・今回は第54条について現行憲法と自民党改正案を比較する。
自民党__新憲法草案(旧案) |
自民党_憲法改正草案(決定案) |
日本国憲法
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(平成十七年十月二十八日(発表)) 2005年 |
(平成二十四年四月二十七日(決定)) 2012年
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(昭和二十一年十一月三日憲法(発布)) 1946年 |
(衆議院の解散と衆議院議員の総選挙、特別会及び参議院の緊急集会) 第54条 ① 第69条の場合その他の場合の衆議院の解散は、内閣総理大臣が決定する。
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(衆議院の解散と衆議院議員の総選挙、特別会及び参議院の緊急集会) 第五十四条 衆議院の解散は、内閣総理大臣が決定する。
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② 衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に、国会の特別会を召集しなければならない。 |
2 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から三十日以内に、特別国会が召集されなければならない。 |
第五十四条 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。 |
③ 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。ただし、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
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3 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。ただし、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。 |
2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
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④ 前項ただし書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであって、次の国会開会の後10日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失う。
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4 前項ただし書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであって、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失う。
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3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。 |
{参考}第69条 内閣は、衆議院が不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
(日本国憲法は議会が国民の信頼を得ているかどうか問う手段が無い。解散権が内閣総理大臣にしかないため、与党もしくは与党連合が過半数を握った時、ほぼ何でも法律が通ってしまう不具合があり、小選挙区制による不具合が発生する。
頻繁に解散されても問題があるので、議員の三分の一が解散を求めた場合は解散できるようにするか、国民投票にかける方法を作るべきである。)
・ 第54条は本来第69条によって不信任案が成立し、内閣総理大臣が衆議院を解散する選択を選んで、衆議院を解散した後の手続きを定めたものであり、(衆議院の解散と衆議院議員の総選挙、特別会及び参議院の緊急集会)の表題が若干のニュアンスが異なっていると思われる。「衆議院の解散と⇒衆議院が解散後の」と直すべきである。
・ 第54条は自民党改憲案を見ると2度変えている。どちらも内閣総理大臣に衆議院の解散権を内閣総理大臣にあることを明記する形になっているが、本来なら5章内閣に追加すべきことである。つまり法律のつくり方がなっていないということである。
’05年の改憲案ではそこのところを意識しているだけ多少の救いがあるが、もちろん内閣総理大臣の権力強化を狙ったものであり、基本的にNGである。
(旧仮名遣いとか、内容が変わらない改変はしない方が伝統ある憲法になるので、変更は不要と考える。日本は刷新、禊とかすっかり変えることを得意とするが、本来法律は積み上げて良くしていくものである。無駄な極変更など避けるべきである)
現行憲法の英訳を青字で表示する。
article 54. When the house of representatives is dissolved, there must be a general election of members of the house of representatives within forty (40) days from the date of dissolution, and the diet must be convoked within thirty (30) days from the date of the election.
When the house of representatives is dissolved, the house of councillors is closed at the same time. however, the cabinet may in time of national emergency convoke the house of councillors in emergency session.
Measures taken at such session as mentioned in the proviso of the preceding paragraph shall be provisional and shall become null and void unless agreed to by the house of representatives within a period of ten (10) days after the opening of the next session of the diet.
2012年改憲案 「衆議院の解散は、内閣総理大臣が決定する。」を機械語訳
The dissolution of the House of Representatives, the Prime Minister is determined.
2005年改憲案 「第69条の場合その他の場合の衆議院の解散は、内閣総理大臣が決定する。」を機械語訳
Dissolution of the House of Representatives in the case of the other case of Article 69, the Prime Minister is determined.
(憲法は主語を明確に何を規定するか、為政者への指針と、義務が明確にする必要がある。どのようにでも解釈できる条文を作ってはならない。)
憲法は本来一読でわかるようにすべきである。曖昧な言葉をなくし、明確に定義付けることが必要であると思うやじさん