ここ数日というもの、「火の鳥」の世界にのめり込んでいます。今から40~50年も前に夢中になって読んでいたマンガの作品に、またこうして再び夢中になるなんて、そして新たな感動を得ながら読むことができるなんて、ホント「手塚治虫、恐るべし!」「手塚ワールドは尊大だ!」と再認識しています。
今回読了したのは、「火の鳥」(朝日ソノラマ版)の5巻「復活編」と、6巻「望郷編」です。まぁちょっと内容にも触れて紹介しますね
まずは「復活編」です。
2483年。交通事故で死んだレオナは、ニールセン博士の再生手術で生き返りました。それは死人を復活させる実験だったのです。レオナには後遺症が残り、人間がみにくい無機物に見えるようになってしまいました。逆にレオナは事務用の何の表情もない冷たい金属製のロボット・チヒロと出会い、恋に落ちます。感情を持たないはずのチヒロにも、感情が芽ばえ始めました。
チヒロをさらったレオナは、逃亡先で宇宙移民を密輸する闇商人たちと出会います。
闇商人の主治医であるドク・ウィークデイは、レオナの遺言を聞き入れ、レオナの心とチヒロの心をひとつにしてロボットを作りました。それが、感情を持つロボット・ロビタの誕生でした。
このロボット・ロビタは、「未来編」にも登場していましたね。 死んだものはまた別の生き物となって生まれ変わるという輪廻転生の世界に、何とロボットまでもが組み込まれているのですよ。手塚ワールド、すごいですね!すばらしい!
続いて「望郷編」です。こちらは概要を、手塚作品のHPから抜粋しますね。
恋人のジョージと少女ロミが無人の惑星エデン17で、ふたりだけの新生活を始めた矢先、ジョージは事故で死んでしまいました。しかし、そのときロミはジョージの子どもをみごもっていました。ロミはその子どもと自分だけで星を守る決心をし、ジョージの子どもとの間に子孫をつくるために人工冬眠を繰り返します。
けれども、それを何度くりかえしてもなぜか男しか生まれません。ところが、ロミが何度目かの冬眠から目覚めると、そこにはロミの子孫たちによって、エデンという豊かな街ができていました。火の鳥が、宇宙の不定型生物ムーピーとロミの子孫との間に子どもをつくらせたのでした。
ロミはそのエデンの女王になりましたが、しだいに地球へ帰りたいという思いがつのってくるのでした。ある日、エデン人の少年コムは、禁断の山奥で、岩でできた不思議な宇宙船を見つけ、それに乗って、ロミとともにまだ見ぬ故郷・地球への旅に出たのです。
なんという壮大なストーリーでしょう。「生命」を人間や地球上の生物だけでなく宇宙的規模で捉え、宇宙という様々な生物や種族が存在する世界では自分たちの当たり前が全く通じない。異星人の立場から見る地球人、いわゆる人間の姿が珍しいものとして描かれているのも斬新です。なんか現代のダイバーシティの発想の先取りって感じがします。
エデン人の少年コムの「目って不便でムダだね、そんなことに気を使わなけりゃならないなんて」っていうセリフに、ボクは驚愕でした。明らかに40~50年前に同じ作品を読んだ時とは、異なる受け止めをボクはしていました。半世紀経ってボクは手塚治虫にようやく追いついたのか!
この「望郷編」には、「未来編」に登場した不定型生物ムーピーと、「宇宙編」に登場した宇宙船パイロットの牧村が再登場し、重要な役割を演じています。これも「火の鳥」というこの作品のそれぞれ各編が独立した作品として描かれながらも、壮大なスケールで1つにつながり、その伏線が各編のいろいろなところに散りばめられている大きな魅力です。ボクの好きな「猿田彦(猿田・我王)」はわずかしか登場しませんが、それ以外の登場人物にも大きく惹かれる「望郷編」でした。
では、続きはまた