性売買の日本史
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先日まで千葉県佐倉市の国立歴史民族博物館で開催されていた『性差<ジェンダー>の日本史』展。「女性史」ではなく、卑弥呼の時代から現代に至るまでの日本史を「ジェンダー」の視点から、豊富な資料で捉え直す、素晴らしい展示であった。
今回はその中の一コーナーであった『性の売買と社会』から、性売買の日本史について考えてみたい。
「世界最古の職業」と呼ばれることもある売春だが(実際、霊長類のチンパンジーなどにも、食料と引き換えに交尾をねだる、オスの姿が観察される)、意外なことに、縄文時代や弥生時代の日本では、売春の痕跡は発見されていない。史料から売春の痕跡が発見されるようになるのは、九世紀の後半(奈良時代後期)頃からである。
ただし、それ以前の日本にも「遊行女婦(ゆうこうじょふ)」や「娘子」と呼ばれる、女性の歌人の一団がいて、地方の役所で行われる宴会で和歌を読み、貴族たちに対して、性的な奉仕もしたと考えられている。コンパニオンレディの走りと取れなくもないが、あくまで本業は歌人であり、性的奉仕に金銭的な代償は発生していなかったようだ・・・(続く)
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