浅野ゆうじの独り言

社会・政治に関連する本の感想や日々の出来事についての私なりの考え方を書いています。

あいちトリエンナーレとアール・ブリュット

2013-08-30 08:55:27 | 日記・エッセイ・コラム

 3年前からスタートした「あいちトリエンナーレ」が今年も7月から開催され、夏休みに見に行ってきました。先回も見たのは愛知県芸術文化センターだけでしたので、今年もとりあえずセンターの展示会場を訪れてみました。

 他の会場を見ていないため、全体のテーマという面では定かではないのですが、やはり東日本大震災の影響か環境や被災という面の社会性を表す作品が多かったように思います。前にも述べたように社会性あっての現代美術という思いがあったためか、また反体制批判のような過激なものを期待していたためか、面白みに欠ける感想を抱かざるを得ませんでした。 ただ、プログラムを見ていると作品の全体が、演劇的なショーやパフォーマンスに移っているようで、そうした作品を見る必要があるのでしょう。

 最近、ある講演で、「エイブルアート」、「アール・ブリュット」と言われる、芸術に知識や先入観のない人、精神に障害を持つ人たちの芸術を知る機会がありました。なにものにもとらわれない発想で表現する芸術に、なぜか安らぎとやさしさを感じるのは私だけではないと思います。かなり前から、ヨーロッパ中心に広まりつつあるようですが、日本ではあまり知られていないようです。

 見る者を感動させる芸術、心に訴える芸術、考えさせられる芸術などいろいろあり、見るほうもあまり先入観や知識がなく見ることも必要なのかもしれません。

以上


『リベラル保守』宣言・中島岳志を読んで

2013-08-20 11:20:39 | 国際・政治

 先にこのブログでも紹介した『知の挑戦』で中島先生の主張に共感し、改めて考え方を知りたいと思い、標題の本を読んでみました。

 ブログでは、西部邁先生や佐伯啓思先生を取り上げておりますが、同じ流れとして、「保守」の本質が語られており、自分自身が普段語っていることが裏付けられているような思いでした。安易に「保守」と名乗ることができないと言えますし、「リベラル」そのものの流れも考えなければならないところがあります。

 イデオロギーや思想は、とかく対立的になりがちであり、そうした対立や断言が人気を博す風潮の中で、時間的空間的立ち位置を基本とするこの「リベラル保守」の考え方は、日和見的・妥協的に移り、刺激的な変革を求めるものにとっては生ぬるいものに映るかもしれません。しかし、対立や断言が引き起こす結果としての負の部分は兎角考慮されないのではないかということです。またポピュリズムが問題になるのはそうした部分であったはずです。

 私自身は、こうした漸進的な考え方とバランスに配慮する政策を行うのが今求められていると思っています。「リベラル保守」という言葉が適切なのかどうか分かりませんが、私たちの方向性を示す素晴らしい考え方ではないでしょうか。

以上


今考えるべきこと

2013-08-06 08:58:23 | 国際・政治

 昨日、久々にTVで、西部邁先生の出演番組(BSフジ)を見て、改めて私たちが考えなければならないことを感じました。

 おそらく見た多くの方は、右寄りの極論のように感じた方も多く、また、アメリカ追従型の政府やマスコミ批判から左寄りと感じた方もいたかと思います。しかし、このブログでもたびたび取り上げてきたように、先生の真意は、中庸とでも言うべきバランスであり、その奥にあるものは、日本人の誇りや真正の保守思想にあるのではないかと思います。行き過ぎた自由主義思想や経済的価値判断を中心とする政策に危機感を持っての発言ではなかったかと思います。

 現実的にみれば、アメリカ追従型の政策に対する批判のように、果たして政策転換することができるかという大きな課題にぶつかってしまうわけで、結局のところ理想とする保守的な思想の堅持は、国民一人ひとりの覚悟になってくるわけです。行くとこまでいかないと、そうした覚悟は生まれないのかもしれませんが、転換期を迎えているような気がしてなりません。

 グローバリゼーションが進む中、あまりにも外的要因に翻弄される状況が続き、本来の自分を見失ってしまっているような政治が、いつまでも私たちの閉塞感をぬぐいきれないと感じる要因ではないかと思うわけです。国の政治もしかり、地方の政治もしかり、今一度私たちの方向性がどうあるべきか考え直さないと、という西部先生のお話しでした。

以上


政治的スタンス

2013-08-01 09:00:42 | 国際・政治

 『「知」の挑戦 本と新聞の大学Ⅰ,Ⅱ』(集英社新書)を読んで、自分自身の政治的スタンスを再確認することができ、指針を与えられ勇気づけられた本であり、知的満足を覚えたと言うのが感想です。

 この本は、朝日新聞と集英社のコラボによる講義録で、モデレーターとする二人を含め10人の先生方が、それぞれの主張と質問に答える形の講義録になっています。1年前の講義録のために、その時の情報としては変化していると思う場合もありますが、基本的なところでは全く問題ありません。皆さんにぜひご一読を進めます。

 すべての講師の先生方の講義に共感するところが多かったのですが、やはり、地方議員として関心があるだけに、政治の分野で講義をした、杉田敦、中島岳志、両先生の講義録に教えられることが多くありました。いや、他の先生方に教えられることが多く、上から目線の様で申し訳ありませんが、政治分野の両先生方には共感や同感を覚えたといったほうがよいのかもしれません。

 先生方のようにうまく整理して文章化することができませんが、このブログでも政治的スタンスという面において同じようなことを語ってきたつもりでいます。現場にいる人間として、実際に政治に携わる人間として、理想または理論的な考え方と現実のはざまで考えさせられるところが多くあります。妥協すれば考えなくても済むことは多いのでしょう。しかし、理念において、また理想を追求するという姿勢を崩してまで、そのための妥協はあっても、自分自身の利益や安楽のみを考えた妥協はできません。そこに苦労と悩みがあるのですが、地道に活動するしかないといったところが、大げさにいえば私の今のところの悟りとなっています。

 理念を失わず、自分自身が何ができるか、絶えず問題意識を持ちながら、役割を努めることに徹したいと思っております。

以上