浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

したたかなプーチンの世界戦略

2015-09-13 05:20:18 | 資料

ロシア軍、シリアで戦闘に参加 アサド政権支援

2015年09月10日 ロイター

[モスクワ/ベイルート/ワシントン 9日 ロイター] - ロシア軍が、内戦の続くシリアでアサド政権軍を支援するため、戦闘に加わったことが分かった。事情に詳しいレバノンの関係筋3人が明らかにした。

ロシア軍のシリア内戦への関与拡大は米国が懸念する事態。ただ、レバノンの関係筋によると、戦闘に参加しているロシア軍兵士は、今のところ少人数だという。

複数の米当局者は、ロシアが最近シリアに戦車揚陸艦2隻や輸送機などを派遣し、少数の海軍歩兵部隊も派遣されたと述べた。ロシア側の意図は不明だという。

しかし、米当局者の1人は、シリアのアサド大統領の拠点である港町ラタキア近郊で航空基地を整備しているのではないかとの見方を示した。この基地が出撃拠点となる可能性があり、米当局者もその可能性を否定しなかった。

一方、ケリー米国務長官は、ロシアのラブロフ外相にロシア軍のシリアでの動きに関する報道について懸念を伝達。内戦の悪化につながると強い警戒感を示した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150910-00000015-reut-n_ame

帝政ロシアからの常套手段 
これで難民はヨーロッパへ加速的に流れる 
EUはウクライナ批判やロシア包囲どころではなくなり 
ロシアはウクライナ方面の安定化の為の時間稼ぎが出来るようになる。
ロシアはいつもこうだ、第二戦線を作り上げて相手を搦め手で締め上げる

◆シリアへの軍事介入を始めたロシア 
ロシア側の見方とその狙い

2015年09月10日  小泉悠 WEDGE Infinity 

 ここ数日、ロシアがシリアに軍事介入を始めたのではないかとの観測が高まっており、米国も懸念を表明し始めた。筆者も別の媒体(http://bylines.news.yahoo.co.jp/koizumiyu/20150906-00049218/)で詳しく検証したが、様々な傍証からシリアにロシア軍がかなりの規模で展開していることはほぼ確実と思われ、一部では軍事作戦に参加している可能性も考えられる。

 だが、それが事実であるとして、ロシアの狙いは何であろうか。これについてロシアの軍事評論家で有力紙『独立新聞』の軍事問題記者であるウラジミール・ムーヒンの見解が『独立新聞』に掲載されたので以下に紹介したい。

『独立新聞』に掲載されたムーヒンの見解

 (翻訳)

 ウラジミール・ムーヒン「ダマスカスはロシア軍人を待っている:ウラジミール・プーチンは国連総会でシリアに対する具体的な支援策を提起するだろう」『独立新聞』2015年9月7日

 米国は、シリアにおいてロシアが軍事プレゼンスを増強し、ロシア連邦の軍人がバシャール・アサド側について戦闘に参加することを真剣に恐れている。先週の土曜日、ジョン・ケリー米国務長官はこの問題についてセルゲイ・ラヴロフ露外相と電話会談を行った。西側メディアでは、ロシア軍人やロシアの最新型兵器がシリアに存在し、戦闘行動に参加しているという多くの記事(写真を含む)がこの以前から出回っていた。そしてついにプーチン露大統領がこうした主張を否定するまでになったのである。

 米国務省報道官が述べたところによると、米国務長官はセルゲイ・ラヴロフに対し、「同地(『独立新聞』註:シリアを指す)におけるロシアの軍事プレゼンス増強の懸念が事実であるとすれば、個別の戦闘が紛争の更なるエスカレーションにつながる可能性がある」と伝えたという。これに対する我が外相の反応は明らかでない。しかし、ロシアの報道各社は、ラヴロフとケリーがシリアに関する協議をニューヨークで継続する見込みであると伝えている。同地では9月15-22日にかけて第70回国連総会が開催される。

 その年次会合では、ウラジミール・プーチンの演説が予定されている。ラヴロフは以前、この機会に、ロシアはシリア情勢を収拾するための独自案を提案する計画だと述べていた。特に国連安保理においては、対「イスラム国(IS)」連合の設立を検討するよう提案が行われるであろう。これは安保理に「完全な法的正統性を与え、国際社会の支持を取り付ける」ことを目的としたものとされる。ウラジミール・プーチンは、金曜日、すでに多くの政府がこの構想を支持していると述べた。同人はこの問題に関して、対IS軍事作戦にロシアが参加することを云々するのは時期尚早であるとマスコミとの会見において発言している。大統領は、記者の質問に答えて、「我々は様々な可能性を検討しているが、しかし、あなたが今おっしゃったようなこと(『独立新聞』註:軍事作戦への参加を指す)は我々の議題とはなっていない」と述べた。また、大統領は「シリアの我が友人達、そして同地域の各国との協議を進めることになろう」とした。

 一方、『ニューヨーク・タイムズ』紙は先週の金曜日、匿名の米政府関係者の話として、シリアの空軍基地にロシア軍の先遣隊と移動式航空管制システムが現れたと報じた。これに先立ち、イスラエルのメディアでは、アサド政権側に立って戦うスンニ派勢力の情報として、シリアにはロシア人パイロット、最新型のSu-34及びSu-27戦闘機、そして「プチェラ-1T」無人偵察機が到着したと報じた。ロシア外務省は先週、この情報を否定している。だが、過去2週間の間に少なくとも3隻のロシアの揚陸艦(「ニコライ・フィルチェンコフ」、「コロリョフ」、「ノヴォチェルカッスク」)と練習艦「スモーリヌィ」が「カモフラージュネットを被せた武器とともに」ボスポラス海峡を通過したというトルコのメディアには情報には何も言及がなかった。英『タイムズ』は最近、ロシアの軍人と見られる人物が最新型のBTR-82A装甲兵員輸送車に乗って政府側部隊の側で戦う映像を紹介した。これには会話を拾ったらしいトランスクリプトが付されていた。

 軍事専門家であるユーリー・ネトカチョフ少将は、ロシアの軍事顧問団の増強はまったく当然のことであると見ている。「彼らは当然、自らの同僚達とロシア語で話している。そしてシリア軍人の多く、特に将校は我が国の軍事教育施設で学んでいるのだから、ロシア語をよく知っている。したがって、無線の会話でロシア語が聴こえてきても当然なのだ」と彼は言う。また、ネトカチョフ将軍は、シリアでロシア人が戦闘行動を行っているとは考えていない。同人は、「我々はシリアに対して非常に充分な支援と物資、軍人の訓練、武器を提供している」という金曜日のプーチン発言を引用した。

 だが、将来的にロシアの軍人がISとの戦いに参加することは排除されていないようだ。第一に、アサド政権に忠実な「アル・ワタン」紙の情報によれば、ロシアは地中海沿岸のジャブラに新たな軍事基地を建設することを計画しており、ダマスカスはこれに好意的な反応を示しているという。ラタキアの南方25kmにあるジャブラは、シリア最大の港にしてこの地域の中核都市であり、バッシャール・アサドを支持するアラブ・ムスリムの居住地である。

 ロシア海軍の物資装備拠点があるタルトゥース港と異なり、同地は部隊や艦隊が安全に集結し、より多くの予備物資や武器を集積する上で好適な条件を備える。第二に、ウラジミール・プーチンはウラジオストクにおいて、ロシアの参加する連合を結成する可能性を示唆した。「我々はテロリズム及び過激主義との戦いに関する何らかの国際連合を結成することを実際に望んでいる」とした上で、同人は、「我々は国防当局のラインで連絡を取っており、最近、モスクワでこの紛争(『独立新聞』註:シリアとイラクにおける紛争を指す)と関わりのある国々の参謀本部の指導部と協議を行った」と述べた。

 第三に、アサド政権を支援するロシア、イラン、中国が対IS連合の主要参加国となるとの観測がマスコミで流れている。最近モスクワを訪問したイランのモハメド・ジャワド・ザリフ外相は、テロリズム及び過激主義との戦いにおける経済的な協力関係以外の優先分野として、イランとロシアの連携を挙げた。そして中露は今年5月、シリア沿岸から遠くない海域で合同軍事訓練を行っている。

 このようにしてみれば、中東地域におけるロシアの軍事的な活発さに対する米国の懸念は理解できるものだ。ペンタゴンはすでにアサド政府軍に対する爆撃を考慮し始めているが、シリア軍の戦闘序列にロシア軍人が含まれる可能性があれば、このようなシナリオは排除される。アサド政権がISよりも危険性が少ないと信じるイスラエルは、この点では米国に同調していない。旧ソ連やロシア出身の国民も勤務しているイスラエル国防軍では、米国とは異なり、イスラム過激主義との戦いのためにロシアが軍事連合を形成することはより実際的であると見なされている。

 (翻訳終わり)

ロシアがシリアに軍事介入を始める狙いとは

 ムーヒンは、シリアへのロシア軍展開に関する欧米及び中東の報道を手際よくまとめた上で、これが単なる軍事顧問団の増強に過ぎないとするネトカチョフ少将の主張(プーチン大統領の主張に沿ったもの)を引用している。シリアの軍人の多くがロシア語を喋れるのだというネトカチョフの主張の正当性はさて措くとして(バッシャール・アサド大統領の父であるハーフィズ・アサド大統領をはじめとして、シリア軍人にソ連・ロシア留学組が多いことは事実であるが)、BTR-82A装甲兵員輸送車やSu-34戦闘爆撃機のようにロシア軍しか保有していない装備がシリアで目撃されている以上、ただの「軍事顧問」であるとする主張はかなり根拠薄弱であろう。ムーヒンは敢えてこの点に踏み込まずにお茶を濁しているが、軍事評論家である同人にもこの点はよく分かっている筈だ。

 これはこれでシリア介入に関するロシア側の立場を知る上では興味深いが、さらに注目したいのは、その狙いに関する部分である。ロシアがシリアに軍事プレゼンスを展開し、しかもそれがシリア軍と一体となってしまえば、米国は容易にアサド政権への攻撃を行う訳にはいかないとムーヒンは見ている。

 記事中でも触れられているように、米国はロシアの軍事プレゼンスが紛争の「エスカレーション」につながりかねないとの懸念を示しているが、むしろこのような懸念を惹起することこそがロシアの狙いであるのかもしれない。いうなればシリアに展開するロシア軍は単にアサド政権を支えるだけでなく一種の「トリップ・ワイヤ」(朝鮮半島で最前線に配備されている米軍と同様、同盟国への攻撃があれば域外大国の介入につながりかねないことを相手国に認識させるためのもの)としての役割を期待されているのであり、その存在によって米軍の対アサド政権攻撃を回避することがロシアの狙いなのだと考えられよう。米軍は2013年からシリア領内への空爆を開始し、今年8月にはトルコのインシルリク基地を拠点として無人機及び有人機でISの拠点を攻撃しているが、今のところアサド政権側の部隊には攻撃は及んでいない。

 また、記事中でも触れられているように、ロシアは今後、シリア紛争をISに対する「対テロ戦争」と再定義することを狙っている。つまり、「アサド政権vs反体制派」であった当初のシリア内戦にISが参入してきたことを契機に、「IS vs 反IS連合(アサド政権+反体制派+その他諸国)」へと紛争の構図を書き換えてしまおうということだ。

 8月11日に行われたロシアとサウジアラビアの外相会談において、ラヴロフ外相はロシア、中東諸国、アサド政権による「対IS連合」の創設を提起したものの、この際は反アサド政権を掲げるサウジアラビアの同意を得られることなく終わった。だが、ロシアが依然としてこの構想を諦めていないことは、記事中でも引用されているプーチン大統領やラヴロフ外相の発言からも明らかである。

 ところでロシアがシリアで軍事プレゼンスの増強を始めたのは今年8月半ば以降と見られるが、これはムーヒンが触れている9月の国連総会を見据えたものであろう。シリアにおける軍事プレゼンスによって米国の対アサド政権攻撃を封じた上で改めて対IS連合構想を提起し、これを認めさせる思惑があるものと思われる。

 その背景には、IS対策のためにアサド政権を容認してもよいのではないかとの空気が一部の西側諸国に見られるようになってきたことであろう。今年3月、ケリー米国務長官が「最終的にはアサド政権と交渉する必要がある」と述べたことや、記事中で触れられているイスラエルの態度に見られるように、ロシアは「大連合」構想でアサド政権の生き残りを図るチャンスが出てきたと読んでいるのではないか。

 ただし、サウジアラビアとの交渉決裂からも想起されるように、「大連合」構想の成立は簡単な話ではない。この場合、まさにプーチン大統領が「将来の可能性」として示唆しているように、ロシアが公にシリアで対IS軍事作戦に踏み切ることも考えられよう。いずれにせよ、目前に迫った国連総会でプーチン大統領が何を語り、各国がどのような反応を示すかが注目される。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5352

これで、欧米はISISを叩くふりをしてシリア攻撃をすることが出来ない。万が一米軍や欧州の戦闘機がロシア軍を空爆すれば、必ずプーチンは報復するだろう。それこそプーチンの罠に嵌ることになる。まかり間違えば、第三次世界大戦の口火をきることになる。今の米国にもEUにもそんな余裕は無い。

◆イラン核合意から得られる中露の戦略的利益

2015年09月08日  岡崎研究所 WEDGE Infinity

 8月4日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙で、ハドソン研究所のハーマン上席研究員が、イラン核合意により中東に大パワーシフトが起きる、中露はイランとの政治経済関係を全面的に拡大し米国の影響力を削ぎながら同地域での重要なプレイヤーになるだろう、と警鐘を鳴らしています。

 すなわち、今般のイラン核合意から最大の利益を得る国はロシアと中国である。両国は既にイランを通じて影響力を確実に拡大している。モスクワ・北京・テヘラン枢軸は今や確実のものであり、これはスエズ動乱以後中東の最大のパワーシフトである。

 中露は、当初からイランの核開発を支援してきた。それにもかかわらず両国は国連などで非難されるどころか、反対にオバマ政権は、安保理制裁をかけるために両国との協力に腐心してきた。中国は石油の輸入規制からの例外まで認められた。

 中露は、情報技術から石油ガスに至るまで制裁解除を全面的に利用するだろう。中国はイランのエネルギー部門に既に210億ドル以上の投資をしており、制裁解除後はそれが倍になる可能性もある。中国のイラン原油輸入は現在60万BDであるが、100万BD以上になる可能性もある。

 通常兵器の輸入規制も解除される。イランは凍結資産の解除により1000億ドルの資金を手にするが、中露から大量の兵器を買い付けるだろう。ロシアはSu-30戦闘機やS-400などの対ミサイルシステムなどを売ろうとするだろう。中国は、JF-17戦闘機やJ-20ステルス戦闘機、039型ソン級潜水艦や巡航ミサイルをイランに供与することができる。潜水艦や巡航ミサイルはホルムズ海峡の支配を確立するのに役立つ。

 さらに重要なことは、今後イランは、ロシア、中国の戦略的利益の増進を図るだろうということだ。ロシアの東地中海での海軍力の増進を助けるシリアのアサド大統領への一層のテコ入れもするだろう。中国は、イランを戦略パートナーに格上げし合同軍事演習を拡大するだろう。上海機構へも加盟させるだろう。また、イランは中国のシルクロード経済圏構想の前進基地になるだろう。

 今回の合意がイラン核兵器開発にどういう影響を与えようとも、合意の地政学上の影響は極めて大きい。三国の枢軸ができ、中露が中東の重要プレイヤーになることは、米国の影響力を確実に侵食するものであり、その意味合いは計り知れない、と述べています。

出 典:Arthur Herman ‘The Moscow-Beijing-Tehran Axis’(Wall Street Journal, August 4, 2015)
http://www.wsj.com/articles/the-moscow-beijing-tehran-axis-1438704822

* * *

 極めて興味深い、直截な分析であり、賛同できます。今回のイラン核合意には、核兵器開発を実際に阻止できるかどうかということと中東の地政学への影響という2つの側面があることは、これまで指摘されてきていることですが、この記事は、後者の側面に注目し、中露両国がイランを通じて影響力を拡大し米国の影響力は確実に低下すると主張しています。相当の説得力があります。とくにイランが中国のシルクロード構想推進の前進基地になるとの見方には現実味があります。

 イラン核合意は、これから米議会で審議されます。ケリー国務長官、オバマ大統領が議会への説得を本格化させています。他方で、イスラエルは議会に対する働きかけを強めています。米議会の今までの関心は、どちらかというと核兵器開発阻止の側面にあったので、今回のハーマンのような観点からの問題提起が、議会審議に微妙な影響を与えるかもしれません。オバマ大統領は、たとえ議会が合意を拒否する決議を送付して来ても、拒否権を行使するとしており、今のところ議会で大統領拒否を覆すために必要な3分の2は確保できないと見られています。しかし、議会が拒否の意思表示を突き付けることになれば、今後の手続きを一層複雑化することは間違いありません。

 ハーマンが言う「スエズ動乱以後最大の中東のパワーシフト」にどう対処していくべきかについては、今後更に議論があるでしょうが、現時点でとりあえず重要と思われる点は次のようなことではないでしょうか。

 (1)イランを中露両国に任せないで、米日欧等の諸国が、経済、政治の分野での協力を、思慮深く強化していくこと。こちら側も一定程度エンゲージしていかないと、イランを益々中露側に追いやることになってしまいます。

 (2)イランとの間で、政策協議を強化すること。米・イラン間には現在外交関係はありませんが、何らかの高級レベルの定期協議の制度化が必要ではないでしょうか。日本も両国協議体制の強化を検討すべきでしょう。イランについて、ここまで決断した以上、合意の履行を見つつ、インドの国際社会での立場を正常化したように、イランとの関係も正常化する道を進む方が有利かもしれません。

 (3)米国が中心になってサウジなどアラブ諸国との結束を強めること。5月のキャンプ・デイビッド会談や8月3日のケリー長官のGCC会議出席等の努力を続けることが重要でしょう。

 (4)湾岸戦争の後、米国はベーカー国務長官が主導して速いペースで米露共同主催の中東和平マドリッド会議を構想し、実施しましたが、同様に、早い時期に中東全域を巻き込む何らかの会議を構想し、イランとアラブの信頼を醸成できないものでしょうか。

 (5)中露の影響力拡大をバランスするため、米国は中東でのプレゼンスを維持、強化していくこと。他方、これによりアジアのリバランス政策が悪影響を受けないようにすべきことは言うまでもありません。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5320

◆マスコミ:サウジアラビアはロシアとの同盟を必要としている

2015年06月26日 Sputnik 日本

サウジアラビアの国防相を務めるムハンマド・ビン・サルマン王子のロシア訪問は、サウジアラビアが支援を獲得し、新たな同盟国を見つけようとしていることを物語っている。チェコのサイトParlamentnilisty.czは、このように伝えた。

サルマン王子は、ロシアのサンクトペテルブルグで開かれた国際経済フォーラムの場で、ロシアのプーチン大統領と会談した。プーチン大統領は会談の席で、サウジアラビアに招待されたことに言及し、ぜひ訪問したいとの考えを表した。またサルマン王子は、サウジアラビア国王が、ロシア訪問の招待を受け入れたことを確認した。

サウジアラビア代表団は、ロシアと、原子力や軍事分野に関する計6つの協定に調印した。Parlamentnilisty.czの記事では、「石油に関する協力協定は、近い将来、世界の原油価格を再び上昇させるだろう。これは非常に重要、かつ驚くべきことである」と指摘されている。なぜならサウジアラビアは今まで、米国とこのようなことを行ってきたからだ。

記事の執筆者は、サウジアラビアは、2年連続で原油価格を最低限にまで落として、ロシアに打撃を与えているため、サウジアラビアとロシアの「石油同盟」という響きは、サウジアラビアの政策を考慮した場合、自分にとって不思議なものだ、と指摘している。サウジアラビアの王家「サウード家」は、新たな指導部を持った。その指導部は、サウジアラビアにとって困難な時期であることに関連して、「友人」を増やそうという点で、これまでの指導部とは異なる可能性があるという。記事の中では、「サウジアラビアは、信頼できる国であるものの、最近は、中東における米国のさらに不屈な従属国となり、多くの問題で袋小路に迷い込み、出口を模索している」と指摘されている。

またサウジアラビアは、リビア、シリア、イラク、そして、度合いは少ないものの、エジプトの情勢不安定化に手をかけたが、これら全ての地政学的、そして現実的な戦いの場は、サウジアラビアの管理下から抜け出てしまった、という。

また原油の低価格によって財政赤字が増え、非常に裕福な国であるサウジアラビアの国民の大多数が貧困に耐えながら暮らしており、不満が高まっている。

記事の中では、「ロシア大統領府は、必ずしもサウジアラビアと、何らかの真剣な同盟を結ぶ必要はないように思われる。なぜなら今、この同盟を一番必要としているのはロシアではなく、サウジアラビアだから」と指摘されている。

http://jp.sputniknews.com/middle_east/20150626/498858.html#ixzz3e7dEOkf3

◆ギリシャ「対ロ制裁に反対」 ロシアと首脳会談

2015/4/9  日本経済新聞

 【モスクワ=古川英治】ロシアのプーチン大統領は8日、債務問題で欧州連合(EU)と対立するギリシャのチプラス首相とモスクワで会談した。EUの対ロ制裁への対抗策としてロシアが発動した欧州の農産物の禁輸措置の中で、ギリシャ産の規制を緩和することなどを協議。チプラス首相はEUの対ロ制裁に反対を表明した。ロシアはギリシャなどの取り込みを進め、EUの切り崩しを狙う。

 チプラス首相は会談後の共同会見で「EUの対ロ制裁には賛成していない」「制裁による悪循環を断ち切るべきだ」などと主張した。プーチン大統領は「ギリシャから金融支援の要請はなかった」としたうえで、農業やエネルギー、インフラ分野での協力を提案した。

 ウリュカエフ経済発展相によると、ロシアはギリシャ産の果物などの輸入規制を緩和する方向で、ロシアのメドベージェフ首相が9日、チプラス首相に具体策を提案する。プーチン大統領はトルコとの間で計画する天然ガスの供給計画への参加もギリシャに呼びかけた。

 チプラス首相は当初、モスクワで5月9日に開く対独戦勝70周年記念式典に合わせて訪ロする予定だったが、金融支援の延長交渉でEUと対立を深める中で訪問を前倒しした。

 ギリシャの財政改革を前提とするEUと国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)の金融支援の継続を巡る交渉は難航しており、ギリシャの資金繰りは逼迫している。チプラス首相はロシアに接近する姿勢を見せることで、EUに揺さぶりを掛ける思惑があるとみられる。

 ギリシャは経済的な実利の確保も目指している。同国政府によると、イチゴや桃などの果物は対ロ輸出の2割程度を占め、農産物の禁輸措置により2014年後半だけで8000万ユーロ規模の損害が出ている。天然ガスの6割強もロシアからの輸入に依存している。

 EUはロシアのウクライナへの軍事介入を受けて導入したロシアの金融機関や銀行を対象にした制裁を延長するかどうかを6月に判断する。延長には加盟28カ国すべての賛成が必要となる。ロシア政府筋はギリシャが1国で延長に拒否権を発動するとは期待していないとしながら、「EU内の制裁反対勢力を増やせば、フランスやスペインなど大国も動かせる」と発言した。

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO85461250Z00C15A4FF2000/

ロシアは帝政初期に旧東ローマ帝国の皇女を嫁に迎えているから、コンスタンチノープルがオスマントルコに陥落させられたときいらい、東ローマ帝国の正当な後継者にして正教会の守護者を任じている。
だから現在のロシア連邦の国章は東ローマ帝国と同じ双頭の鷲だ。

そしてギリシァは冷戦時代に西欧陣営にあったが、文明的にいえば東ローマ帝国に属し、ロシアと同じ正教会である。

ロシアにとってギリシァを自陣営に取り込むことは、大きな地政学的メリットがある。ロシア黒海艦隊はNATO加盟国である東ローマ帝国を滅亡させた宿敵トルコのコントーロルするボスポラス海峡を通過しなければ地中海に出ることができない。ギリシァに基地を設けることができれば、その必要はなくなる。

旧西ローマ帝国=カトリックとその後継のプロテスタント=ラテン語文明圏の末裔同士の文明の衝突ということになる。

EUにとってこれ以上底なし沼の援助は難しいと成れば、新たな冷戦を生む可能性がある。最早腰抜けオバマにはどうすることも出来まい。イスラエルもサウジアラビアもエジプトも全部反米にしてしまった。

◆北方領土事業に日本参加を=望まなければ韓国を検討-ロシア知事代行

2015/07/25 時事通信

 【モスクワ時事】タス通信によると、ロシア極東のサハリン州のコジェミャコ知事代行は25日、記者会見で「クリール諸島(北方領土と千島列島)発展の共同プロジェクトに日本も参加するよう今後活発に提案していく」と述べた。一方で「日本にその希望がなければ、韓国などの合弁企業参加を検討する」との考えを示した。

 ロシア政府は23日、現行の「クリール諸島社会・経済発展計画」(2007~15年)の次期計画(16~25年)を閣議決定。予算は700億ルーブル(約1500億円)で、インフラを整備して事実上の支配を固定化する狙いがある。 

 発展状況を視察するため、メドベージェフ首相は3回目の北方領土訪問を8月にも予定。プーチン大統領の年内訪日を控え、日ロ関係への影響が懸念されている。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201507/2015072500287

◆北朝鮮にロシアが異常接近

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)6月3日(水曜日)
   通算第4562号 
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 中国の北朝鮮冷遇の隙間につけいったロシアの巧緻
   最高人民会議議長、国防相、外相らが相次いでモスクワ詣で
*************************

 中国の北朝鮮への冷たい態度はまるで氷のように凍てついて、駐平壌大使は軽量級。虫の居所が極端に悪い習近平が言ったことは「中国はこの地域の安定を望んでいるが、政権の安定を望んでいる訳ではない」だ。

 この中朝冷却の政治状況に巧みに乗じて北朝鮮に影響力を増大させているのがロシアである。ソ連時代、北の最大の保護者でもあった。
 
2014年2月以来、両国の要人の往来は激しくなり、金永南(最高人民会議委員長)がソチ五輪に出席したのを皮切りに、同年十月にはリ・スヨン外相、十一月にはヒョン・ヨンチョル国防相がモスクワを訪問した。
答礼にモスクワからはガルシェカ極東開発大臣が3回、ユーリ・ツルゼフ(副大臣)らが平壌を訪問している。

2015年になって四月にヒョン・ヨンチョル国防相が改めてモスクワを訪問し、同年五月に金永南が赤の広場の軍事パレードに参列した。頻度激しい相互訪問に比べると、北京の反応は冷たい。

 ロシアは2015年を「北朝鮮友好年」として政治イベント計画中といわれる。
 五月9日の軍事パレードに参加しなかった金正恩は、国際デビューの機会を見逃したことになるが、ロシアは北朝鮮に対して暖かい姿勢を続ける。

金正恩が大事な外遊と認識しながらも、平壌を留守に出来ないのは、不在中の軍事クーデターを警戒するからであろう。

 ロシア極東部に出稼ぎにでている北朝鮮労働者は、すでに五十万人といわれ、この労賃収入によって、北朝鮮は食料危機を回避しているとも観測されている。

 実際にウラジオストクやナホトカをあるくと建設現場には北朝鮮からと見られる労働者が3K現場で働いており、カザフスタンやウズベキスタンの出稼ぎ労働者と一緒に建設作業をしていた。

 「2013年二月の三回目の北の核実験以後、中国は対北政策を極端に冷却化させてきた。6者協議も、おそらく16年秋の米国大統領選挙以後に持ち越されるだろう」(ジェイムズタウン財団『チャイナ・ブリーフ』、5月29日号)。

 ▼中国の苛立ちは本物だが、時間的余裕が狭まった

 北朝鮮に対する中国の不快感は宗主国として、家来が言うことを聞かないという単純な理由からの反発、冷遇だが、中国軍の配置を一覧すると、遼寧省の北朝鮮国境に瀋陽軍区の主力部隊およそ10万から20万人ていどを貼り付けており、いざという場合に軍事介入できる態勢にある。

 たとえば親中派の軍人等がクーデターを起こし、非常事態宣言布告後、治安維持のために中国軍を「平和維持部隊」として派遣要請するシナリオが考えられるだろう。
 瀋陽軍区は装備に優れ、機動力もある。鴨緑江を挟んだ国境の町=丹東(日本時代の安東)までの鉄道を利用して多くの装甲車、戦車が運び込まれている。それもこれも北朝鮮の核爆弾は、日本向けというより、いつでも中国に向けられる懼れがあるからだ。

 中国はロシアの北への急接近を過剰には評価しておらず、その経済的破綻情況を根本から立て直すほどの意気込みも資金もロシアにはないと踏んでいる。むしろ、この平壌のモスクワ異常接近は、金正恩の危険な綱渡りだと認識している。「ロシアはルーブル下落やインフラ建設能力の問題があり、北朝鮮へおおきなプロジェクトを運べない」というアキレス腱があるからだ。

 そして北京は北朝鮮の外相の訪問を受け入れても、数時間もまたせたうえ、いままで経験したこともない冷遇で対応した。このことに象徴されるように習近平の絶対的要求は北朝鮮の核開発凍結である。

 とはいうものの北京も九月三日に予定している「抗日戦争勝利軍事パレード」には、プーチン大統領の出席に加えて、金正恩の出席を望んでおり、最近、中国外交部は駐平壌大使を外交官僚の重鎮と交替させた。そのうえで食料援助をカードに再接近を試みているフシがある。

http://melma.com/backnumber_45206_6216341/

◆アルゼンチンがSu-24を配備!?英政府フォークランド諸島防衛を見直し

2015/01/02 FlyTeam

アルゼンチンが、ロシアからスホーイSu-24フェンサー戦闘爆撃機12機のリースを受ける模様で、イギリス国防省はフォークランド諸島の防衛について見直しを迫られています。イギリスのDaily Expressが、2014年12月28日に報じています。

ロシアは、クリミア問題でEUから牛肉や小麦粉などの食料の禁輸措置を受けています。プーチン大統領は2014年7月にアルゼンチンを訪問した際に、禁輸により不足する食料と、ロシア製兵器の交換を話し合いました。食料と交換される兵器の中にSu-24 12機のリースが含まれています。

Su-24は2,000マイル(約3,220キロ)の航続力があり、レーザー誘導ミサイルを搭載できる長距離戦闘爆撃機であることから、アルゼンチン本土からフォークランド諸島への攻撃が容易になります。イギリスは国防予算削減のため、フォークランド諸島の防衛に、タイフーン戦闘機4機とレイピア地対空ミサイル、1,200名の兵員しか派遣していません。

イギリス国防省では、2020年に空母HMSクイーン・エリザベスが実戦化するまでに、Su-24が配備されたらピンチと考え、対策を検討しているとのことです。

http://flyteam.jp/news/article/44716

ロシアは英国の一番痛いところを狙って来たな。
戦闘は無いにしても、外交戦争では一歩先を越された英国に、果たして対抗策が出せるのか?