野村陽子植物細密画工房

標高1000メートルの清里高原に住み
描きたいものを描きたいように描く。
楽しい絵を楽しんで描く。

茨城の梨 書き損じ

2021-09-15 00:00:00 | 絵日記
義母がお世話になっている方から
大きくて立派な梨をいただいた
甘くて瑞々しい

役所へ提出する書類に
記入する機会があり
果物が好きで
梨も好物だった
父のことを思い出した


もう亡くなったが
大変
几帳面な人で
提出書類の書き方は
父から教わった


先ず
机の上を片付け
水拭きの後
から拭きする
書類は絶対に汚してはいけない

記入欄には
必ず鉛筆で下書きする
間違いがないか確認したら
ボールペンで清書

清書した文字は一晩乾かし
乾いたのを確認後
消しゴムで
下書きの鉛筆を消す
この時
紙がシワにならないように
破かないように
慎重に焦らず丁寧に


書類を書く時
この儀式をしたら笑われた
ヤッパリ
儀式なしは落ち着かない


何時だったか
大丈夫かなと
儀式なしで始めたら

案の定
余計に緊張して
手がぎこちなく震え
いつもの字が書けない

やっと書き上げて
一安心と思ったら
なんと
何時何処で付いたのか
コーヒーカップの跡がくっきり
濡れた紙は
無残に波打ってシワシワ

幸いにも
提出する書類ではなかったが
私の大切な記録のファイル
今でもシミのついた紙が
引き出しに入っている


今はネットで
ダウンロードして
印刷すれば
自宅に居ながらにして
新しい用紙が手に入る

便利だけど
私には
儀式なしでは
どうにもならないようだ


梨を頬張りながら
父の苦虫をかみつぶしたような顔を
思い出した

勿論
書類は書き終え
片付けた後のことだが