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黒田官兵衛の福岡城に纏わる「黒田騒動」と怪談「お綱門」の真実
黒田官兵衛の福岡城に纏わる「黒田騒動」と怪談「お綱門」の真実
福岡で有名な怪談に「お綱門」という怪談がある。
筆者は、かみさんの実家が福岡県というご縁で度々福岡に帰省しているのだが、２０年近く前（９３年前後）に帰省したおり、義母から「西日本シティ銀行」が発行した”博多の幽霊ばなし”という冊子のファイリングをもらった。
この冊子に「米一丸事件」や「カランコロンの幽霊」と並び紹介されていたのが「お綱門の怪談」である。
これは来年、大河ドラマの主人公になる黒田官兵衛の長男・黒田忠之が遠因をなした怪談事件である。
この黒田忠之は愚行の多い殿様と言われており、戦国乱世を生き抜いた先代・官兵衛もその気質を見破っており、忠之ではなく弟に譲ろうとしたが家老の栗山大膳の命がけの説得により、どうにか継承することが出来た。
しかし、忠之の愚行はおさまる事なく、大阪で遊んだおり、采女という美女を落籍し側女にすべく帰国した。しかし、福岡の地には第二夫人がおり、家老の栗山に説得された忠之は、側近の明石四郎左衛門（異説では浅野四郎左衛門とも）に面倒をみるようにと押し付けてしまう。
(この黒田忠之と明石四郎左衛門の関係だが、単なる主従という形ではなく、根底に男色の匂いが感じられる）
主君の言うことであるから、明石四郎左衛門は采女をもらいうけ側室にする。
そして、。寛永7年（1630）本妻お綱と子供（男女）二人は、馬出の下屋敷に移され、采女と明石本人はお堀淵の屋敷に入った。最初のうちは妻子のいる下屋敷にも顔出していたのだが、次第に明石は采女のいる屋敷に入り浸るようになった。
そのうち下屋敷には生活費も入れなくなり、娘のひな祭りの祝いさえおぼつかなくなった。（これには、采女が仕送りを止めていたという説もある）
本妻・お綱と子供たちについて下屋敷に移っていた下男の善作は、本妻の窮状を見かね、主人の明石を訪ねるが「もはや、絶縁」と取り付く島もない。
絶望した善作は、下屋敷近くの松原で首を括った。
善作の帰りが遅い事を心配したお綱は松原で首を括った善作の遺体と、そばに残された遺言を読み、夫の非道を知った。
下屋敷のあった馬出の跡地には、お綱さんの墓がある。
右手の大きい墓がお綱さんの墓石、その横の小さい墓石が子供たちのものです。
何故か現地には、芭蕉の句碑の説明しかない。
↓
「おのれ、四郎左衛門、この恨み、思い知らせてやる」
怒髪天をつく形相に変わったお綱は、下屋敷に戻り、死に装束に着替えると子犬の喉をかみ破り、娘・お妻（おつま）、息子・小太郎を小刀で刺殺、その首を布に包み腰からぶら下げると父親からもらった薙刀を手に持って、お堀淵の屋敷に切り込んだ。
山口敏太郎 妖怪の旅 お綱さんの墓
出てきた采女を薙刀で惨殺、何度も遺体を刃先で切り刻んだ。
「四郎左衛門はどこじゃ」
屋内を探し回るが、何処にもいない。どうやら、登城しているようだ。
そのとき、お綱に切りかかる者がいた。
「おのれ、乱心者」
熊本からやってきた浪人で浅野彦五郎（この人物の苗字を明石とする説があるが。どうやら夫の明石、浪人の浅野という苗字が後の世に入れ替わってしまったようだ）であった。
浅野彦五郎の墓、お綱の腕を斬った浪人は実在したようである。
↓
（この乱心者を斬れば、仕官が叶うかもしれぬ）
腕に覚えのあった浅野は、お綱の片腕を落とし、眉間を割ることに成功した。
一度は床に倒れたお綱であったが、薙刀を杖がわりにして、再び城を目指した。
片腕をなくし、眉間を割った全身血まみれの女が這ってくるのだから、門番たちは騒然となった。
結局、お綱「四郎左衛門」とつぶやき、門に手をかけ絶命した。
この時、お綱の手形が門についたとされており、お綱門と呼ばれ、長く祟りのある門だと恐れられた。
山口敏太郎 妖怪の旅 福岡 正定寺 お綱を斬った男の墓
空襲で焼ける前の「お綱門」の写真が、以下のページ半ばにあります。
↓
http://www.ncbank.co.jp/chiiki_shakaikoken/furusato_rekishi/hakata/022/01.html
筆者の著作でも「恐怖の怨霊絵巻」（河出夢文庫）
キンドル版も出ています。
↓
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筆者は、かみさんの実家が福岡県というご縁で度々福岡に帰省しているのだが、２０年近く前（９３年前後）に帰省したおり、義母から「西日本シティ銀行」が発行した”博多の幽霊ばなし”という冊子のファイリングをもらった。
この冊子に「米一丸事件」や「カランコロンの幽霊」と並び紹介されていたのが「お綱門の怪談」である。
これは来年、大河ドラマの主人公になる黒田官兵衛の長男・黒田忠之が遠因をなした怪談事件である。
この黒田忠之は愚行の多い殿様と言われており、戦国乱世を生き抜いた先代・官兵衛もその気質を見破っており、忠之ではなく弟に譲ろうとしたが家老の栗山大膳の命がけの説得により、どうにか継承することが出来た。
しかし、忠之の愚行はおさまる事なく、大阪で遊んだおり、采女という美女を落籍し側女にすべく帰国した。しかし、福岡の地には第二夫人がおり、家老の栗山に説得された忠之は、側近の明石四郎左衛門（異説では浅野四郎左衛門とも）に面倒をみるようにと押し付けてしまう。
(この黒田忠之と明石四郎左衛門の関係だが、単なる主従という形ではなく、根底に男色の匂いが感じられる）
主君の言うことであるから、明石四郎左衛門は采女をもらいうけ側室にする。
そして、。寛永7年（1630）本妻お綱と子供（男女）二人は、馬出の下屋敷に移され、采女と明石本人はお堀淵の屋敷に入った。最初のうちは妻子のいる下屋敷にも顔出していたのだが、次第に明石は采女のいる屋敷に入り浸るようになった。
そのうち下屋敷には生活費も入れなくなり、娘のひな祭りの祝いさえおぼつかなくなった。（これには、采女が仕送りを止めていたという説もある）
本妻・お綱と子供たちについて下屋敷に移っていた下男の善作は、本妻の窮状を見かね、主人の明石を訪ねるが「もはや、絶縁」と取り付く島もない。
絶望した善作は、下屋敷近くの松原で首を括った。
善作の帰りが遅い事を心配したお綱は松原で首を括った善作の遺体と、そばに残された遺言を読み、夫の非道を知った。
下屋敷のあった馬出の跡地には、お綱さんの墓がある。
右手の大きい墓がお綱さんの墓石、その横の小さい墓石が子供たちのものです。
何故か現地には、芭蕉の句碑の説明しかない。
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「おのれ、四郎左衛門、この恨み、思い知らせてやる」
怒髪天をつく形相に変わったお綱は、下屋敷に戻り、死に装束に着替えると子犬の喉をかみ破り、娘・お妻（おつま）、息子・小太郎を小刀で刺殺、その首を布に包み腰からぶら下げると父親からもらった薙刀を手に持って、お堀淵の屋敷に切り込んだ。
山口敏太郎 妖怪の旅 お綱さんの墓
出てきた采女を薙刀で惨殺、何度も遺体を刃先で切り刻んだ。
「四郎左衛門はどこじゃ」
屋内を探し回るが、何処にもいない。どうやら、登城しているようだ。
そのとき、お綱に切りかかる者がいた。
「おのれ、乱心者」
熊本からやってきた浪人で浅野彦五郎（この人物の苗字を明石とする説があるが。どうやら夫の明石、浪人の浅野という苗字が後の世に入れ替わってしまったようだ）であった。
浅野彦五郎の墓、お綱の腕を斬った浪人は実在したようである。
↓
（この乱心者を斬れば、仕官が叶うかもしれぬ）
腕に覚えのあった浅野は、お綱の片腕を落とし、眉間を割ることに成功した。
一度は床に倒れたお綱であったが、薙刀を杖がわりにして、再び城を目指した。
片腕をなくし、眉間を割った全身血まみれの女が這ってくるのだから、門番たちは騒然となった。
結局、お綱「四郎左衛門」とつぶやき、門に手をかけ絶命した。
この時、お綱の手形が門についたとされており、お綱門と呼ばれ、長く祟りのある門だと恐れられた。
山口敏太郎 妖怪の旅 福岡 正定寺 お綱を斬った男の墓
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 | 恐怖の怨霊絵巻 (KAWADE夢文庫) |
| クリエーター情報なし | |
| 河出書房新社 |
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 | 恐怖の怨霊絵巻 これが全国各地で囁かれている幽霊・亡霊伝説だ！ (KAWADE夢文庫) |
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