令和四年上半期の芥川賞受賞作「おいしいごはんが食べられますように」高瀬隼子(1988〜)
文学少女的な雰囲気があって「芦川」は他人から見られている自身の片割れか…
埼玉のメーカーの支店で働く二人の女、一人の男の三角関係がプロットの主軸。
仕事ができない女で、いつもほぼ定時で帰るのに、何故か会社から許されている、可愛らしく料理上手な「芦川」、「芦川」の後輩で彼女の仕事の後始末をしている「押尾」、「二谷」と寸前で止める。「芦川」とできている、食に興味がない「二谷」。
物語は、押尾と二谷が一人称と三人称で語る芦川の行動を語りながら進み。次第に支店全体を巻き込んでいく。
女性の多い職場でありがちな、橋田壽賀子のドラマのような進行を、一人称と三人称の語り口で複雑化、ミスティフィケートしているが…
閉鎖された空間の人間関係を描く小説ですが、「コンビニ人間」のような現代的で諧謔的な哲学性を持っておらず、通俗的テレビドラマの域を出ない。
★★☆☆☆