従来、宮内庁管理の美術品は、慣習的に文化財保護法指定の枠外にあり、国宝などの文化財にはならなかった。
「(宮内庁管理の美術品も)国民にその価値をわかり易く示すべき」との判断で、2021年に三の丸尚蔵館(宮内庁)所蔵の美術品5点が国宝に指定されました。
その中には、人類的名品である若冲の「動植綵絵」全30幅もあります。
今回の展覧会は国宝5点(動植綵絵10幅:後期)が出品されます。
展覧会の構成は、
序章 美の玉手箱を開けましょう
1章 文字からはじまる日本の美
2章 人と物語の共演
3章 生き物わくわく
4章 風景に心を寄せる
蒔絵 川之邊一朝ほか 金具 海野勝珉 明治36年
1章 文字からはじまる日本の美
藤原佐理(すけまさ)は、平安時代中期の公卿・能筆家。三跡の一人で草書で有名。
何を書いているのか解りませんが、崩し文字と濃淡の階調がアート。
2章 人と物語の共演
国宝
肥後の御家人 竹崎季長(たけさきすえなが)が弘安の役(1281年)での自分の活躍を描かせた。馬に乗って、突撃しているのが竹崎。
春日権現験記絵(かすがごんげんげんき) 巻四、五 高階隆兼(たかしなたかかね) 鎌倉時代 1909年頃
国宝
左大臣 西園寺公衡が発願し、高階隆兼が描き、春日大社に奉納。
絢爛たる武者の甲冑姿が精緻に描かれている。
旭玉山(あさひぎょくざん)は、象牙彫刻家。精緻な十二単衣の超絶技巧。
3章 生き物わくわく
犬のような猫の顔が印象的。何という種類なんだろう…
そして、
本日のメインイベント!!
誰もが知るが、あまり見たことがない「唐獅子図屏風」
右隻 狩野永徳 桃山時代 16世紀
223.6×451.8cm
左隻 狩野常信 江戸時代 17世紀
224.0×453.5cm
国宝
破格の大きさは、ダ・ヴィンチの最後の晩餐の460×880cmは別格として、ボッティチェッリのプリマベーラの203×314cmより、一隻が一回り大きい。
この迫力満点の唐獅子図屏風は、明治期に毛利家より皇室に献上されたが、もとは秀吉の毛利攻めの和睦(本能寺の変)の証として、秀吉の陣中屏風だったものを、毛利輝元に贈ったとされるが証拠はない。
巨大なもの、派手なものが好きだった秀吉らしい持物で、大阪城、聚楽第で秀吉の威光を表す障壁画だったかもしれない…
この前に秀吉が座ったとしたら、はたして威光を感じただろうか…
七宝四季花鳥図花瓶
並河靖之 明治32年(1899年)
「有線七宝とは、図柄の輪郭線に沿って細い金属線をかたどり、その中に釉薬を挿し焼成するやり方で、金属線が繊細な図柄を引き立たせる。」
実物を観ると、桜の花びら一枚一枚、紅葉の葉の一枚一枚に有線を施した、信じられない神技。
「唐獅子図屏風」は、8/28まで、「動植綵絵」は、8/30からです。
やっぱり、2回行くしかないか…
お勧めします
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