チッ、…
どこかでひと声、鳥がないた
頭の中が薄ぼんやり… …あ、私はベッドの中、心地よく眠っていたのだっけ
ジイッ、
今度ははっきりした変な音で眠りのいりくちから引き戻された
何? 鳥…私の部屋なら鳥なんているわけがない…
ジィーッ!
枕もとのスタンドを点けた
本にメガネ、点眼薬、Pちゃんにもらったかわいい子鈴 電話器と、
~あ これだ 故障したのか指定の時間が来ても黙りこくって役立たずの小さな目覚まし時計、これしかない。
ジエッ!!
音は間隔をおいて威嚇するみたいにだんだん大きくなってくる
眠い眼をこすりながら、目覚まし音のonとoffの操作を何度か繰り返し
音の鳴らないのを確かめてから布団を被った。 やれやれ。
ジェーッ、
ヤだもう!
たまらず時計をつかんで裏返して電池をすっぽり抜きとってやった
ついでに時計ごと部屋の隅に放り投げた
これでよし。 心底疑わずベッドに横たわったら・・・またもや、 ジェーッ!
? ? ?
飛び起きて電灯を点けた
だーれもいない小さな部屋が暗闇からぽかんと浮き上がる
ベッドの上にへたり込んで、360度何回見まわしても音を出すものってなぁーにもない
ここは自分の部屋じゃない別の世界かも どのボタンを押したらあの怪音は止まってくれる?
小泉八雲さ~ん
明るくなれば。
そうだ明日は明日の風が吹く
「向こうの部屋にお布団敷こう」
やっと決まったときぐたぐたと仰向けに伸びてしまった
あきらめて少しばかり落ち着いて、見上げた天井に、間隔をおいてチカ、チカと赤い灯が目に入る
火災報知器。
点灯と同時にジェッとひときわ大きな音がした こんなところに犯人が!
肩と胸のこわばりがすっと溶けて、安堵とともに何度も笑いがこみ上げてきた
無事平穏って最高だわぁ
困ったときには天を仰いでご覧。
(夜中の電池切れは怪音を発して人心を惑わします、とはっきりマニュアル本に書いといてね)