「――じゃ」と、サトルは首を傾げて言いました。「もしかしたら、ガッチって、みんな知ってたんだ」
「ああ、悪かったな。謝るよ……。これもみんな、元はといえばおれのせいなんだ。おれがかんしゃくを起こして逃げ出しちまったばかりによ――」と、ガッチが申し訳なさそうに言いました。「でもよ、もう大丈夫だ。おれが帰ってきたからな。王様が目を覚ませば、サトルだってほかのみんなだって、あっという間に元どおりさ。心配すんなって……」
ガッチが言い終わると、残っていた人を助けていた人達が、それぞれうれしそうに話しながら、王様の部屋に入って来ました。
パフル大臣は、みんなから口々に、もう残っている者はいない、と報告を受けると、ほっと安堵の表情を浮かべながら、ガッチにうなずいて見せました。
ガッチは、大きくうんとうなずくと、二・三歩後ろに下がって、固く握ったゲンコツを振りかぶり、「それっ!」のかけ声とともに、渾身の力をこめて銅鑼を叩きました。
ドヨヨヨヨヨーン、ン、ン――……
広い部屋中に、巨大な銅鑼の音が響き渡りました。そばで見ていたサトルは、銅鑼が鳴り終わっても、しばらくのあいだ体がしびれて、自由に動けませんでした。
銅鑼が鳴ると、ベッドの上で死んだように眠っていた王様が、パチッと目を覚ましました。
遠巻きに見守っていた人達が、ガッチが言っていたとおり、次々に消えていきました。驚いたサトルは、あわててガッチに指差しましたが、ガッチは「大丈夫、大丈夫」と、繰り返すばかりでした。
と、見ていたサトルにも変化が現れました。ガッチが、だんだんと小さくなっていくのでした。いいえ、サトルがだんだんと元の大きさに戻っていくのでした。
サトルは、これでドリーブランドともさようならだな、と思っていましたが、サトルに起こった変化は、それだけでした。いつまでたっても、元の世界には戻っていきませんでした。そうしているうち、最後まで残っていた町の人達が、消えてしまいました。王様の部屋には、サトル達以外、ほかに誰もいなくなってしまいました。
「パフルさん。どうして、ぼくだけ元に戻らないんですか?」と、サトルは言いました。
パフル大臣は、ただ首を振るだけで、まったく訳がわからない、といった表情を浮かべていました。
「どうなってんだ、こりゃ……」と、ガッチが肩をひそめて言いました。「どうして、サトルだけ元に戻らないんだ」
「ファーア……。よく寝たな。おはようガッチ。おはようパフル――」と、王様が目を覚ましました。
「おい、この野郎! サトルを元に戻せ」と、ガッチがベッドに飛び乗り、あくびをしている王様につかみかかりました。
「ああ、悪かったな。謝るよ……。これもみんな、元はといえばおれのせいなんだ。おれがかんしゃくを起こして逃げ出しちまったばかりによ――」と、ガッチが申し訳なさそうに言いました。「でもよ、もう大丈夫だ。おれが帰ってきたからな。王様が目を覚ませば、サトルだってほかのみんなだって、あっという間に元どおりさ。心配すんなって……」
ガッチが言い終わると、残っていた人を助けていた人達が、それぞれうれしそうに話しながら、王様の部屋に入って来ました。
パフル大臣は、みんなから口々に、もう残っている者はいない、と報告を受けると、ほっと安堵の表情を浮かべながら、ガッチにうなずいて見せました。
ガッチは、大きくうんとうなずくと、二・三歩後ろに下がって、固く握ったゲンコツを振りかぶり、「それっ!」のかけ声とともに、渾身の力をこめて銅鑼を叩きました。
ドヨヨヨヨヨーン、ン、ン――……
広い部屋中に、巨大な銅鑼の音が響き渡りました。そばで見ていたサトルは、銅鑼が鳴り終わっても、しばらくのあいだ体がしびれて、自由に動けませんでした。
銅鑼が鳴ると、ベッドの上で死んだように眠っていた王様が、パチッと目を覚ましました。
遠巻きに見守っていた人達が、ガッチが言っていたとおり、次々に消えていきました。驚いたサトルは、あわててガッチに指差しましたが、ガッチは「大丈夫、大丈夫」と、繰り返すばかりでした。
と、見ていたサトルにも変化が現れました。ガッチが、だんだんと小さくなっていくのでした。いいえ、サトルがだんだんと元の大きさに戻っていくのでした。
サトルは、これでドリーブランドともさようならだな、と思っていましたが、サトルに起こった変化は、それだけでした。いつまでたっても、元の世界には戻っていきませんでした。そうしているうち、最後まで残っていた町の人達が、消えてしまいました。王様の部屋には、サトル達以外、ほかに誰もいなくなってしまいました。
「パフルさん。どうして、ぼくだけ元に戻らないんですか?」と、サトルは言いました。
パフル大臣は、ただ首を振るだけで、まったく訳がわからない、といった表情を浮かべていました。
「どうなってんだ、こりゃ……」と、ガッチが肩をひそめて言いました。「どうして、サトルだけ元に戻らないんだ」
「ファーア……。よく寝たな。おはようガッチ。おはようパフル――」と、王様が目を覚ましました。
「おい、この野郎! サトルを元に戻せ」と、ガッチがベッドに飛び乗り、あくびをしている王様につかみかかりました。