「折口信夫」古代から現代へ 日本文化の本質を追究し続けた民俗学者
折口信夫(おりぐちしのぶ)は、明治から昭和初期にかけての民俗学者・国文学者であり、釈超空(しゃくちょうくう)の号としては詩人・歌人としても活躍した人物である。広範に及ぶ彼の独特な学術体系は『折口学』と称されている。
古典・古代研究をベースとしたその研究スタイルは、神と人間、祖先と人間といった関係や日本の言語の中から現代に残る日本文化を解きほぐすといった様式を用いている。その上で、神や霊魂といったものも尊重して追究し、特に他界や異郷から来訪する神や霊的存在の本質を読み解くという「マレビト」のほか、「ヨリシロ」「ムスビ」「ミコトモチ」などといった彼の学術思想にとって重要とされる術語(ターム)を多く残した…(続く)