◆ロシア海軍によるシリア巡航ミサイル攻撃の衝撃 長距離精密攻撃能力を手にしたロシア
2015年10月07日 小泉悠 BLOGOS
カスピ海からの攻撃
ロシア軍がシリア空爆を開始してから8日目となる10月7日、これまでの空軍による爆撃に加えて、海軍の艦艇からも巡航ミサイル攻撃が実施された。ロシアが実戦で海上からの巡航ミサイル攻撃を行ったのはこれが初めて。
ショイグ国防相がプーチン大統領に対して報告したところによると、カスピ海上に展開した4隻のロシア海軍艦艇から合計26発の巡航ミサイルが発射され、シリア国内の「イスラム国(IS)」拠点11カ所を破壊したという。飛行距離は1500kmに及んだ。
https://www.youtube.com/watch?v=iMasnaAf_H4
ところで、地図を見てみると分かるが(上記の動画参照)、カスピ海はシリアに隣接していない。それどころか、カスピ海からシリアに至るにはイランとイラクという2つの外国領空を飛び越えて行かねばならず、甚だ不便だ。
一方、ロシア海軍は、軍事介入を始めた当初から黒海艦隊の巡洋艦「モスクワ」を中心とする艦艇グループをシリア沖合の地中海に展開させており、つい最近もミサイル発射演習を行ったばかりである。
普通に考えれば、これらの艦艇を攻撃に使うほうが自然なのだが、そうしなかったのには訳がある。地中海に展開している黒海艦隊の艦艇はいずれもソ連時代の旧式艦で、対地攻撃の可能な巡航ミサイルの運用能力を持っていないのである。
巡航ミサイルを搭載する21361型ミサイル・コルベット(露国防省)
しかも、黒海艦隊は母港をウクライナ領セヴァストーポリに置いていたため、ウクライナ政府の同意が無ければ旧式艦を新型艦に更新することもままならず、ロシア海軍でも最も旧式化の進んだ艦隊となっていた。
一方、このような制限のないカスピ小艦隊にはいち早く、最新鋭の巡航ミサイル「カリブル-NK」を搭載したミサイル・コルベットが配備されていた。現在、カスピ小艦隊にはこのような巡航ミサイル搭載艦が4隻配備されており、合計で32発のミサイルを発射可能であったから、ほぼ全力に近い規模の巡航ミサイル攻撃が行われたことになる。
3つの衝撃
今回の攻撃は、いくつかのレベルと意味において大きなインパクトを有する。
純軍事的なレベルで言えば、その意義は、ロシアが西側並みの長距離精密攻撃能力を初めて実戦で証明したことであろう。ロシアは湾岸戦争以降、巡航ミサイルの集中使用を含む西側の精密攻撃能力をつぶさに観察し、2012年にプーチン大統領が公表した国防政策論文でも「今後は精密誘導兵器の集中使用が戦争の趨勢を決するようになる」との見通しを示していた。
空軍はすでに衛星誘導爆弾やレーザー誘導ミサイルによる精密攻撃をシリアで実施しているものの、今回の攻撃で使用されたカリブル-NKは米国のトマホークに匹敵する長射程精密誘導兵器であり、そのインパクトは遥かに大きい。
これと関連して、カスピ小艦隊の位置づけとユーラシア大陸におけるロシアのパワープロジェクション能力を見直す必要も出てこよう。周囲を大洋から隔絶されたカスピ海を担当範囲とし、大型艦や潜水艦も配備されていないカスピ小艦隊は、ロシア海軍の中でも他の4個艦隊と比べてあまり戦略的重要性の高い艦隊とは見なされていなかった。
攻撃に使用された3M14巡航ミサイルの模型(筆者撮影)
しかし、今回の攻撃により、カスピ小艦隊はロシア海軍の長距離パワープロジェクションを担う存在であることが浮き彫りになったとい言える。ちなみにカリブル-NKの対地攻撃バージョン3M-14は、最大で2000-2500kmもの射程があると言われ、カスピ海の中央部から発射すれば、キルギスタン、アフガニスタン、サウジアラビア、トルコ、南東欧あたりまでをすっぽり射程に収めうる。
今後はその他の外洋艦隊にもこの種の巡航ミサイル搭載艦が続々と配備予定であることを考えれば、ロシア海軍の戦力投射能力はこれまでより格段に向上すると考えておく必要があろう。
現在のところ、海上から大陸深奥部にまで精密誘導攻撃を行えるのは米海軍と英海軍だけだが、今後数年から10年程度で、ロシア海軍も相当の能力を備えてくると想定する必要がある。
最後に、政治的レベルにおいては、この攻撃がイラク領空を経由して行われたことに注目する必要がある。
これまでもイラクはシリアに展開するロシア機の通過を認めたり、偵察活動のためにロシア機がイラク領空に侵入することを黙認してきたほか、シリアやイランとともに合同テロ情報共有センターの設置を決めている。このように、イラクが米国の同盟国でありながらロシアへの接近を強めつつある中、巡航ミサイルの通過をも認めたことはその傾向をさらに決定づけるものと言えよう。
http://blogos.com/article/138050/
◆ロシアのミサイル発射で混迷深めるシリア情勢
2015.10.9 BBC News JB PRESS
シリアのアサド政権を支援するロシアがカスピ海から巡航ミサイルを発射したことで、シリア領内で反アサド勢力を支援しているアメリカなど欧米諸国の懸念が高まっています。シリア政府軍と反政府勢力の対立がさらに複雑になるだけでなく、シリア領内でロシアと欧米の偶発的な衝突の回避が急務となっています。
(BBC News 動画あり)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44968
またジャイロとグロナス誘導で命中率も相当に高い。
タクティカルトマホークなどは発射後のプログラム変更とかできるし、トンデモな方向行ってからグルッと回って戻ってくるしちょっと上空停止して様子も伺える。
◆【国際】ロシア海軍、カスピ海からIS拠点にミサイル発射 シリア攻撃、一気に拡大
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151007-00000143-jij-int
◆ロシアはテロリストを空爆し、米国は病院を空爆した
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)10月6日(火曜日)
通算第4674号 <前日発行>
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「ロシアはテロリストを空爆し、米国は病院を空爆した」(プラウダ)
「ロシアはISISより、反アサド勢力を空爆している」(オバマ政権)
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空爆と舌戦が続いている。
ロシアが空爆を開始したため、混乱が生じた。ロシアはテロリストの拠点を攻撃していると言い張りながら、じつは反アサド勢力の拠点を空爆している。この反政府勢力は米軍が軍事訓練をしてきた部隊と言われ、米国はいたく立腹している。
トルコは空爆に加わっているが、やはりISIS拠点ではなくクルド武装勢力の拠点を狙っている。サウジ、カタール、UAEなど湾岸諸国も空爆に加わっているが戦果は不明である。
ロシアは地上部隊を二千名、配備に付けたようで、イランも傘下のヒズボラ戦闘部隊を送り込んでアサド支援に回っている。本格的な地上戦闘が開始される可能性は日々高まっている。
問題はこうだ。
ロシアの狙いはISISの実質的な戦闘部隊司令官のチェチェン人を殲滅することにあり、ISIS全体が攻撃目標ではない。
トルコもISISに紛れているクルドの戦闘部隊殲滅である。中国が、これからどう出るかは不明である。
米国はイラクに精鋭部隊を組織しようとして、数百の規模でイラク人を訓練して最新兵器を供与してきたが、ISISが攻め込んだとき、かれらは武器を放置して逃げた。
マリキ政権が依怙贔屓で、部隊を速成し、訓練も殆どないままだったうえ、部隊幹部は腐敗の極にあった。
兵隊はサダム残党や旧バース党が多く、そんな軍隊にいつまでの付き合っている気はなかった。つまりいかに最新兵器で武装していようとも司令層が腐敗し、逃げ出す構えでは兵隊は闘わない。日清戦争で最新鋭軍艦を装備していても日本に蹴散らされたシナ人と同じである。
いまの中国軍もいざ戦争となれば、すぐに逃げ出すだろう。
反アサド勢力も、米軍の肝入れで訓練しても、残ったのは50名前後、しかも戦闘が始まると米軍が供与した最新兵器を置き去りにして逃げたため、これらはヌスラ宣戦にながれた。
そうした状況下にロシアとイランが地上部隊をいれて、アサドを守ろうと言うのである。風向きは変わった。
http://melma.com/backnumber_45206_6268275/
米軍に誤爆されたと言う国境なき医師団
実はフランス情報部の息がかかった団体である。人助けしてるフリして情報活動をする集団で誤爆でなく、明らかにわざとだ。
医師団の中の「事務員」とか「業務調整員」あるいは「ロジスティック」ってのが大体、情報員。
戦場においてはゲリラと同じ扱いされてもしょうがない。米国もフランスと色々問題を抱えているようだ。
国境なき医師団から分派した「メデュサン・ドュ・モンド」ってのは、裏の仕事が嫌だった。
◆イスラム世界で繰り広げられる戦争
敢然と立ち向かうプーチン大統領、躊躇するオバマ大統領
2015.10.9 The Economist JB PRESS
(英エコノミスト誌 2015年10月2日号)
シリアにロシアが介入し、アフガニスタンで米国がためらう危険性
米ロ関係が急速に冷え込む中、中東でもバラク・オバマ大統領とウラジーミル・プーチン大統領が対照的な動きを見せている〔AFPBB News〕
ウラジーミル・プーチン氏の話を聞くと、ロシアは新たな対テロ世界戦争の指導者になった。対照的にバラク・オバマ氏は、米国が10年以上にわたり戦ってきたイスラム世界での戦争に、日ごとに嫌気がさしているように見える。
ロシアの戦闘機は9月30日、窮地に立つバシャル・アル・アサド大統領の軍隊を支援するために行動を起こした。
ロシアはイラク、イランとの間で情報共有ネットワークを構築しつつある。ロシア正教会は聖戦を話題にしている。
米国の撤退が残す空白
「イスラム国(IS)」と戦っているというプーチン氏の主張は、控えめに言っても疑問の余地がある。
ロシアの空爆初日に見られた証拠は、空爆が、米国に支持されている勢力を含めたスンニ派反政府勢力を攻撃していることを示していた。たとえそれが政治劇場と大差なかったとしても、ロシアは1970年代にソ連が追い出されてから米国の領域だった中東で最大の行動を起こしている。
一方、アフガニスタンでは、タリバンに対する米国の軍事行動が打撃を受けている。タリバンは9月28日、同国北部のクンドゥズを制圧した――2001年にタリバンが権力の座から追い出されてから初めてその手に落ちた州都だ。アフガニスタンの軍隊は、3日後にクンドゥズ中心部を奪還した。だが、たとえアフガニスタン軍が完全な支配権を確立したとしても、今回の攻撃は屈辱だった。
クンドゥズもロシアのシリア爆撃も、同じ現象の兆候だ。すなわち、イスラム世界の戦争から身を引こうとするバラク・オバマ氏の試みによって生じた空白である。
オバマ大統領は先の国連総会で、米国は「単独で異国の地に安定をもたらすことはできない」ことを学んだと述べた。イランとロシアを含め、他国もシリアで手を貸すべきだという。
オバマ氏は完全に間違っているわけではない。だが、同氏の提案は多くの危険を覆い隠している。米国がお手上げだと諦めること。地域の大国が米国の離脱を感じ取って混乱状態に飲み込まれること。そして、ロシアの介入が血みどろの戦争をもっと血みどろにすることだ。
オバマ氏が方針を転換しない限り、さらに多くの死者、難民、過激思想が予想される。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44957
◆ロ大統領報道官「ロシアはシリアで合法的に軍事作戦を行う唯一の国」
2015年09月30日 Sputnik 日本
水曜日、ロシアのドミトリイ・ペスコフ報道官は、記者団に対し「ロシアは、合法的基盤に立って、つまりシリア当局の要請に従って、この国で軍事作戦を行っている唯一の国だ」と述べた。
ペスコフ報道官は、ロシア空軍は「IS(イスラム国)」戦闘員らの陣地のみ攻撃すると保障できるのか、との記者の質問に対し、次のように指摘した-
「第三国の領内での軍事力の行使は、そもそも、国連安全保障理事会決議か、その国の合法的な政権の要請があって初めて可能である。
今回の場合、ロシアは事実上、合法的な基盤の上で、その作戦を行う唯一の国になるだろう。我々は、シリアので合法的に選ばれた大統領の要請に従って行動している。
ロシア上院 ロシア軍を外国で使用することを許可する決議を承認
我々の基本的な課題は、テロリストや過激主義者との戦闘で、シリアの合法的な政権を支援し、テロリストらと戦うことである。」
http://jp.sputniknews.com/politics/20150930/975818.html#ixzz3nJCnIS7O
ソ連が崩壊し、KGBが解体され、多くのKGBがCIAにリクルートした。特に米国内で活躍していた者の殆どがそのまま米国に留まった。その一人がオバマである。しかし関東軍解体の時もそうだったが、諜報部員が国を違えても元同僚という絆は非常に強い。
元KGBであるCIAとプーチンは元同僚である。諜報部員は必ずしも国の方針には縛られずに動く。誰よりも左右両方からの支持があるプーチンには、オバマの数々の謀略は手に取るようにわかる。元同僚にまで愛想を尽かされるオバマとは違う。
◆ 「ロシア人義勇兵」参加も=シリア地上作戦検討か
2015年10月6日 時事通信
【モスクワ時事】ロシアのコモエドフ下院国防委員長は5日、過激派組織「イスラム国」と戦うアサド政権を支援する名目で開始したシリア空爆に関して「(ウクライナ東部で親ロシア派として戦った)ロシア人義勇兵がシリア政府軍(の地上作戦)に参加するだろう」と語った。
インタファクス通信が伝えた。
「イスラム国」掃討には地上作戦が不可欠として、国防省内で検討されているとみられる。ロシアはウクライナ東部紛争で「義勇兵」と称して最精鋭の空挺(くうてい)軍などを送り込んだ。プーチン大統領は「シリアで地上作戦は行わない」と説明するが、義勇兵を隠れみのに極秘作戦を行う可能性がある。
派兵が現実となれば、ロシアが支援するアサド政権と「イスラム国」など過激派組織、欧米が支援する反体制派が戦うシリア内戦がさらに複雑化しそうだ。戦闘の泥沼化や、同組織によるロシア本土への報復テロを招きかねないとも指摘されている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151006-00000095-jij-int
◆ロシアの影の戦争 IS参加チェチェン人を根絶
ロシア軍シリア空爆の狙い
2015年10月05日 佐々木伸 (星槎大学客員教授)WEDGE Infinity
ロシアのシリアでの空爆が続いている。ロシアが過激派組織「イスラム国」(IS)ではなく、アサド政権に敵対する反体制派への攻撃に重点を置いていることも鮮明になっており、米欧との対立が激化している。当のロシアはあくまでもテロとの戦いを強調しているが、チェチェン系過激派の根絶やしを狙ったプーチン大統領の“影の戦争”が浮かび上がってきた。
10月1日、モスクワで行われた市民社会発展・人民委員会で、ロシアのシリア空爆による市民への被害を否定した(Gettyimages)
チェチェン人2500人がIS合流
ロシアが9月30日に空爆を開始して以来、連日のように作戦が展開されているが、標的のほとんどはアサド政権に敵対する北部や西部ホムス県の反体制派組織だ。空爆3日目の2日、やっとISの首都のあるラッカ周辺のキャンプなどを攻撃したが、西側専門家によると、ISなどの過激派を狙うのは20回のうち1回程度の割合だという。
一連の作戦を見る限り、ロシアの当面の目標は、アサド政権に敵対する反体制派勢力をたたき、政権の延命を図ることにあるのは明らかだ。シリア空爆作戦を展開している有志国連合の米英仏など7カ国は「ロシアの攻撃は内戦をエスカレートさせ、過激主義に油を注ぐもの」と批判する声明を発表、オバマ大統領も「事態を泥沼化させるだけ」と非難した。
これまでの情報によると、民間人約40人が犠牲になっており、今後も巻き添え被害が急増するのは必至。ロシアの攻撃を受けた米中央情報局(CIA)が支援する反体制派組織は、ロシア機を撃墜するための地対空ミサイルの供与を米国に要求している。しかしオバマ大統領は、シリアでロシアと代理戦争する考えはない、とロシアとの軍事的な衝突は避ける考えだ。
こうした中で、プーチン大統領の軍事介入の影の意図も次第に明らかになってきている。ロシアとの関係が深いレバノンのドルーズ派の指導者、ワリド・ジュンブラッド氏によると、プーチン大統領は国内のチェチェンやダゲスタンなど北コーカサス地方の数千万人に上るスンニ派に脅威と強迫観念を持っており、今回の軍事作戦で、ISに加わっているチェチェン系の過激派の根絶やしを狙っているのだ、という。
ISには現在、チェチェン人の過激派が約2500人も合流している。2013年にはISの前身の組織にいたチェチェン人は約200人だったといわれ、その勢力が急速にISに流入しているのだ。このチェチェン人軍団はその勇猛な戦いぶりにより、ISの内部で存在感と発言力を高めている。
中でもISの軍事司令官の地位に就いているオマル・シシャニ(30)はチェチェン人軍団の頭領である。父はキリスト教徒、母がイスラム教徒で、グルジア軍の元軍曹。2012年にシリア入りした後、2013年半ばにISの指導者、アブバクル・バグダディに忠誠を誓った。ISの最高意思決定機関である「諮問評議会」のメンバーとされる。
ロシア軍シリア拠点への急襲も
このチェチェン人軍団はISの特殊作戦を担う「突撃部隊」とされ、今年春にイラクの油田地帯、北部キルクークに奇襲攻撃を仕掛けたのもこのチェチェン人軍団だったという。一部の情報によると、この軍団がロシアへの報復のため、ロシア軍が基地とする地中海沿岸ラタキアの空軍基地を急襲するため、山岳地帯を基地に向かっている、という。
ロシアではこれまで、第1次(1994~同96年)、第2次(1999~2009年)という2度に渡るチェチェン紛争が勃発、それに伴いモスクワの劇場占拠事件、旅客機同時爆破、地下鉄爆弾事件などのテロも続発した。旧ソ連時代の国家保安委員会(KGB)出身のプーチン氏はこれら紛争と過激派対策に取り組んできただけに過激派にはとりわけ過敏だ。トラウマになっているとも言える。
最近では、ISの影響力が北コーカサス地方に浸透しており、国内的な過激派対策上からも、IS内のチェチェン人軍団を徹底的に叩いておこうという思惑があったのは間違いない。
しかしプーチン氏にどんな思惑があったにせよ、ロシアの今回の軍事介入は同氏にとって危険な賭であることに変わりはない。米紙ニューヨーク・タイムズは「プーチン、大釜に突っ込む」という見出しで、同氏が火中に手を突っ込んだことを強調した。
ロシアはすでにアフガニスタン侵攻(1979年)で手痛い敗北を喫し、イスラム過激派の恐さは十分過ぎるほど身に染みている。「ロシアも米国も同じだ。復讐する」(反体制派指導者)という声をプーチン氏はどう聞くのか。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5450
2015年10月06日 Sputnik 日本
ボグダノフスキー第一参謀次長を長としたロシア軍代表団が、2日間の日程でイスラエルを訪問する。ロシア代表団はイスラエルで、イスラエル軍の代表者とシリアでの行動連携ならびに紛争解決について協議する。
匿名を希望するイスラエルの将校は、次のように語った-
「10月6日、イスラエルのゴラン参謀次長が、ロシアのボグダノフスキー第一参謀次長と会談する。会談はテルアビブで開かれる。これは2日間の日程で行われるロシア軍代表団イスラエル訪問の一部となる。会議では、地域における行動連携などについて話し合われる」。
イスラエルは、シリアのアサド大統領の要請に従ってシリアでテロ組織「IS(イスラム国)」の拠点に対して空爆を行っているロシア軍との偶発的衝突を避けながら、シリアでの行動の自由を維持しようとしいている。
イスラエルのネタニヤフ首相が9月にモスクワを訪問した時、シリアでの連携・調整メカニズムの創設について基本的合意に達していた。なおネタニヤフ首相のモスクワ訪問には、イスラエルのアイゼンコット参謀総長が同行した。
最近数年間、外国のマスコミは、イスラエル空軍がシリアでの空爆、倉庫や車列への爆撃、偵察飛行に関与しているという情報を一度も報じていない。イスラエルは通常、このような報道についてはコメントしないが、危険性が生じた場合には、軍事力を行使する用意があると、その都度発表している。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20151006/1000373.html#ixzz3nyjf39YY
ブーチンはISISの最高指導者アブ・バクル・アルバグダディがモサドであることを知っている。しかもISISが占領した油田をイスラエルとトルコが密売を手伝っていることも。
反米に転じたイスラエルとトルコはプーチンからすれば、敵の敵は味方ということだろう。
ISISが油田占領時に関わったのがチェチェン人軍団であり、プーチンが殲滅を計る標的の動向を当然イスラエルは知っている。イスラエルはシリア政府を脅かす反政府軍には現在関与していない。反政府軍は元々欧米が送り込んだ傭兵であるが、イスラエルは当初のスポンサーの一国でもある。
当然ロシア軍とイスラエル軍は戦闘上で打ち合わせすべき事が山ほど有るだろう。
◆元米国務長官、「シリア問題で米国は自身の手で自分を袋小路に追いやった」
2015年10月10日 Sputnik 日本
ローレンス・ウィルカーソン元米国務省長官はロシアのテレビ局RTからのインタビューに答え、シリアのアサド政権転覆に対するホワイトハウスの執着が、「イスラム国(IS)」に立ち向かうために露米イラン、トルコの力を集結させる障害となっていると語った。ウィルカーソン氏は、米国はシリア問題において自分で自分を袋小路に追いやったと指摘している。
ウィルカーソン氏は、パウエル元大統領上級顧問外交問題担当やホワイトハウスの一連の役人がオバマ大統領に対し、シリア危機の唯一の原因は…、旱魃と水不足でシリア農民らが都市に流入している状況だと納得させた段階で、米国はシリアの内戦に「加わってしまった」と考えている。こうした状況が出来上がっていたがために、米国は「人権擁護」メカニズムを使わざるを得なくなったというのだが、実のところは米エリートの一部が別の目的を追求したに過ぎなかった。
「パウエルのような人間が誤ってこれはアサド政権転覆のチャンスだと思ってしまったのだ。アサドを彼らは無慈悲な専制君主扱いしていたからだ。シリア大統領引きずり下ろすにはエジプトのムバラク政権転覆に使われた「雛形」どおりに行われるはずだった。だがこの方法は明らかにうまくいかなかった。ムバラクがエジプト国民に忌み嫌われていたのであれば、その辞任は時間の問題だったが、アサド政権はその逆にシリアの様々な社会層に支持されている。軍人、アラブ人社会、特に首都ダマスカスの実業界がアサド氏を支えている。」
「アサド氏が近い将来どこかへ出て行くという前提は何もなかった。米国は、アサドは出て行くべきだという愚かな声明を表した。こういうのを『自分の仕掛けた地雷にひっかかる』と言うのだ。」
ウィルカーソン氏は、シリア大統領が米国にとって「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからぬ人物)」になった段階で米国政府は自らのシリア政策の過ちを認め、アサド大統領との関係を一歩後退させて、「イスラム国(IS)」との闘いに全力を投球すべきだったとの見解を示している。
http://jp.sputniknews.com/politics/20151010/1017804.html
◆欧州委員長「米国は、我々がロシアとどう付き合うか、指図する事などできない」
2015年10月10日 Sputnik 日本
EUの政策執行機関、欧州委員会のジャン-クロード・ユンケル委員長は「欧州にとって、ロシアとの関係確立は必要不可欠だ」と述べ「米国政府は、我々がどうロシアと関係を持つべきかについて、指図する事などできない。ロシア当局との関係改善のため、努力する必要がある」と述べた。
ちょうど一週間前にパリで、ウクライナ問題に関する所謂「ノルマンジー4者」会合が開かれた。会談結果を総括するいかなる文書も、調印されなかったが、会合後、ロシア、ドイツ、フランス、ウクライナの首脳は「肯定的な見通し」を口にし「見解が近づいた」と指摘した。
これまで、欧州は、対ロシア関係においていかなる政策を実施すべきか、米国が指図するのを許してきた。米国は、欧州に対し、対ロ制裁を導入するよう、文字通り強制した事を隠してさえいない。
米国のバイデン副大統領は、次のように公言した-
「欧州の人々が、制裁を望んでいなかったことは確かだ、しかし米指導部と米大統領は、それをあくまで要求した。そして、経済的損失を被るというリスクを負いながらも、ロシアが報いを受けるようにするため、しばしば欧州を厄介な立場に置いてしまった。」
しかしユンケル委員長の発言は、EUの立場が変更される可能性のあることを示唆している。ユンケル委員長の発言が、ウクライナ情勢に関連した制裁の緩和を告げるものとなる事もあり得る。なぜならEU加盟国のいくつかの国々の経済は、対ロ制裁により、深刻な損失を被っているからだ。制裁措置は、貿易取引高の縮小をもたらしただけでなく、ロシアの側からの対抗制裁を呼び起こしてしまった。特に、EUからの食料品輸入の禁止は、欧州の生産者に大きな打撃を与えた。
対ロシア制裁を延長するかどうかの問題は、今年末、投票に持ち出される。双方が接近している現在の状況は、おそらく、そうした投票の結果に影響を与えるだろう。
http://jp.sputniknews.com/politics/20151010/1017861.html#ixzz3oAXyb1SN
◆米国 シリアの反政府勢力養成プログラムを中止
2015年10月10日 Sputnik 日本
米国は、シリアの反政府勢力養成プログラムを中止する決定を下した。匿名を条件に、米国政府高官が明らかにした。
匿名の政府高官は、新聞The New York Timesの取材に対し、オバマ政権がそうした措置を取る決定を下したのは、シリアにおける反政府勢力の育成や戦闘員の養成を目指したプログラムが失敗に終わったからだと認めている。
http://jp.sputniknews.com/middle_east/20151010/1015603.html#ixzz3oAdIBn9U