第170回直木賞受賞作品、
図書館の順番が回ってきて読んでみました。
野生そのもの。
北海道、明治の終わり頃のこと、
養父に猟の仕方から生きるすべを受け継ぎ、
山で一人で生きてきた熊爪という男。
狩りの為の一匹の犬、そばにいるのはただそいつだけ。
銃弾や米を買うために時々里に降りて、熊の肝や鹿の肉、山菜などを金にする。
そのうち不穏な時勢に店もつぶれ、店に残っていた子を孕んだ女を連れて帰る。
生まれた子と女と3人の糧を得るための暮らしは、、人間のようでもあり、
しかし、どこかに違和感も。
やはり、一匹の野生として生きる方が自然なことなのか、
どちらの生き方もある中で
俺は、何なんだ?
分からなくなる。
思わぬ最後、
男は女に殺されて果てるが、
獣を殺して肉を食い、皮を剥ぎ、金に換えて生きてきた男は
最後はそうして自分も死んでいくことを待っていたのかもしれない。
なんともグロテスクでえぐい内容に圧倒されながらも
ぐいぐい引き込まれていき、最後まで読んでしまった。
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