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社員が生き生きと働くことができ,万が一訴訟を提起された場合でも勝てるようにするためには

2015-09-08 | 日記

社員が生き生きと働くことができ,労使紛争が起きにくく,万が一労働問題に関する訴訟を提起された場合でも勝てるようにするためには,どういったイメージで労務管理を行えばよろしいでしょうか。


 労働問題に関する訴訟で勝てるようにするために法令を遵守することは当然必要となりますが,労務管理の在り方としては,形式的に法令を遵守しているだけでは十分とはいえません。社員の多くが「この会社で働くことができて幸せだ。」と思いながら働いている状態にすることを目指すべきですし,少なくとも「他の会社で働くよりは,うちの会社で働いていた方がまだ幸せ(マシ)だ。」くらいは思ってもらえるようにする必要があります。
 この会社で働くことができて幸せだと思ってもらえるような労務管理を行うことにより,社員が生き生きと働くことができるようになり,会社も利益が上がりやすくなりますし,社員のキャリア形成にもプラスに働くという好循環が生まれることになります。また,労使紛争は起きにくくなりますし,一部の問題社員との間で労使紛争が生じて訴訟を提起されたとしても,勝つ確率が格段に高くなります。
 他方で,社員が「他の会社で働くよりも不幸だ。(良い転職先が見つかったら,すぐにでも辞めてやる。)」と思いながら働いているようでは,労使紛争が起きやすく,訴訟でも負ける確率が高くなります。社員の士気が低ければ,業務効率も悪化しますので,会社が利益を上げることも,社員が良好なキャリア形成することもできなくなるという悪循環に陥る可能性が高くなります。



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労組法17条の「同種の労働者」の範囲は一般的にどのように判断すればよろしいでしょうか。

2015-09-08 | 日記

労組法17条の「同種の労働者」の範囲は一般的にどのように判断すればよろしいでしょうか。


 行政解釈は,「同種の労働者」は労働協約の適用され得る範囲によって決定され,例えば,当該労働協約が工場事業場の全従業員に適用され得るものであれば,当該工場の従業員たるもの,工員のみについて適用され得るものであれば,工員たるもの,旋盤工のみに適用され得るものであれば,旋盤工たるものがそれぞれ「同種の労働者」であるとしています(昭和24年10月24日労収8180号)。



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労組法17条の「常時使用される」労働者とは,どのような労働者のことをいいますか。

2015-09-08 | 日記

労組法17条の「常時使用される」労働者とは,どのような労働者のことをいいますか。


 労組法17条の「常時使用される」労働者とは,常時使用されているということが客観的に判断しうる状態にある労働者をいい,臨時工等の有期契約労働者であっても,契約が反復更新されて常時使用されているということが客観的に判断しうる状態にあるときは「常時使用される」労働者に該当するものと考えられています(昭和24年5月28日労収2829号参照)。



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労組法17条の趣旨を教えて下さい。

2015-09-08 | 日記

一の工場事業場に「常時使用される同種の労働者」の4分の3以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは,当該工場事業場に使用される他の労働者に関しても,当該労働協約が適用されるものとする旨定める労組法17条の趣旨を教えて下さい。


 労組法17条の趣旨は,「主として一の事業場の4分の3以上の同種労働者に適用される労働協約上の労働条件によって当該事業場の労働条件を統一し,労働組合の団結権の維持強化と当該事業場における公正妥当な労働条件の実現を図ること」にあります(朝日火災海上保険(高田)事件最高裁平成8年3月26日第三小法廷判決)。



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就業規則に反する労使慣行が労働契約の内容となることがありますか。

2015-09-08 | 日記

就業規則に反する労使慣行が労働契約の内容となることがありますか。


  民法92条(任意規定と異なる慣習)は,「法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において,法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは,その慣習に従う。」と規定しており,就業規則に反する労使慣行が同条にいう慣習(事実たる慣習)として認められれば,労働契約の内容となることになります。
 問題は,どのような場合に就業規則に反する労使慣行が同条にいう慣習(事実たる慣習)として認められるかですが,商大八戸ノ里ドライビングスクール事件大阪高裁平成5年6月25日判決は,「民法92条により法的効力のある労使慣行が成立していると認められるためには,同種の行為又は事実が一定の範囲において長期間反復継続して行われていたこと,労使双方が明示的にこれによることを排除・排斥していないことのほか,当該慣行が労使双方の規範意識によって支えられていることを要し,使用者側においては,当該労働条件についてその内容を決定しうる権限を有している者か,又はその取扱いについて一定の裁量権を有する者が規範意識を有していたことを要するものと解される。そして,その労使慣行が右の要件を充たし,事実たる慣習として法的効力が認められるか否かは,その慣行が形成されてきた経緯と見直しの経緯を踏まえ,当該労使慣行の性質・内容,合理性,労働協約や就業規則との関係(当該慣行がこれらの規定に反するものか,それらを補充するものか),当該慣行の反復継続性の程度(継続期間,時間的間隔,範囲,人数,回数・頻度),定着の度合い,労使双方の労働協約や就業規則との関係についての意識,その間の対応等諸般の事情を総合的に考慮して決定すべきものであり,この理は,右の慣行が労使のどちらに有利であるか不利であるかを問わないものと解する。それゆえ,労働協約,就業規則等に矛盾抵触し,これによって定められた事項を改廃するのと同じ結果をもたらす労使慣行が事実たる慣習として成立するためには,その慣行が相当長期間,相当多数回にわたり広く反復継続し,かつ,右慣行についての使用者の規範意識が明確であることが要求されるものといわなければならない。」「したがって,右の要件を充たす場合には,労働協約や就業規則に反する労使慣行が事実たる慣習として認められる場合がありうるのであって,この点において,控訴人の主張(長期間反復継続して行われた労働条件等に関する取扱いに基づいて労働契約が成立したとされたことがありうるのは労働協約や就業規則の明文の規定に反しないという範囲に限られるとの主張)は採用することができない。」と判示し,同事件の上告審判決である最高裁平成7年3月9日第一小法廷判決は,原審の判断は結論において正当として是認することができると判断し,上告を棄却しています。
 商大八戸ノ里ドライビングスクール事件判決を参考に考えれば,就業規則等に反する労使慣行であっても,その慣行が相当長期間,相当多数回にわたり広く反復継続し,かつ,当該労使慣行についての使用者の規範意識が明確である場合には,労働契約の内容となるものと考えられます。


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賃金減額に対する同意の有効性の判断基準を教えて下さい。

2015-09-08 | 日記

賃金減額に対する同意の有効性の判断基準を教えて下さい。


 「既発生の」賃金債権の減額に対する同意は,既発生の賃金債権の一部を放棄することにほかなりませんから,それが有効であるというためには,それが労働者の自由な意思に基づいてされたものであることが明確である必要があります(シンガーソーイングメシーン事件最高裁昭和48年1月19日第二小法廷判決)。
 「未発生の」賃金債権の減額に対する同意についても「賃金債権の放棄と同視すべきものである」とする裁判例もありますが,「未発生の」賃金債権の減額に対する同意は,労働者と使用者が合意により将来の賃金額を変更した(労働契約法8条参照)に過ぎず,賃金債権の放棄と同視することはできないのですから,通常の同意で足りるものと考えるべきでしょう(北海道国際空港事件最高裁平成15年12月18日第一小法廷判決)。
 いずれにせよ,賃金減額に対する同意の認定は慎重になされることが多いですから,最低限,書面での同意を取っておくべきです。賃金減額に異議を述べなかったという程度で黙示の同意を認定してもらうのは難しいケースが多いものと思われます。
 就業規則で定める基準に達しない賃金額を合意してもその合意は無効となり,就業規則で定める賃金額になりますので(労働契約法12条),賃金減額の同意を得る際には,減額後の賃金額が就業規則の定めに抵触しないかをチェックする必要があります。減額後の賃金額が就業規則の定めに抵触する場合には,就業規則の変更に対する同意も同時に取得して,就業規則の定めを変更すべきでしょう。


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賃金債権の相殺に対する労働者の同意の有効性の判断基準を教えて下さい。

2015-09-08 | 日記

賃金債権の相殺に対する労働者の同意の有効性の判断基準を教えて下さい。


 日新製鋼事件最高裁平成2年11月26日第二小法廷判決は,「労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの。以下同じ。)24条1項本文の定めるいわゆる賃金全額払の原則の趣旨とするところは,使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し,もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ,労働者の経済生活を脅かすことのないようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるから,使用者が労働者に対して有する債権をもって労働者の賃金債権と相殺することを禁止する趣旨をも包含するものであるが,労働者がその自由な意思に基づき右相殺に同意した場合においては,右同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは,右同意を得てした相殺は右規定に違反するものとはいえないものと解するのが相当である(最高裁昭和44年(オ)第1073号同48年1月19日第二小法廷判決・民集27巻1号27頁参照)。もっとも,右全額払の原則の趣旨にかんがみると,右同意が労働者の自由な意思に基づくものであるとの認定判断は,厳格かつ慎重に行わなければならないことはいうまでもないところである。」と判示しています。
 したがって,賃金債権の相殺に対する労働者の同意が有効であるというためには,労働者がその自由な意思に基づき相殺に同意していることが必要であり,労働者がその自由な意思に基づき相殺に同意しているか否かは,労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かにより判断されるものと考えられます。そして,賃金債権の相殺に対する同意が労働者の自由な意思に基づくものであるとの認定判断は,厳格かつ慎重に行われることになります。



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賃金債権放棄の有効性の判断基準を教えて下さい。

2015-09-08 | 日記

賃金債権放棄の有効性の判断基準を教えて下さい。


 シンガーソーイングメシーン事件最高裁昭和48年1月19日第二小法廷判決は,賃金である退職金債権を放棄する旨の意思表示の有効性に関し,「右全額払の原則の趣旨とするところなどに鑑みれば,右意思表示の効力を肯定するには,それが上告人の自由な意思に基づくものであることが明確でなければならない」とした上で,具体的事案の判断としては,「右事実関係に表れた諸事情に照らすと,右意思表示が上告人の自由な意思に基づくものであると認めるに足る合理的な理由が客観的に存在していたものということができるから,右意思表示の効力は,これを肯定して差支えないというべきである。」と結論づけています。
 したがって,賃金放棄が有効であるというためには,それが労働者の自由な意思に基づくものであることが明確でなければならず,当該意思表示が労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足る合理的な理由が客観的に存在していたような場合は,それが労働者の自由な意思に基づくものであることが明確であると考えるべきことになります。


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賃金から社宅の費用を控除することはできますか。

2015-09-08 | 日記

賃金から社宅の費用を控除することはできますか。


 賃金は,その全額を支払わなければならないのが原則ですので(労基法24条1項本文),社宅の費用を賃金から控除することが直ちに認められるわけではありません。労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数を代表する者(過半数組合がない場合)との間で賃金控除協定(労基法24条1項但書)を締結し,就業規則等に賃金から社宅の費用を控除し得る旨を定めて労働契約の内容とした上で,社宅の費用を賃金から控除するのが原則的な対処方法となります。
 労働者がその自由な意思に基づき,使用者が労働者に対して有する債権をもって労働者の賃金債権と相殺することに同意した場合においては,当該同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは,当該同意を得てした相殺は労基法24条1項本文に違反するものとはいえないとするのが日新製鋼事件最高裁平成2年11月26日第二小法廷判決ですので,かかる最高裁判決の趣旨からすれば,労働者が自由な意思に基づいて賃金控除(相殺)に同意したと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在することを使用者が立証できた場合には,賃金控除協定が締結されていない場合であっても,使用者が労働者に対して有する社宅費用請求権と労働者の賃金債権との相殺ないしは賃金からの社宅費用の控除が認められると考えることができるものと思われます。
 しかし,賃金控除協定が締結されている場合と比較して,使用者が立証しなければならない賃金控除(相殺)の要件が加重されるため,紛争となった場合,賃金からの社宅費用の控除(相殺)が認められないリスクが高くなりますので,事前の労務管理のあり方としては,賃金控除協定を締結した上で,個別の合意をするなり,就業規則に規定して周知させるなりして,賃金控除を労働契約の内容として対処すべきものと考えます。
 なお,賃金控除(相殺)が認められない場合は,賃金控除(相殺)した金額についての賃金請求が認められてしまいますが,一定額の社宅費用の支払義務が労働者にあることを使用者が立証できるのであれば,使用者は,労働者に対し,当該社宅費用の請求をすることができます。全体として考えれば,賃金控除(相殺)が認められても認められなくても,収支は変わらないはずなのですが,社宅費用回収に手間がかかるかどうか,回収不能のリスクを使用者が負うかどうかといった点で違いが生じてくることになります。



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一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超える部分の減給を次の賃金支払期に行うことができるか

2015-09-08 | 日記

一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えて減給処分を行う必要がある場合,一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超える部分の減給を次期の賃金支払期に行うことができますか。


 「総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」(労基法91条)とは,一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が,当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1以下でなければならないという意味と考えられています(昭和23年9月8日基収第1789号)。
 したがって,一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えて減給処分を行う必要がある場合,一賃金支払期ごとには賃金の総額の10分の1を超えて減給処分を行うことはできませんが,一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超える部分の減給を次期の賃金支払期に行うのであれば,これを行うことができることになります。


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