【虚ろな祠】後編

翌朝、Yさんの家に電話をすると「いらしてください、もうありますよ。一人暮らしなので、いつでもどうぞ」
とのことだった。隣町ということもあり、しげしさんはすぐに向かうことにした。
「お邪魔します」
敷地に入ると、Yさんは庭にいた。
「あ、しげしさん。ここですわ。どうぞ」
Yさんが庭の一角を指さした先に、かつて祖母の庭にあった祠が置かれていた。
「中、ご覧になりますか?」
Yさんは祠を開けようとしたが、しげしさんは「祠に触れるな」と厳しく𠮟られたことを思い出して首を振った。そして、直感的に、そこに何も祀られていない事が分かったという。
(叔母の仕業か……)・・・(続く)

