「――いかん。これ、ガッチ」
と、パフル大臣があわててガッチを引き離しました。床に倒れたガッチは、わなわなと震えているサトルの傍らに来て、大きな声で言いました。
「このねぼすけ王! もう一人残ってんだ、さっさと元に戻しやがれ」
ガッチが言うと、王様はヒゲをひくつかせておびえましたが、隣に立って震えているサトルを見たとたん、スーッと、外からでもそれとわかるほど、顔が青ざめました。
「ギャー! パフル、ガッチ、その者を城の外に追い出せ。追い出してくれ。そいつは化け物だ……」ねむり王は言うと、毛布を頭から被りました。
「王様、どうなさいました……」と、パフル大臣がねむり王をなだめるように言いました。
サトルとガッチは、おかしな展開に、互いの顔を見合わせました。
「――ガッチ、ガッチ。早くわしを起こしてくれ。そいつに襲われる……早く起こしてくれー!」と、ねむり王は狂ったように叫びました。
「王様、どういたしました――。とっくにお目覚めでございますよ。悪夢はもう覚めてしまっているはずです……」
パフル大臣が言うと、ねむり王は毛布の隙間からすっと手を出し、パフル大臣の頬をつねりました。
「あいたっ!」パフル大臣が言うと、ねむり王はけろりとして毛布から這い出し、
「そうか……わしは起きていたのか……。では、なぜおまえがここにいるのだ」
と、ねむり王がサトルを指差して言いました。
「えっ……」と、サトルはどうしてと言われても、自分でもよくわからないので、ねむり王に会ってドリーブランドに落とされたことを、はじめから、細かく話して聞かせました。
「――という訳です……」
「ふーん……」と、ねむり王はサトルの話を聞くと、あごに手を当ててうんうんとうなりながら、なにやら考え始めました。サトルは、ただじっと、ねむり王がなにを言い出すのか、緊張して待っていました。
「変だな……。わしは確かに夢の中でおまえに会った。それも悪魔に追われている夢の中でだった。わしはおまえの言うとおり、わしの城に逃れた。悪魔は依然として追ってきたが、おまえまでもがわしを追ってきたので、わしは隙を見ておまえをドアの外に突き落としたのだ。しかし、それで安心はできず、その後にも悪魔や、それに怪物達までもが加わって、わしを追いかけ始めたのだ。わしは逃げて逃げて逃げまくったが、どうしても逃げられなかった怪物がいた。おまえとガッチだ。おまえ達は、わしが夢の中で作った罠をことごとく打ち破って、とうとうわしを追い詰めてしまった。逃げ場のなくなったわしは、恐くなってまた城へ戻ってきたのだ。後は、おまえ達の知っているとおり、わしは目を覚ました……」
「でも、王様が目を覚ましたんだから、ぼくは元に戻るはずじゃないですか?」
「いや、わしが思うに、おまえはここの人間ではない……。わしがおまえと始めてあった時、おまえはわしの知らない所で遊んでいた。鉄でできた動物が走り、白い線の入った固い地面があった……」
「そうです。ぼくはドリーブランドの人間じゃありません……。でも、王様がぼくをここに連れてきたんだから、元に戻すこともできるはずです」
と、パフル大臣があわててガッチを引き離しました。床に倒れたガッチは、わなわなと震えているサトルの傍らに来て、大きな声で言いました。
「このねぼすけ王! もう一人残ってんだ、さっさと元に戻しやがれ」
ガッチが言うと、王様はヒゲをひくつかせておびえましたが、隣に立って震えているサトルを見たとたん、スーッと、外からでもそれとわかるほど、顔が青ざめました。
「ギャー! パフル、ガッチ、その者を城の外に追い出せ。追い出してくれ。そいつは化け物だ……」ねむり王は言うと、毛布を頭から被りました。
「王様、どうなさいました……」と、パフル大臣がねむり王をなだめるように言いました。
サトルとガッチは、おかしな展開に、互いの顔を見合わせました。
「――ガッチ、ガッチ。早くわしを起こしてくれ。そいつに襲われる……早く起こしてくれー!」と、ねむり王は狂ったように叫びました。
「王様、どういたしました――。とっくにお目覚めでございますよ。悪夢はもう覚めてしまっているはずです……」
パフル大臣が言うと、ねむり王は毛布の隙間からすっと手を出し、パフル大臣の頬をつねりました。
「あいたっ!」パフル大臣が言うと、ねむり王はけろりとして毛布から這い出し、
「そうか……わしは起きていたのか……。では、なぜおまえがここにいるのだ」
と、ねむり王がサトルを指差して言いました。
「えっ……」と、サトルはどうしてと言われても、自分でもよくわからないので、ねむり王に会ってドリーブランドに落とされたことを、はじめから、細かく話して聞かせました。
「――という訳です……」
「ふーん……」と、ねむり王はサトルの話を聞くと、あごに手を当ててうんうんとうなりながら、なにやら考え始めました。サトルは、ただじっと、ねむり王がなにを言い出すのか、緊張して待っていました。
「変だな……。わしは確かに夢の中でおまえに会った。それも悪魔に追われている夢の中でだった。わしはおまえの言うとおり、わしの城に逃れた。悪魔は依然として追ってきたが、おまえまでもがわしを追ってきたので、わしは隙を見ておまえをドアの外に突き落としたのだ。しかし、それで安心はできず、その後にも悪魔や、それに怪物達までもが加わって、わしを追いかけ始めたのだ。わしは逃げて逃げて逃げまくったが、どうしても逃げられなかった怪物がいた。おまえとガッチだ。おまえ達は、わしが夢の中で作った罠をことごとく打ち破って、とうとうわしを追い詰めてしまった。逃げ場のなくなったわしは、恐くなってまた城へ戻ってきたのだ。後は、おまえ達の知っているとおり、わしは目を覚ました……」
「でも、王様が目を覚ましたんだから、ぼくは元に戻るはずじゃないですか?」
「いや、わしが思うに、おまえはここの人間ではない……。わしがおまえと始めてあった時、おまえはわしの知らない所で遊んでいた。鉄でできた動物が走り、白い線の入った固い地面があった……」
「そうです。ぼくはドリーブランドの人間じゃありません……。でも、王様がぼくをここに連れてきたんだから、元に戻すこともできるはずです」