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問題を起こした社員の給料を6か月に渡り10%減給する懲戒処分をすることはできますか。

2015-09-07 | 日記

問題を起こした社員の給料を6か月に渡り10%減給する懲戒処分をすることはできますか。

 労基法91条は,「就業規則で,労働者に対して減給の制裁を定める場合においては,その減給は,一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え,総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と規定しています。
 そして,労基法91条は,同条の制限に違反する減給の制裁を就業規則に定めることを禁止するのみならず,同条の制限に違反して減給することをも禁止しているものと考えられますから,同条の制限を超える減給の制裁が行われた場合,減給処分は無効となります。
 6か月に渡り10%減給する懲戒処分が行われた場合,「一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え」ていると考えられますので,労基法91条に違反し無効となります。労基法91条違反については,30万円以下の罰金刑が規定されています(労基法120条1号)。

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就業規則の届出義務について,労働者の人数は企業単位・事業場単位のどちらで考えればいいのでしょうか

2015-09-07 | 日記

「常時10人以上の労働者を使用する使用者」は就業規則の作成届出義務があるとされていますが(労基法89条),労働者の人数は企業単位・事業場単位のどちらで考えればいいのでしょうか。

 これは例えば,ある企業が,A事業場で7名,B事業場で7名の労働者を常時使用しているような場合に問題となります。
 反対説もありますが,労基法が事業に使用される労働者に適用されるものであること,労基法90条が就業規則の作成変更の際の意見聴取を事業場単位で行うものとしていることから,常時使用する労働者の人数は事業場単位で考えるのが一般です。
 したがって,上記事例では,A事業場とB事業場がそれぞれ独立した事業場の場合,いずれの事業場についても,就業規則の作成届出義務はないことになります。

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年次有給休暇(労基法39条)を買い上げることはできますか。

2015-09-07 | 日記

年次有給休暇(労基法39条)を買い上げることはできますか。

 年次有給休暇(労基法39条)は労基法上の権利ですので,使用者が強制的に買い上げることはできませんし,労働者との買い上げ合意があったとしても,労基法39条の趣旨に反するようなものについては無効となり,使用者は労働者の年休取得を拒むことができなくなると考えられます(労基法13条)。合意による年休買い上げが認められるかどうかは,労基法39条の趣旨に反しないかを個別に検討して判断するほかありません。
 例えば,労働者が退職するに際し,消化し切れなかった年休を買い上げる場合や,2年の消滅時効にかかった年休を買い上げるような場合は,通常は労働者に不利益が生じませんので,労基法39条の趣旨に反せず,年休の買い上げが認められるものと考えられます。しかし,年休制度(労基法39条)は本来,労働者に休暇を与えることが目的の制度であり,上乗せの賃金を支給することが目的の制度ではないのですから,合意による年休買い上げが認められるのは,特別なケースに限定されると考えるべきでしょう。
 なお,労基法39条により付与された年休ではなく,就業規則等により上乗せで付与された部分の有給休暇については,労基法39条の規制が及びませんから,一般的には合意による買い上げが認められることになります。

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労基法39条の年次有給休暇はいつまで繰り越さなければならないのでしょうか。

2015-09-07 | 日記

労基法39条の年次有給休暇はいつまで繰り越さなければならないのでしょうか。

 労基法上の年次有給休暇(労基法39条)の時効は2年(労基法115条)と考えられています。
 したがって,(当該年度及び)翌年度(2年)の経過により消滅時効にかかりますから,翌年度までは繰り越されることになります。

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パート・アルバイトの場合の年休を取得した日に対する賃金の計算

2015-09-07 | 日記

当社では年休取得者に対し,「通常の賃金」を支払うこととしていますが,パート・アルバイトの場合,1日の所定労働時間が長い日と短い日があるため,どの日に年休を取るかによって休んだ日の賃金額が変わってきます。何とかならないでしょうか。

 パート・アルバイトの所定労働時間がその日によって変わってくる以上,年休を取得した日に対する賃金として支給される「通常の賃金」の金額が変わってくるのはやむを得ないところです。それが不公平と感じられるようでしたら,所定労働時間がその日によって極端に増減しないような契約内容,シフトにすべきでしょう。
 平均賃金を支給することとしたり,労使協定を締結した上で標準報酬日額に相当する金額を支給することにしたりすれば,年休を取得した日によって支給額が変わるということはなくなりますが,勤務時間が短い日に年休を取得した場合は,通常の賃金よりも高い賃金を支給しなければならなくなる可能性があるという問題が生じることとなります。

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労基法39条の年次有給休暇はいつまで繰り越さなければならないのでしょうか。

2015-09-07 | 日記

労基法39条の年次有給休暇はいつまで繰り越さなければならないのでしょうか。

 労基法上の年次有給休暇(労基法39条)の時効は2年(労基法115条)と考えられています。
 したがって,(当該年度及び)翌年度(2年)の経過により消滅時効にかかりますから,翌年度までは繰り越されることになります。

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「全労働日」(労基法39条1項)とは,何を指しますか。

2015-09-07 | 日記

「全労働日」(労基法39条1項)とは,何を指しますか。

 「全労働日」(労基法39条1項)とは,所定労働日を指します。つまり,総歴日数から,所定休日を除いた日のことです。
 したがって,休日労働をしたとしても,その日は「全労働日」には含まれません。

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出勤率の算定に際し,産前産後休業期間については,出勤したものとして取り扱うべきでしょうか。

2015-09-07 | 日記

労基法39条1項の出勤率の算定に際し,産前産後休業期間については,出勤したものとして取り扱うべきでしょうか。

 労基法39条1項の出勤率の算定に際し,産前産後休業期間については,出勤したものとして取り扱われることになります(労基法39条8項)。
 なお,労基法39条8項では,産前産後休業期間のほか,業務上の災害による休業,育児介護休業の期間についても,出勤したものとみなす旨,規定されています。

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年休が付与されるためには全労働日の8割以上出勤しなければならないが遅刻,早退した日はどうなるのか

2015-09-07 | 日記

労基法39条1項には,年休が付与されるためには全労働日の8割以上出勤しなければならないと定められていますが,遅刻,早退した日であっても出勤したことになるのでしょうか。

 労基法39条1項の出勤率は,労働日を単位として計算すべきものと考えられます。遅刻,早退した日であっても出勤したことに変わりありませんので,労基法39条1項との関係では出勤したものとして取り扱われることになります。

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採用面接の際に「年休なしでも構いません。」と回答した社員が年休の取得を求めてきた場合

2015-09-07 | 日記

採用面接の際,「うちの会社は年休がないけど,それでもいいですか?」との質問に対し,「年休なしでも構いません。ぜひ雇って下さい。お願いします。」と回答したこともあって採用した社員が,年休の取得を求めてきました。労基法上,年休取得の要件を満たしている場合は,年休取得に応じざるを得ないのでしょうか。

 労基法に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は,その部分については無効となり,無効となった部分は,労基法で定める基準によることになります(労基法13条)。労基法39条で定められている年次有給休暇を取得できない旨の合意は無効となり,労基法39条の年休取得の要件を満たしている場合は,貴社は年休取得に応じざるを得ないことになります。仮に,年休がない旨,「書面」で合意され,社員の署名押印があったとしても,この結論は変わりません。
 年休取得を理由として,賃金の減額,解雇等の不利益処分をすることもできませんので(労基法136条),入社時の約束に違反したことを理由として,一方的に賃金を減額したり,解雇したりすることもできません。

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年休を取得されると事業運営に支障を来すことになるような企業でも,取得を認めなければならないのか

2015-09-07 | 日記

当社のように社員が2名しかおらず年休を取得されると常に事業運営に支障を来すことになるような零細企業でも,年休取得を認めなければならないのでしょうか。

 本来,年休は労働者の指定する時季に与えなければならないものであり,時季変更権の行使はその必要性が認められる場合に例外的に認められるものです(労基法39条5項)。社員が年休を取得したのでは常に事業運営に支障が来すという主張が認められたのでは,社員は年休を全く取得できなくなってしまいます。
 したがって,貴社のような実態がある場合であっても,時季変更権の行使が認められやすくなる一要素として考慮されるにとどまり,原則論としては,年休取得を認めなければならないことになります。


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