・・
自分も誰かに対してそういう存在でありたい、と思えるように成長していく雨音。
都会育ちの雨音が山岳写真家の伯父の影響で登山の楽しさを知っていく。
ワルテルとの別れは辛かったが、動物を飼うとはそういう事だ。
いつかは別れる時が来る、だからこそ、一瞬一瞬を大事にしたい。
アルプスの情景を思い浮かべながら読めてよかった。
犬はいいね、山もいい。