浅野ゆうじの独り言

社会・政治に関連する本の感想や日々の出来事についての私なりの考え方を書いています。

文教委員会での発言(討論採決にて)

2017-10-10 10:12:37 | 国際・政治
議案そのものに反対するものではありませんが、決算認定でありますので、政策執行について、少し、以下の3点の意見を述べたいと思います。

先日、新聞のコラムで、「実用重視な教育は、自由な問いや考えを閉ざそうとする傾向にある」とし、「そして、基礎学力の低下は、考えることの力を低下させる。」のではないかと述べています。付け加えていえば、先日、国語の読解力の低下もニュースになったところです。
そこで、学力向上ぎふプランの中の習熟度別少人数学習についてです。状況をお聞きしたところでは、算数や数学、また学習支援ソフトを使った、少人数のみならず全体に対して、学習を行っているとのことでした。現在、新たな教育事業全体の内容を見てみますと、英語教育をはじめ、理科・科学教育、IT教育、キャリア教育などの実用重視の施策が多く目立ちます。時代の流れともいうべき、こうした施策を必ずしも否定するものではありません。しかし、一方で基礎学力の充実という面で懸念されます。そこで、少人数学級についてお尋ねしたところ、小学校高学年からは、少人数教育の効果はあまりないというお答えでした。そうであれば、この「習熟度別少人数学習」が基礎学力の充実という点で、重要になってくるのではないかと考えます。現状では十分に行われているとは思いませんし、特に出遅れてしまった生徒児童に対するフォローが大切ではないかと思う次第です。「教育の事務の管理及び執行状況報告書」が示すように、もっと積極的に、成績下位10%の児童生徒に対するきめ細かな指導を行っていただくことを要望します。義務教育では、基礎学力の底上げを含む全児童生徒の学力向上が目的であって、学力テストはあくまでも手段なのではないでしょうか。

 つぎに、ハートフルサポーターに関して要望いたします。「教育の事務の管理及び執行状況報告書」では、採用要件の緩和にもかかわらず、現場のニーズにこたえられていないような問題点が指摘されています。もちろんニーズに対応していくこともさることながら、採用要件の緩和が、子供たちに対する影響が心配されます。教育現場である以上、教育の専門家がすべきことと福祉的視点を持つ専門性も必要になってくる大切な仕事です。特に療育を必要とする児童生徒にとっては、教育と福祉の両面からの指導が必要です。療育では、早期発見が早期療育に繋がっていないとか、治療・教育・訓練のプログラムが確立していないとかの問題点が指摘されており、個々の状況によって多様なケースの問題点も考えられ、専門性が要求されることになります。多くの課題を抱える現状を考えた時、現在の資格要件は、教員、養護、幼稚園、ヘルパー、栄養管理、の資格とそれぞれのエキスパートではあると思うのですが、必ずしも共通の対応ができるとは思えないところがあります。研修も行われているとお聞きしますが、ハートフルサポーターとして、専門性を持ち共通した課題に対応できる態勢で臨んでもらいたいと要望します。

 最後に、スポーツ及び体力についてのお願いです。
スポーツの効用は言うまでもなく、部活動の重要性は認識されるところですが、その課題も多く、(ここではあえてその課題を取り上げませんが)、部活動が縮小傾向にあることは間違いないようです。しかし、児童生徒の思いとともに、ハード、ソフトともにスポーツ環境を整えることは行政の役割でもあります。部活動施策の一つとして、学校またはスポーツの種類によって柔軟な合同部活が必要だと感じています。今、国や岐阜県でも検討に入っているようですが、地理的にコンパクトである岐阜市においては、最も可能性がある施策ではないかと思います。多様性、競争性、社会性という多面的な要素によるスポーツの効用を考え、その課題の一つの環境整備として合同部活を前向きに検討していただきたいと考えます。そして、体力面での懸念を指摘させていただきます。平成28年度の岐阜市新体力テストの結果を見て驚きました。小学校3年生から中学3年生までの、50m走、立ち幅跳び、ボール投げ、20mシャトルラン、持久走のデータが、平成27年度比とはいえ、多くの学年で全国平均を下回っているのです。競争ではなく劣っているという事実が何を意味するのか、いろいろあると思われますが、子供たちの健全な体力、精神に及ぶとなれば心配しなければなりません。分析を急ぐとともに、どうあるべきかを考えていただきたいと思います。これも学力と同様に、体力のない児童生徒にどう対応するかが重要になってくるのではないでしょうか。

 以上、義務教育において、少し出遅れてしまった児童生徒に対する教育という視点で指摘させていただきました。よろしくお願いいたします。