多摩美術大学の長谷川祐子教授(キュレター:第50回ヴェネチアビエンナーレコミッショナー、現東京都現代美術館事務企画課長)の展覧会設計というゼミで企画する展示会に出展します。
■名称:「感情の強盗」
■会場:BankART studio NYK
■会期:平成19年11月10日(土)~平成19年11月18日(日)
■出展アーティスト敬称略: 榎忠、柿崎順一、チャン・ジア、chim↑Pom(チンポム)和田昌弘、真珠子、西尾美也
展示主旨
五感全体を刺激する作品群によって、思考させるのではなくよ
り感覚的/生理的に作品や空間そのものを肌で感じることがで
きる展覧会を構成します。
死にまつわる恐怖の感覚や、触覚・嗅覚などの感覚器官を通し
て伝わる日常的な感覚。あるいは見るだけで嫌悪してしまうよ
うな生理的な感覚...これら人間が誰しも持ち得る感覚を覚
醒させることから、鑑賞者ひとりひとりの世界に対する捉えか
たを研ぎ澄ましてもらうことが目的です。
同時に、作品を鑑賞することで、鑑賞者のリアクションを引き
出し、同時刻に偶然会場に居合わせた者同士が互いの感覚を理
解出来るようなアクティブな展示空間の発生が期待されます。
鑑賞者が主体的に、みること・感じ取ることに素直になっても
らい、本展覧会がより豊かに生きる為のきっかけとして作用で
きればと考えます。
企画趣旨
本ゼミは『都市と批評』コースのひとつであり、展覧会の企画、実施過程を理論的・実践的に体験することで、展示の機能やポリティクスに対する理解を深める授業です。
今年は様々な芸術的試みが交差する横浜という都市の中で、美術の在り方を問いかけることから企画構想が始まりました。
現在、都市や人々が暮らす場所では多くの芸術文化活動が開催され、美術の領域においても社会との接点を求められています。私たちは、昨年の秋葉原のアキバスクエアにおける展覧会の経験を経て、第2回目となる今回は、横浜という多文化的な場所において、BANK ARTstudioNYKというアートを発信する1拠点を展示会場に選びました。都市に暮らし、行き交う人々との新たなコミュニケーションの方法を美術を介して考え、実践します。
今回はアートスペースという文脈において、普段はアートに興味を持たない一般の人々に対しても、アピールし、幅広くアクセスしてもらうことを目指して、感覚や感情に強く訴えかけるという趣旨の「感情の強盗」展を立案しました。訪れた人々が主体的に「みる」こと——「感じ取る」ことに素直になってもらい、本展覧会が都市の中で、より豊かに生きる為のきっかけの一つとなればと思います。
企画概要
本展覧会では作品を観てその意味を探るのではなく、まず鑑賞者一人一人に作品をダイレクトに感じてもらうこと、また、作品を通してストレートに感覚に訴える体験を鑑賞者に提供することからストーリーを展開します。これにより、展示作品を鑑賞することで起こりうる、動的で目に見える観客のリアクションを引き出すことが可能です。このことから、同時刻に偶然会場に居合わせた鑑賞者同士が互いの感覚を理解出来るようなアクティブな展示空間の発生が期待されます。
五感全体を刺激する作品群によって、あえて思考の阻害を仕掛けることで、まず感覚的に作品や空間そのものに入っていける展覧会を構成します。鑑賞者を生理的/感覚的に強いゆさぶりをかけることで、日常の感覚から一旦遮断して、自分の感覚の受容の可能性を再認識してもらうことが目的です。
例えば榎忠の沖縄・米軍キャンプで集められた100万発の薬莢は、膨大な数で鑑賞者を驚かせるとともに、それらは確実に人間が使用した実弾であり死のイメージを身体深くに挑発しつづける作品です。Chang Jia (チャン・ジア)の映像作品では目を覆いたくなるような暴力的描写が用いられ、心の奥底から生理的嫌悪感を呼び起こされます。
死の恐怖の感覚や、触覚や嗅覚などの感覚器官を通して伝わる日常的な感覚。あるいは見るだけで嫌悪してしまうような生理的な感覚。これら人間が誰しも持ち得る感覚を覚醒させることから、鑑賞者ひとりひとりの世界に対する捉えかたを研ぎ澄ましてもらうことが目的です。
美術を介し、鑑賞者の感覚を開いた結果、「楽しい/怖い/気持ちが悪い/面白い」などの感情と素直に向き合うことのできるような、従来の展覧会では味わうことができない体験を与えることを目指します。
入場料 無料
主催 多摩美術大学芸術学科長谷川祐子ゼミ
感情の強盗展実行委員会
企画監修 長谷川祐子(本学教授)
展示空間構成 指導:近藤哲雄(本学講師)
監修:妹島和世(本学客員教授)
サイト http://www.cpue.org/2007kg/