リボンたちの接吻中、よく耳を澄ましてみると、「お花になりたい」とか、
「あの人に好かれたい」とか、切ない声がたくさんしました。
おんなのこは、その渦に巻き込まれて、倒れてしました。
「ねえ、リボンってなんなのさ?」
近くで小さな声が聞こえました。
うっすら目を開けてみると、そこには、胸に小さな赤いリボンをつけた
はだかんぼの小さなおんなのこが立っていました。
「え?今、なんて言ったの?」
「だからー、リボンっていったいなんなのさ?」
おんなのこは、カボチャのお尻も脱ぎ捨て、肥大した心臓も放りだして、
彼女のもとに駆け寄りました。
「それ。それだよ。あなたの胸についている、その赤いの。」
「え?これ?これなの?」
「そうだよ!」
「産まれたときからついてるよ!」
「あはははは」
「うふふふふ」
二人は、笑い合いました。
第一話 完