数年前、青森県の大工さんからのメールである問い合わせがありました。
>以前カネタケ追入10本と中叩1本を某道具商に安平木工様の柄を指定したところ○○木工製の柄が付いて来ました。そこで改めて直接安平木工様にお送りし白樫無塗装、打桂、丸袴を入れ直ぐ使いに仕込みして頂きたいのですが可能でしょうか?
何か納得頂けてないのでしょうか?
「打桂、丸袴を加工して調整いらずで直ぐ使いに仕込め」って事ですね?
>お忙しいところ早速の御返信ありがとうございます。
自分が思うには播州鑿はやはり播州の安平木工所製ですよ。それに安平さんの仕事ぶりや作品は「鑿大全集」などで拝見させて頂いて非常に興味があって是非とも使ってみたくなり安平さんの仕込みも参考にしたくカネタケを誂えたら今回のざまでした。○○さんがいやな訳じゃないんです。実際に自分の長弘鑿には○○製を入れて使っています。長々とすみませんが依頼は下記ですので男前な鑿にして頂きます様に宜しくお願い致します。また、現物をご覧になって仕様のアドバイス等ありましたら仕様変更しますのでご指摘下さい。
なるほど。だいたい見えてきましたよ。鉋では直ぐ使いってのはありますが、鑿にはないですね。「調整の手間をして下さい!」って事ですね?
普段のはしてません。この手間をかけるといくらになるの?って事です。
>昨日はお忙しいところ電話で失礼致しました。言いそびれましたが、直ぐ使い(丸袴と打桂の内面を取って桂を下げる) も宜しくお願い致します。
と、言う事で提案をしてみました。
播州型の柄
と言う事なので。三木産を用い口金(丸袴)は↓のように加工。
面無し口金(丸袴)の内面・外面(見栄えを考えて)を面取りしました。一応、表面にはヤスリを掛けて黒焼きしました。別物という意味あいで。
播州桂(打桂)は上下面取り。
仕込み途中↓
仕込み終了。ひずみを見て完成~。
輪は抜けないように頭叩いてつぶして下さいね~。
何故か男前になったと気に入ってもらえました。よかったよかった、やれやれです。
これで仕事に一役買ってもらえれば願えたり叶ったりですわ。
もう口金を抜く事がないので、急所はしっかり抑えてあります。
バンバン使ってやって下さい。
ちなみにこの写真は次に来た長弘鑿です。
三条の柄屋さんも安いからこのような仕事になってしまうのかもしれません。
値段上げてあげて下さ~い。お願いします。実際数10円、数100円の差ですよ。2回付ける方が高くつきません?
自分の時給もざっと計算すると、経費を引いたら学生のアルバイトより安いです。でも、頑張ってますよ~。いい返事が返ってくると、やりがいがありますので・・・。
口金を一度はずすと柄が緩くなってしまうんですよね~。
それを見越してしてるつもりですが。
硬くはめててもこうですから、柄屋さんが大きな穴を開けてしまうと取り返しがつかなくなってしまうんです。こういうクレーム多いですよ。
よそがした新品なのに・・・。
これがすべてではないと思いますが、仕込み調整の参考になれば幸いです。
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