【虚ろな祠】前編

筆者によく怪談を聞かせてくれる体験者のひとりに、しげしさんという三重県在住の男性がいる。
しげしさんの母方の祖母・キヨさんの先祖がかつて口寄せをやっていたことから、今も血筋に霊的な存在を感じられるものがいるという。
しげしさんは家庭の事情から幼少期に祖母の家に住んでいたことがあり、庭の隅には祠があったそうだ。
(なんだろう、あれ?)
気になった幼いしげしさんが祠に近寄るべく庭に下りようとしたところ、祖母が
「あかんよ、あんたは!!」
と大声をあげ、しげしさんの頬をぶったことがある。以来、しげしさんは祠に触ることは許されていなかった・・・(続く)

