宮尾登美子さん自伝的小説、「朱夏」を読んで「仁淀川」を読んで、
これはやはり「春燈」も読まなければ・・
綾子三部作の順番としては逆になってしまったが、、
小学校卒業から女学校時代、代用教員として単身山の国民学校に赴任するまでの
綾子の青春時代のいろいろが分かってよかった。
宮尾登美子自叙伝四部作、始まりは「櫂」で、綾子の育ての親になった喜和の話から始まる。
夫である岩伍と女義太夫(巴吉)との間に出来た子が綾子。
産まれた直後に岩伍が引き取って喜和に育てさせた。
喜和もそのうち、綾子に愛情が湧き、
岩伍と共に何不自由させず綾子を溺愛した。
しかし、綾子が小学校六年で岩伍と喜和が離婚、
岩伍は娼妓紹介業を貧乏人の手助けをしているのだと自負があり、
この仕事を嫌う喜和にも手を挙げて正当化していた。
勉強のできた綾子は女学校受験をしたが、稼業のせいで不合格となり
それを知ってますます父親に反発するようになる。
家は女衒で芸妓娼妓紹介業を営み裕福であったので
何の苦労も知らず甘やかされて育ったお嬢様気質の綾子は
父親には常に反発心を持ち、家からは離れたいが、
受験の費用は親に依存していたり、
使用人には岩伍の娘という自尊心があり高慢だし、
どっぷり親のその庇護のもと暮らしているのに、それに気づかない綾子が可笑しかった。
この「春燈」では綾子が17歳の時、山の中の国民学校に代用教員の口を見つけ、
娼妓紹介業、富田岩伍の娘からやっと解き放たれた気分で赴任していく。
そして、教員の三好要と結婚する→「朱夏」
松たか子主演のドラマを観たが、親友の家が借金で困窮して姉三人が冨田屋に口をきいてもらいに来たことから、綾子が冨田屋の娘だったのが知れ、親友から絶交された話とかは原作にはなかった。
次は巻末に載っていた「もう一つの出会い」で、
綾子さんのその後を知りたいと思います。