My ordinary days

ようこそいらっしゃいました!
ふと思い立ち第2のキャリアを始めてしまった、流されがちなひとの日々を綴るブログです

三崎亜記「鼓笛隊の襲来」

2010-06-03 10:07:04 | 読書
9作品からなる短編集。

普通の人たちが感じる世界と自分との違和感を少しズレた日常の中に表現した作品
といいますか。
リアリズム小説ではないけれど作中人物の心の動きが自然なので、荒唐無稽な設定でも入りやすい感じがします。

表題作「鼓笛隊の襲来」何十年ぶりかでやってくる巨大な鼓笛隊。政府は千人編成のオーケストラで対抗しようとするが鼓笛隊勢力に屈し、オーケストラも鼓笛隊に取り込まれてしまう。特別な防音室も持たず避難もせず自宅で鼓笛隊の上陸をやり過ごすと決めた一家族・・・

家族を救ったのは義母の子守歌だった・・・

…と あらすじを書いてみてもなにがなにやら??、かな~。
人生で出会う悲しみ苦しみはやみくもに避けようとするだけでなく
避けられないものであれば(死であるとか)
その事実を受けとめ あやし 自らの中になじませていく・・・そんなお話。

その他の作品で 心にのこったもの:

「遠距離 恋愛」・・距離はあるね。なぜ越さないのかな とか 突っ込みたくなりますが この距離は切ない

「校庭」・・・怖いっ  ほんとに気付かなければよかったのに~ぞっとしました

「同じ夜空を見上げて」・・・「「欠陥」住宅」と似た風合いの作品と思います。ほんの少しのズレ、意識だか認識だか世界自体だか のために決定的に人と人とが分断されてしまうお話。
ただ、「欠陥~」では同じ場所にいても見ているものが違うけれど
「同じ~」は異なる場所にいるのにも関わらず見ているものは同じなのです。

どちらがいいのか?わたしは後者です。