いよいよ俺たち暴走族の撮影の日がやって来た。1988年12月初めやったと思う。
ヒルトンプラザに集合し、衣装に着替えてメイクも済ませ
ロケバスに乗って撮影現場に向かった。
撮影場所は大阪市淀川区十三、十三(じゅうそう)の一番大きな商店街(十三栄町商店街)でした。
映画の中ではニックとチャーリーが
心斎橋のクラブミヤコ(今は無きキリンプラザ)から歩いて道に迷った場所という設定なので
心斎橋か道頓堀あたりの商店街と思っていた人も多いでしょうが
撮影場所は十三だったのです。
映画のパンフレットの表紙や
DVDのパッケージやその他のスチール写真にも
「十三ホール」のネオンが映っているので
「あっ、ここ十三や」と気づいた大阪人も多いでしょう。
大阪をよく知らない人にはわからないでしょうが・・・。

(「十三ホール」をバックにポーズを決めるニック・コンクリン、渋い!)
ロケバスから降りて初めて自分たちの乗るバイクと対面した。
「おおーっ!GSX-R400とRH250や!」 (GSX-Rが3台、RHが5台、DVDで再確認しました)
※バイクに興味の無い人にはよくわからないでしょうが・・・
スズキGSX-R400は88年モデルの当時バリバリの最新型、
(オールブラックのカラーリング、このノーマルのカラーリングのまま劇中で使用。)
一方、スズキRH250も当時の250ccオフロードバイクの中で最高のパワーを誇ったバイク。
RHは真っ黒にカラーリングされていたが“SUZUKI”の文字だけはくっきり白で描かれていた。
ちなみに“セイトー”のバイクは88年式GSX-R1100、当時最速の市販バイク。
この映画におけるスズキのスポンサー度はかなりのものだったのでしょう。
驚いたことにどの車両もピッカピカのほぼ新車に近いバイクだった。
劇用車担当のスタッフさんが
「凄いやろ、やっぱりハリウッド映画は金のかけ方がちゃうなー」と言っていた。
☆今、DVDを見直して(笑)だんだん記憶が甦ってきたわ。
このシーンの暴走族は全部で8人で、東京の人が3人、大阪が俺を含めて2人、
あとの2人は京都か名古屋の人やったかな・・モトクロスのレースをやってるとか言ってたと思う。
残りの1人はアメリカ人のマイクというスタントマンでした。
マイクはこの映画でマイケルダグラスのバイクのシーンのスタントを全て演じてましたが
このシーンでは一番最後尾で黒のヘルメットを被って暴走族の1人を演じています。
マイクはオーディションの時にもいたけど
派手なバイクテクニックを披露していなかったので
「どれだけ凄いスタントマンなんやろ・・」と興味津々やった。
スタントコーディネーターのボビーがGSX-RかRH、どちらかのバイクを選べというので
暴走族役のみんなで話し合って決めた。
チビで短足の俺はGSX-RもRHも跨るとツンツンの爪先立ちやったので
どっちでも不安やったけど結局、車重の軽いRHを選んだ。
マイクは“マイク専用”のRHだった。
各自、それぞれのバイクに跨り、クラッチやブレーキの調整をして準備を始める。
だんだん緊張感が高まってくる。
そこへ美術さんか劇用車担当の人がやってきて
一台一台のバイクに大きな旗を取り付けはじめた。
旗には“蠍”が描いてある。
「なんやこれ・・? なんでサソリやねん・・・?」
リドリー・スコットのセンスなのかアートディレクター(美術監督)のセンスなのかは
わからんけど“ショッカー”っぽいこのサソリマークの意味は今でもわからない。
サソリマークよりもなによりもバイクに大きな旗を取り付けるということは
空気抵抗も増えるし、重心もくるってくるので走りにくくなってしまう。
けど、レースするわけちゃうしまあ大丈夫やろっと思った。
DVDのメイキング映像かなんかでリドリースコットか誰かが
あの“大きな旗”は日本の時代劇での合戦シーンによく登場する
“のぼり”をイメージしたものだと言ってましたね。

“のぼり”をイメージしたというのは納得できるけど“サソリ”の意味がわからない・・・やっぱショッカー?
バイクが置いてある場所から撮影場所までは数百メートル離れていた。
リハーサルの時間が近づき各自バイクに乗って移動して下さいという指示があり
一斉にエンジンをかけた。
「ファオーーーン!」「ファオーーーン!!」(GSX-R)
「パァーーン!」「パァーーン!」 (RH)
高鳴る気持ちを冷静に抑えながら
ゆっくり移動しようとしたところ
アメリカ人スタントマンのマイクがいきなり
「パァォーーーーーン!!!」と急発進し高々とウイリーしたまま走りだした!
俺は唖然とした。
劇用車担当のスタッフさんが
「あいつに勝とうなんて思うなよ。アメリカのモトクロスのチャンピオンらしいで」と言った。
うわー、やっぱ凄いわーっと思いながら撮影場所に移動しました。
つづく・・・「ブラックレイン」 ~撮影編~②
ヒルトンプラザに集合し、衣装に着替えてメイクも済ませ
ロケバスに乗って撮影現場に向かった。
撮影場所は大阪市淀川区十三、十三(じゅうそう)の一番大きな商店街(十三栄町商店街)でした。
映画の中ではニックとチャーリーが
心斎橋のクラブミヤコ(今は無きキリンプラザ)から歩いて道に迷った場所という設定なので
心斎橋か道頓堀あたりの商店街と思っていた人も多いでしょうが
撮影場所は十三だったのです。
映画のパンフレットの表紙や
DVDのパッケージやその他のスチール写真にも
「十三ホール」のネオンが映っているので
「あっ、ここ十三や」と気づいた大阪人も多いでしょう。
大阪をよく知らない人にはわからないでしょうが・・・。

(「十三ホール」をバックにポーズを決めるニック・コンクリン、渋い!)
ロケバスから降りて初めて自分たちの乗るバイクと対面した。
「おおーっ!GSX-R400とRH250や!」 (GSX-Rが3台、RHが5台、DVDで再確認しました)
※バイクに興味の無い人にはよくわからないでしょうが・・・
スズキGSX-R400は88年モデルの当時バリバリの最新型、
(オールブラックのカラーリング、このノーマルのカラーリングのまま劇中で使用。)
一方、スズキRH250も当時の250ccオフロードバイクの中で最高のパワーを誇ったバイク。
RHは真っ黒にカラーリングされていたが“SUZUKI”の文字だけはくっきり白で描かれていた。
ちなみに“セイトー”のバイクは88年式GSX-R1100、当時最速の市販バイク。
この映画におけるスズキのスポンサー度はかなりのものだったのでしょう。
驚いたことにどの車両もピッカピカのほぼ新車に近いバイクだった。
劇用車担当のスタッフさんが
「凄いやろ、やっぱりハリウッド映画は金のかけ方がちゃうなー」と言っていた。
☆今、DVDを見直して(笑)だんだん記憶が甦ってきたわ。
このシーンの暴走族は全部で8人で、東京の人が3人、大阪が俺を含めて2人、
あとの2人は京都か名古屋の人やったかな・・モトクロスのレースをやってるとか言ってたと思う。
残りの1人はアメリカ人のマイクというスタントマンでした。
マイクはこの映画でマイケルダグラスのバイクのシーンのスタントを全て演じてましたが
このシーンでは一番最後尾で黒のヘルメットを被って暴走族の1人を演じています。
マイクはオーディションの時にもいたけど
派手なバイクテクニックを披露していなかったので
「どれだけ凄いスタントマンなんやろ・・」と興味津々やった。
スタントコーディネーターのボビーがGSX-RかRH、どちらかのバイクを選べというので
暴走族役のみんなで話し合って決めた。
チビで短足の俺はGSX-RもRHも跨るとツンツンの爪先立ちやったので
どっちでも不安やったけど結局、車重の軽いRHを選んだ。
マイクは“マイク専用”のRHだった。
各自、それぞれのバイクに跨り、クラッチやブレーキの調整をして準備を始める。
だんだん緊張感が高まってくる。
そこへ美術さんか劇用車担当の人がやってきて
一台一台のバイクに大きな旗を取り付けはじめた。
旗には“蠍”が描いてある。
「なんやこれ・・? なんでサソリやねん・・・?」
リドリー・スコットのセンスなのかアートディレクター(美術監督)のセンスなのかは
わからんけど“ショッカー”っぽいこのサソリマークの意味は今でもわからない。
サソリマークよりもなによりもバイクに大きな旗を取り付けるということは
空気抵抗も増えるし、重心もくるってくるので走りにくくなってしまう。
けど、レースするわけちゃうしまあ大丈夫やろっと思った。
DVDのメイキング映像かなんかでリドリースコットか誰かが
あの“大きな旗”は日本の時代劇での合戦シーンによく登場する
“のぼり”をイメージしたものだと言ってましたね。

“のぼり”をイメージしたというのは納得できるけど“サソリ”の意味がわからない・・・やっぱショッカー?
バイクが置いてある場所から撮影場所までは数百メートル離れていた。
リハーサルの時間が近づき各自バイクに乗って移動して下さいという指示があり
一斉にエンジンをかけた。
「ファオーーーン!」「ファオーーーン!!」(GSX-R)
「パァーーン!」「パァーーン!」 (RH)
高鳴る気持ちを冷静に抑えながら
ゆっくり移動しようとしたところ
アメリカ人スタントマンのマイクがいきなり
「パァォーーーーーン!!!」と急発進し高々とウイリーしたまま走りだした!
俺は唖然とした。
劇用車担当のスタッフさんが
「あいつに勝とうなんて思うなよ。アメリカのモトクロスのチャンピオンらしいで」と言った。
うわー、やっぱ凄いわーっと思いながら撮影場所に移動しました。
つづく・・・「ブラックレイン」 ~撮影編~②