YUNUBI

YUNUBI=ユヌビは、私が嫁いだこの地の方言名だ。30年余の会社経営、子育てに良くも悪くも終止符をうった。

管財人

2008-01-31 | Weblog
 裁判所から、出頭案内がきた。私らの申立てに物申すの様な感じで---。その前に管財人が決まったと、弁護士から報告を受けていた。
 管財人、裁判官、弁護士、当事者の私らという構図だ。5ヶ月間の、弁護士との付き合いの中で、こういう作業がかなり事務的に進むということを、聞取り中心の事情聴取だったことから、「報告」「受理」となんとなく思い、破産に向かう自らの状況にも納得してきた頃だった。
 この日、管財人の「隠し資産はないか」との私らへの強い問いに、この対応は、私らの弁護士とは違うと感じた。現実は苦しくなる生活が見える、その為に私は近い将来現金化できると、社債3件、農地等を、取りおいていた。
 だが、「嘘は、つけない」というとっさの判断であからさまにした。関西弁で、強い口調の管財人は、弁護士とは思えないほど聞き取りにくい言葉や、専門用語を意識的か無意識か、当事者である私らの前で私らが依頼した弁護士とやりとりする流れの中で、早いテンポで質問してきたのだ。
 私は、あえなく当座の生活費にと隠した社債や、農地等の資産を暴露せざるを得なかった。その時の私らの、弁護士の驚いた顔、怒った管財人、とっさの覚悟だったが、これでつらい立場になったのは確かだった。
 
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債権者

2008-01-27 | Weblog
 私は、7ヶ月を経てようやく債権者への思いを巡らすようになった。
本当に済まないと思う。債権者の大半は金融機関だった。
 長い付き合いは30年を超える。少し前までは、メイン銀行があって当然、そんな風潮だった。バブルがはじけた頃から、金融機関に何度か裏切られ、いつか取引先が5行になり、浅く広く借りるという資金繰りになった。
 今、振り返るとこうなるまでに、銀行や同業者にただの一度も遅延や不払いはなかった。高い利息や保証料、求められる保証人、腹が立っても、きっと良くなると必死で資金繰りをして、会社を支えた。

 だが、ここ10年は、嵐の中の襤褸船だった。蛇行を続けても、重い荷を降ろせず、とうとう沈没した。襤褸舟に海賊のような社員を乗せて走ったのだ。
 襤褸船に、信用という名札をつけた銀行は立腹したに違いない。
同業者の債権者は友人関係が多く中堅の会社が殆どだった。私らにつられる事がない額だったのはせめてもの救いだったと思う。
 が、私らの突然の倒産は、晴天の霹靂だったに違いなく、彼らの立腹も又仕方のない事で、それぞれの担当者の顔が浮かび済まないと思う。
 同じ地域で生きる同業者の債権者との助けたり助けられたりの情の関係は、音もなくスパッと切れた。
 一方で、長い付き合いに感謝と励ましをくれた債権者がいた事に、心が和んだことは生涯忘れない。

 会社が倒産した事で、保証人である私らは、普通に働いては一生返せない借金を背負った事になった。
 破産手続きの為に、21万6千90円の夫と二人分43万2千180円を弁護士を通じて裁判所に予納金として収めた。
 これで、弁護士に支払った金額は193万2千180円となる。
 
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事情聴取

2008-01-20 | Weblog
 決算処理がすみ、かなりの額の還付金を確定し決算書を提出できた頃には、事情聴取もほぼ終わりに近かった。
 弁護士事務所の私らの、担当職員は30歳になったばかりの若い女性である。倒産をきめてから、すぐに私らの担当となった彼女との付き合いは、もう7ヶ月になるのだ。丁寧で毅然とした対応の中にも優しさがみえるのは、彼女本来の性格だと思う。が、私とのやり取りは事務的にならざるをえず、いったん提出した書類の内容をさかのぼって言葉で確認するという作業は、彼女にとっては、事実に基づいた冷静な記述の必要性があったに違いない。

 この間、私には30年前の会社設立時のいきさつから現在までの大波、小波、寄る波、事細かに記憶を正す作業になった。
 夫は、私が倒産後の会社の決算処理に追われる頃、倒れた母親の入院する病院に足しげく通っていた。こんな時だが、最後の親孝行になると思った。
 会社の事情聴取の、再々の確認作業は、私がやらざるをえずその事は、事情を誰よりも把握していた私だから、当然の作業だとの思いがある傍らで、その他の事でも私の心はザラザラとイラだってきた。
 例えば、カード会社から、更新料のみの請求など、私としては言いたくもない破産手続きをしている事を告げなければ、解約に応じないカード会社がある。その一方、自分が入った保険やネットのプロバイダーのお金のたてがえカード会社や、さろに、NTTと半分かかわったような料金システム、リース契約の裏のカード会社、それらは、一つの契約に、3社が関わっているような現在の複雑な購買社会を、今更のように認知しなければならず、つまり3社全部とやり取りをしなければ解約にならなかった。
 立場上、私らはこれらのカード会社に支払いをしてはならない筈だが、私が持っていたカードの5社程、使い出してからは10年程だが便利に使わしてもらった、せめてもの感謝とプライドが、キチンと解約しなければと行動したのだった。
 会社のカードも含めると解約まで4、5ヶ月かかったことになる。当初の私の思惑(電話一本で解約)ははずれ、解約までの使用料を払うはめになった。
 少しでも、身辺をきれいにしておこうと開き直ったつもりも、破産に向かう自分の立場を再認識することになった。
 現代社会の仕組みの中で、労せず、リスクを省くべく、利益をえる、電話の向こうのカード会社や、保険会社等に、無性に腹がたったが、働けど働けど、わが会社楽にならずから、やっと抜けられたとの思いもしてきた。

 気が付けば、月日がたって私らの生活の方向が見えぬまま、事を処理しなければと動きつつ、それでも、30年の会社の後かたずけはエネルギーのいる作業だ。
 いつでもここを立ち退く用意をしなければといけない。やることが、つぎつぎでてくる。心がザラザラしてくるのは、弁護士事務所に、再々同じ事を話したり、報告することは、一旦はこれでいいのだと納得した筈が、悔しさや、腹立たしさを、付き合いのなかにみたり、自分に腹が立ったりする事になった。

 事情聴取の書類ができた(裁判所に提出できる状態)頃、夫の母親が亡くなって49日をむかえた。
 
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雑穀

2008-01-20 | Weblog
 雑穀の言葉に引かれてやずや喫茶を訪れた。共に暮らして30余年、健康管理なんてどこ吹く風、食事も好き嫌いなのか、わがままなのか良くわからない夫が、雑穀を食べようとの事?!とりあえず自分の事ふりかえる気になったのかしらね
 試供品が届いたので、こしひかりと炊いた。ムチムチ感がいい。いろいろな雑穀のひとつひとつの味が、噛み応えもあるなかでしっかりわかる。
 ひとことで、「おいしい。」最初はシンプルに、味噌汁卵焼きで噛み締める程にいい味。次は、野菜カレーとこれまた合性がいい。カレーが、素朴でシンプルな分、雑穀ご飯で美味しさ倍増、お試しあれ。
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7ヶ月経った。付き合いパートⅡ

2008-01-16 | Weblog
 弁護士に、破産の方向へ依頼してから7ヶ月が経過した。破産に関する私のイメージは全てをなくした人間が、文字どおりなすすべもなく全て弁護士が事を進めて行った上の結論だと思っていた。
 だが、違った。当然といえば当然なのだがまず債務の報告、手持ち財産の目録等書類つくりから始まった。
 それらに、添付される公的書類(登記簿類、証明書)も結構な手数料がかかったが、おおよそ提出したときは、1ヶ月が過ぎ私らの経営していた会社は、本来の決算期を迎えていた。事務的作業の中で、落ち着きを取り戻した私は、決算処理を進める事にした。労災、税金等の還付が取り付けられるからだ。書類の整理を一人で黙々と進める私の元へ、事務員だった彼女が手伝いたいと申し出てくれた。
 今回の会社倒産について、私の周りで事の成り行きについていくしかなかった彼女。到産の1週間前は私の指示で銀行へいったり、外出させる事が多くなったが、心もとなく用件を忘れたり時間がかかったりドジ続きに自分でも驚いていた。張り詰め落ち着かないつらい1週間だった筈なのに---。もともと明るくて立ち直りが早い彼女の良さに感謝し、手伝ってもらうことにした。

 彼女が来たことで、税理士に電話をし決算処理をやる旨を伝えると、破産処理を進める中での、決算処理はやったことがないとの事だったが、24年間のお付合いに免じてボランティアでやりますとの返事は有難いと感謝した。
 この頃に、たな卸し資産に計上しているヤードのプレハブ小屋や、作業道具、クーラー等、中古だが十分使用できる品々がなくなっているのに、気が付いた。
 突然の倒産に、請求書が出せず何か持っていければと、対処した業者がいた事も周囲の情報から入ってきた。請求書以上の物をもっていった業者もいたが、債務が生じたにもかかわらず、「ながい付き合い今まで、仕事をありがとう」「ご苦労様、体に気を付けて」と言葉をかけてくれた経営者がいた事に感謝した。

 突然の倒産を、社員には知らせなかった。理由は、その時抱えていた仕事がきちんと完了するからである。だが、一番の理由は長い付き合いの中で、彼らをよく知っていたから。性格上、月末に手形が不渡りになるという不穏な空気では、彼らは動揺し仕事が完結しない。私は、彼らの家族を良く知っていた。資金繰りが苦しくても、良くなると信じふんっばったのは、彼らの家族の顔があったからである。
 それも、遠い昔のようだ。結局どうにもならず、どうしようもなかった。
倒産した日の社員の様子は、弁護士や事務員の彼女の話から想像どおりだった。「来月は給料がでない」事態に労働基準監督所に電話したり、弁護士に電話したりかなり動揺したのは言うまでもない。

 突然、姿を消した私らに、携帯電話があるのに7ヶ月経った今も、彼らからは、電話ひとつない。夫にさえ、なぜなのか!?

 素人から資格取得をし、業界で何とか仕事ができるようになった彼らだったが、私に言わせると会社に利益をもたらす意味をわかろうとしない人間だった。
 そんな彼らを、友情だとか身内意識だとかで採用した夫との間に激しいやり取りがあった。止めさせることが出来なければ社員教育で、又は資格で変えようと努力した。だが、人は簡単には変わらない。
 1個の事業が厳しい予算なら逃げ腰、責任のがれにリーダー役をおりる、それでも、製品を何とか顧客に渡せる内に赤字にも慣れたのか、寡黙になった彼ら。今、私の脳裏に浮かぶのは能面のような無表情な彼らの顔だ。彼らとの付き合いは長い---夫は願いを込めて彼らを見守っていたと思う。
 倒産後の10日間の旅は、傷つきくたびれた夫を知ることになった。

 尻たたきの私が、彼らのなぜ?を理解する日がくるのか?
彼らの給料は、回収債権から優先され支払われると聞き、給料台帳も提出した。
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付き合い

2008-01-08 | Weblog
 付き合い。辞書には、役が付く、かたが付く、気が付く、味方に付くとある。何気に付き合いがあるという人間関係は、味方についてくれるとの思いだろう。

 会社を止めると決めてから3週間足らずの間に、家と土地を売却し共同担保の親の土地と家を守るには内密で動かなければならなかった。どれだけの付き合いかよりどんな人間に、信頼をおいてかたが付けられるか(家と土地の売却ができるか)になった。

 まず会ったのは、不動産会社の社長、私には初対面の人間だったが、夫の言うとおり誠実で展望をはっきりと伝えてくれた。2.3日で返事をくれという無理を承知で動いてくれたが、大金を1度に出せる状況はそんなに簡単ではない。会社が、もう駄目だと最初に告げた、この不動産会社の社長は40代の若い経営者だった。

 2日後、私がM&Aにと会社の存続に一縷の望みをかけ模索していた時に、信頼できる人間に紹介された人物に会った。会社概要、2年分の決算書等を用意したが、彼が金融筋の人間だとわかった時点で、緊張が走り3時間程話しをして別れた。
 その彼は、31歳と素晴しく頭の切れるポジティブな人間だった。若いエネルギーは再生を感じさせたが、金融筋の人間に本音は出せない。今、大切なのはこの2週間余りで、家と土地を売却してしまう事!M&Aは、もっと以前に取り組んでいたらと悔やんだが今さらである。

 この件で勇気がでたので、夫の友人にもあった。県内でも3指に入る大型倒産の会社の後処理で忙しい彼だが、情報量があるのでこれも2.3日で返事をくれと、無理は承知で全てぶっちゃけた。
 彼は、長年勤めた会社の破綻処理事務で忙しそうだったが、会社を買ってくれとの話に淡々応じた。知り合いの会社が私らの会社に興味をもってくれるかもと。だが、先立つものは、金である。日1日1日と経つ中で、私らは人に会うことで勇気をつけていった。2日後早い決断をして諦めた。

 最後は、1番大きい相手だ。同業者だが誠実で先見性のある2代目社長とその会社の金庫番である部長にあいたいと願った。その事は、夫には驚きだった様だ。
 私らが会社を立ち上げた30年前から、その素晴しい成長を見てきたその会社は、私にはもっとも信頼できる相手だったのだ。私らが、お願いしようとしている事が、当然迷惑をかけるかも知れないことも頭をよぎった。でも、このままでは夫は駄目になる。きれい事じゃない、生きる術なのだと---。

 私は、この会社の経営陣である素晴しく頭がきれ人間味ある部長を、信頼し尊敬していた。部長の計らいと社長の英断で一気に売却の交渉が進んだ。この付き合いは、今にして思うと私らに100%味方に付いてくれた。

 夫の30年の付き合いが見えた。生涯ありがたいと感謝することになった。

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ECOで地球を救う

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