神話から呪物まで「両面宿儺」が秘めるオカルティズムへの願望
両面宿儺(りょうめんすくな)は、日本神話に登場する2つの顔と4本の腕を持ち8尺もの身の丈があったと言われる飛騨の豪族である。特に「リョウメンスクナ」と表記する場合は、ネット怪談において世に災厄をもたらす呪物として知られている。
日本書紀における両面宿儺は、仁徳天皇の時代に朝廷の命に従わない逆賊、治める土地で暴君として振る舞う異形の鬼神として、朝廷の遣いにより征伐されたと語られている。逆に飛騨の伝承における両面宿儺は、武勇に優れ、神祭の司祭者、農耕の指導者として英雄視されており、岐阜県の各地にその史跡が残っている。
一方、リョウメンスクナとは2008年ごろにネットで語られた怪談として有名だ。大正時代に、とあるカルト教団が作り出した呪物として登場し、奇形の人間の蠱毒によって生き残った二面一体の結合双生児をその後ミイラにして本尊としたものだという。リョウメンスクナという呼び名は、その姿を両面宿儺になぞらえてつけられたものだ…(続く)