自然はともだち ひともすき

おもいつくままきのむくままの 絵&文

宅配

2012年02月01日 | 絵と文


今年最大の寒波が上空に居座っている。
日中も絶え間なく雪降り続く厳冬の一日。


玄関のベルが鳴った

筆がブルンとぶれて思わず舌打ちが出る
渋りつつ腰を上げて、
玄関に出てみるとおなじみの宅配のおじさんだ。

「今日は美味しいお肉が届きましたよう」

あらま、このひとは。
となじる気も起きなくなる人のよい笑顔につられ
こちらも調子を合わせて破顔してしまう。

「寒いのに、ほんとに、ほんとにご苦労様」



「あ、ハンコさかさまよ」

天地たがえて今や判を押そうとするを押しとどめ、
にっこりにやり
ウインクする見かけによらず視力のいいおじさん。

「はーい、ありがと。
鍵しっかりかけといてね」


と雪の戸外へ飛び出してゆく。


天性なのか年の効なのか
雪の中に薄れてゆく宅配の車をしばらく見送った

あの車の中、あったかいんだろうなぁ…



風もなく音もなく、雪は小止みなく
しんしんと底冷えのする厳冬の一日。