色欲で能力を失ったあまりにも人間臭い「久米仙人」伝説!!
久米仙人は、現在奈良県橿原市にある久米寺を開基(創立)したとされる伝説の人物である。修行の末に神通力を備えて空を飛び、100歳を超えて生きたといわれている。
時は天平年間。久米は大和国吉野郡竜門寺にとどまって、安曇という青年と共に厳しい修行に打ち込んでいた。二人は良き友であり良きライバルでもあった。ところが安曇のほうが才能に長けていたのだろうか、彼はあれよあれよという間に飛行術を会得し、久米を残して飛び去ってしまった。取り残された久米は一念発起し、遅れながらもなんとか飛行術を会得し各地を自在に飛び回ったという。
この久米仙人には象徴的な伝説がある。それは吉野川を飛んでいた時のこと、川べりで洗濯をしている若い娘がいた。ふと目をやると、娘のたくし上げた裾から覗く白肌のふくらはぎに見とれてしまい、その瞬間神通力を失って空から落ちてしまったという。術を使えなくなった久米仙人はそれ以来修行をやめてしまい、俗人になることを決めてその娘と夫婦となったという…(続く)