YUNUBI

YUNUBI=ユヌビは、私が嫁いだこの地の方言名だ。30年余の会社経営、子育てに良くも悪くも終止符をうった。

満身創痍痕ミックス犬LON

2009-04-08 | Weblog
会社の整理が進む中で、夫には次々といろいろな事が起きた。
90歳にも届きそうだったが、いつも元気だった最愛の母親を亡くした。私らより先に会社が破綻し、もう1度と戦いを始めた矢先の親友が脳梗塞で亡くなった。亡くなる数日前に、我が家の庭でバーべキュウをした時が、最後の笑顔だった。彼は、朝の仕事場で倒れそのまま突然逝った。52歳の彼にはまだ小学生の男の子がいた。病院に駆けつけた夫は、その子にかける言葉もないと家に帰り、通夜や葬式には息子が代った。帰ってきた息子は、亡くなった夫の親友の思い出を、大粒の涙と止まらない鼻水を酒で流した。夫は、どこかで酔いつぶれたかったが酔えない、そんな顔で帰ったきた。企業戦士。どこかで聞いた呼び名だが、文字通り亡くなった夫の親友は、鎧も兜もつけた豪快な笑顔のままに消えた。夫を戦友と思っていた筈だ。元気をなくした夫が、病院で糖尿病予備軍といわれたのも、企業戦士のなれのはてと私は思ったが、一番面白くなかったのは、本人だっただろう。
 その頃から、夫とLONの散歩が日課になり距離も時間も長くなった。夕方、少し酒の入った夫が帰るなりLONと散歩にでかけた。紐をつけないで散歩に行く。LONを自由にさせたい夫の思いがある。だが、歩道に飛び出した車に巻き込まれた。連絡をうけて駆けつけた私は、LONを抱きかかえて座りこんだ夫を促し、獣医に飛び込んだ。後ろ足が骨折しているとの事、もちろん即手術だ。LONは、その後、もう片方も骨折していて結局、全治2ヶ月の大怪我だった。痛い!と言わなかった。当然だよね。犬なんだから。
私は、無性に腹が立った。散歩に連れってった夫に!両足の骨折にすぐに気がつかず、やたらLONに痛い思いをさせた獣医に!訳が分からない怒りがあった!夫におきたいろいろな出来事は、まるでLONが引き受けたかの様に、怪我の責任だけを夫に負わせ、LONの体は満身創痍。丸く澄んだ瞳だけがこっちを見つめる。本当に静かにジーと見つめる。
夫は、LONを見守るしかなかったが、今生きているLONの生命力を見ていたのだろう。LONは、前右足は以前の病気の壊疽の後遺症で、毛がむけチキンのような肌でねじれている。今度の怪我の回復後、LONのお腹には、以前の開腹手術痕が線、両後ろ足は骨折の手術痕、チワワとパグのいいとこ取りの愛くるしい瞳を持つ頭以外は、満身創痍痕なのだ。LONが歩く時、足を引きずるというよりピョンピョンびっこする。それでも、夫との散歩に笑って嬉しげに出かけていく。気がつけば、社長業で、ストレス太りで病気予備群の夫の体、気がつけばスリムに なり健康を取り戻している。
出かけるLONの嬉しげに跳ねる様は、優しさをくれるかけがえのない宝物。
 
 


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