これまでグリちゃん(グリオーマ)だの、オリゴちゃん(オリゴデンドログリオーマ)だの話してきましたが、具体的な正体をお見せしたことはありませんでした。自分の脳の中を公開するというのは、ある意味恥ずかしい部分を見せるにも等しい感覚もあり、これまではためらいもあったのですが、それじゃ納得できない方もいるだろう、勇気を持とうと、今更なのですが、画像をアップすることにしました。
最初は手術前の説明に使用された、脳腫瘍と診断されたMRI画像です。右前頭葉(運動前野)、白く光って見える部分ですが、腫瘍性病変として認められる部分です。この画像所見の段階ではまだ神経膠腫(グリオーマ)との疑い、悪性度は低い、との診断でした。ちなみに、近所の開業医でMRIを撮ってもらって最初に診断されたときの画像とほぼ同じです。MRIは嘘をつきません。みなさん、脳ドッグ受けましょうネ。
手術後、「グリちゃん、僕のグリちゃんはどうなりましたか?」と看護師さんに叫んでいたのは、この診断のせいです。
MRIを立体化して切り取る病変部を分かりやすくしたものです。右図の赤く囲まれた部分が切り取られました。
ちなみに奥様と姉は、手術後、主治医から手術中の私の脳みそのデジカメ写真(リアル!)を見せられたそうですが、このMRI画像と全く同じだったそうです。(私は見せてもらっていない!)
科学技術の進歩は素晴らしいです。MRIが本物に近いから医師は手術前に計画を立てられるんですね。
脳の細胞は再生しませんので、切り取られた部分は空洞のまま水があるだけです。手で額を軽くコツコツと叩くと、右と左で音が違います。スイカを叩いて音の違いがあるのと同じです。
手術は全身麻酔下で行なわれましたので、自分では未だに切り取られた!という意識がないのだから不思議です。去年、大腸ポリープを取った時は、自分の目でモニターを見ながら、「あっ、取れた」というのを確認したので意識としては取ったと”記憶”しているのですが、今回は頭の傷跡とか額を叩いた時の音の違いとか、”結果”としての意識はあるものの、”記憶”が結びつかないというのは何とも不思議な感覚です。
3つ目の画像は、手術後のMRI画像です。病変部を切り取った部分と、左手の運動機能温存を優先して切り取れずに残ってしまった部分に白く光る部分(つまりは病変部)があることが分かるでしょうか。
問題はこの黄色い楕円で囲まれた部分で、術後の病理検査でオリゴちゃん(オリゴデンドログリオーマ)と診断され、オリゴちゃんは白く光る部分以外にも潜んでいる可能性もあるので、放射線と化学療法を続けているという訳です。これが私の残ったオリゴの正体なのです。
境目がハッキリしない、というのがグリオーマの特徴でもあり厄介な所なんですね。脳は人それぞれ、ほんの少し場所が違うだけで違う機能を司っているから、私の主治医の「悩ましい」というのは本音なのででしょう。奥が深いです。