【実話怪談】『こっちからいくぞ・・・』<中編>
それから1ヶ月ほど経ったころ、Sさんは勉強机に向かい宿題をしている最中に眠気に襲われ、机に伏せる形で眠ってしまっていた。すると、どこからともなく声が聞こえてきた。
「おーい、こっちへこいよ」
Sさんは声に耳をすませてみた。その声は、開いているふすまの向こう、台所の方から聞こえてくる。
Sさんがそちらに顔を向けてみると、そこには人の形をした黒いもやのようなものがいて、それが手招きしているように見えた。その手招きに導かれるように、Sさんはふらふらと台所の方へ歩き出した。
部屋の床では弟が寝転びながら漫画を読んでいた。Sさんは弟をまたいで黒いもやの方に向かおうとした。
(早くいかなきゃ)
そう思いながら、弟をまたぎかけたとき、急に弟が立ち上がった。
(あぶない! ぶつかる!)・・・(この続きはこちらから)