名古屋市長選は、河村市長の圧勝でした。 減税10%や議員報酬の半減という明快なキャッチフレーズによる市民の賛同を得た結果といわれますが、市民はとにかく現状の停滞を変えたいという思いが強かったのではないかと考えます。
「現状の変革」の根本は、大きく国の政策に依存するはずですが、そうした声は名古屋の大都市部であるがゆえに、市民の中の期待が大きく膨らんだ結果でもあるのでしょう。
しかし、一方で、こうした首長の主張を承認したとする首長の権限拡大は、地方議会の二元代表制を理解していないと、独裁的な地方政治の運営に陥ってしまうリスクは避けられません。大衆迎合的な選挙であるとすれば、今後も、大きな混乱が予想されます。
名古屋市議会の民主党議員は、今回の選挙で民意が反映されたとして、河村市長の政策に賛成し、自らの選挙を行うという判断をしました。
果たしてそれでよいのでしょうか。確かに票数という数の原則から言えば、河村市長の政策を市民が選んだという結果ですが、それでは議員の皆さんは何を今まで主張してきたのでしょうか。現在の議会制度の在り方、議会の権能、議会制民主主義とは何かなどの本筋を主張してきたのではなかったのではないでしょうか。そうであればその主張を持って選挙に向かうべきだと思います。大衆迎合であってはならないところははっきりすべきで、信念を変えるようなことがあってはならないと思います。
議員であり続けなければ河村体制を阻止できないという主張もあるのでしょうが、一面では議員の保身としかとられない危険も十分にあります。
多様な意見を公平に判断していく良識のある議会の形成を目指して、自省も含め、改めて覚悟をしている今日この頃です。
以上