日本で初めて空を飛んだ男?!鳥人「浮田幸吉」の波乱の人生
浮田幸吉は、日本で初めて空を飛んだと言われている人物である。
同時代の漢詩人・菅茶山の著作においてその出来事が触れられているが、事実であれば、世界で初めて有人グライダーを構想・制作したイギリスの工学者ジョージ・ケイリーよりも60年以上も前に空を飛んだこととなる。
江戸時代中期に備前国児島郡八浜(現在の岡山県玉野市八浜)に生まれた幸吉は、7歳で父親を亡くし、表具屋(巻物・屏風を作る職人)へ丁稚奉公として出ることとなった。生真面目で手先が器用なためどんどん腕を上げていった幸吉は、ある時近所の寺で見かけた鳩を見て、「鳥のように空を飛びたい」という思いが強くなる。
それ以降、鳥が飛ぶメカニズムを独自に研究し始めた。
鳥を生け捕り、時には解剖も行なって羽の構造・大きさ・体重と翼の比率を測定するなどをして、自分にあう翼を設計していった。表具の技術を惜しみなく使って竹と縄の骨組みに紙と布を貼り、更に柿渋を塗って防水加工を施し、ついにグライダー飛行機を完成させた…(続く)