打撃の神様・川上哲治が自ら語った「球が止まって見えた」伝説
「プロ野球界の生き神様」「打撃の神様」とまで呼ばれた巨人軍の元プロ野球選手川上哲治(てつはる:現役時代は「てんじ」)は、その卓越した打撃技術にプロ野球史上初めての2000本安打の達成など、戦時中から戦後におけるスタートして大活躍した人物である。
彼にまつわる最もよく知られるエピソードと言えば、「ボールが止まって見えた」がある。
巨人が戦後の初優勝を飾った翌年の1950年、体制が三原修監督から水原茂監督へ変わった。1949年のシーズン終了後に、反三原派の選手たちが決起し、水原を擁立しようとした排斥騒動が発生した。川上は「優勝した監督を変えるのはおかしい」として三原を擁護するも、これにより水原と川上の関係は冷え込んだ。これに加えて、川上は当時スランプに陥っていたことも災いして、守備や走りを水原から叱られることが多くなり、そのたびに自身も反発するなど悪循環が生まれていった…(続く)