「し」の映画、結構ありました。
「す」に移りますが、今のところ思いつく映画が少ないです。
「スウィングガールズ」 2004年 日本
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監督 矢口史靖
出演 上野樹里 貫地谷しほり
本仮屋ユイカ 豊島由佳梨
平岡祐太 あすか
中村知世 根本直枝
松田まどか 水田芙美子
竹中直人 白石美帆
小日向文世 渡辺えり子
ストーリー
東北地方のとある片田舎の高校。
夏休みのある日、13人の落ちこぼれ女子生徒たちは教室で数学の補習を受けていた。
その時、補習組の一人、鈴木友子が高校野球予選の応援に行ったブラスバンド部の仕出し弁当が遅れて届いたことに気づき、弁当運びを口実に13人はまんまと補習を抜け出すことに成功する。
だが道中、弁当は長い時間炎天下に晒されてしまい、それを口にしたブラスバンドの生徒たちは、次々と腹痛を起こして入院する事態となった。
たったひとり難を逃れた吹奏楽部の1年生・拓雄と共に、野球部の応援の為にビッグバンドを結成することになった彼女たちは猛特訓を開始するが、やっと演奏の楽しさを知った矢先、吹奏楽部が復活。
17人の夏休みは、不完全燃焼のまま終わっていくのだった。
だが、一度知ったスウィングの楽しさは忘れられるものではなく、大奮闘の末に楽器をゲットした彼らは、隠れジャズマニアだった数学の小澤先生の指導(?)の下、演奏も徐々に様になっていく。
そして、一度は去ったメンバーたちも戻って、“東北学生音楽祭”にも出場して、満員の会場でみごとな演奏を披露するのであった。
寸評
間に「パルコフィクション」をはさんで、「ウォーターボーイズ」から3年の時を経て、矢口監督が再び放つ学園ドラマである。
「ウォーターボーイズ」が男子高校生のシンクロを描いていたのに対して、今回は女子高生によるスウィング・ジャズのビッグバンドを描いている。
どちらも、最初はダメな高校生が、やがては立派な演技者(演奏者)になるといった展開は同じだけれど、本作品のほうがより喜劇的ウェートが高くなっている。
その喜劇性が人情味に支えられているので、言ってみれば「フーテンの寅さん」の世界でもある。
冒頭の補習授業のシーン、弁当を届けるエピソード、悔しさの余り泣き出す友子達にかけるおばあさんの一言など、数え上げるときりがない。劇場は笑いの渦だった。
「グレン・ミラー物語」というスウィング・ジャズの名作があったけれど、あちらがシリアス・ドラマなのに対して、こちらは全くもって愉快なコメディだ。
しかし、これを標準語でやられると鼻につくけれど、山形弁で押し通されるとなんだかほのぼのとした青春ドラマになってしまう。言葉のもつ魔力なのかもしれない。
わかっている結果とは言え、最後に彼女達が演奏する「ムーンラナト・セレナーデ」や「シング・シング・シング」などのスタンダードナンバーに涙が出てしまった。
良江(貫地谷しほり)が鼠のマスコットをトランペットに取り付ける気持ちも良くわかる。
僕はもともとスウィング・ジャズは好きなので、やはりというか演奏が始まると自然と体がスウィングしてしまうし、片足でリズムを取りながら密かに拍手を送っていた。
敵役を作るでもなく、登場する人物がすべていい人たちであることは、方言を駆使した映画として当然の帰結だと感じた。
ヒロインを演じた上野樹里も良かったけれど、僕はドラマーを演じた豊島由佳梨が抜群に面白かった。
彼女のドラム・ソロに映画の中の観客に負けず劣らず拍手を送ったし、ホリゾンライトを浴びて演奏する彼女はカッコよかった。三枚目的役割だっただけになおさらだ。
気弱な関口(本仮屋ユイカ)が一番上達が早かったり、最後に落ち着きを皆に与えるなどは、定石とは言えピタリとはまっている。
ラストの一呼吸置いた後の上野樹里が見せる、「やったあー!」という表情のストップモーションはよかった。
笑顔がこぼれるストップモーションになるまでの、緊張した表情のシーンの長さが、とてつもなく計算され尽くした時間に思え、絶妙のタイミングで切り替わった。
映画を見た帰りの電車の中、女子高生が定期券をドア付近で落としたのを目撃し拾って届けてあげたが、座席に座りヘッドフォンを聞きながら参考書を開く彼女からは一言もなく、この子は勉強疲れかそれとも精神的に死んでいるのかと思った。そんな進学校の女子高生に比べたら、この映画の落ちこぼれ女子高生は、はるかに生き生きとして魅力的だった。
「す」に移りますが、今のところ思いつく映画が少ないです。
「スウィングガールズ」 2004年 日本
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監督 矢口史靖
出演 上野樹里 貫地谷しほり
本仮屋ユイカ 豊島由佳梨
平岡祐太 あすか
中村知世 根本直枝
松田まどか 水田芙美子
竹中直人 白石美帆
小日向文世 渡辺えり子
ストーリー
東北地方のとある片田舎の高校。
夏休みのある日、13人の落ちこぼれ女子生徒たちは教室で数学の補習を受けていた。
その時、補習組の一人、鈴木友子が高校野球予選の応援に行ったブラスバンド部の仕出し弁当が遅れて届いたことに気づき、弁当運びを口実に13人はまんまと補習を抜け出すことに成功する。
だが道中、弁当は長い時間炎天下に晒されてしまい、それを口にしたブラスバンドの生徒たちは、次々と腹痛を起こして入院する事態となった。
たったひとり難を逃れた吹奏楽部の1年生・拓雄と共に、野球部の応援の為にビッグバンドを結成することになった彼女たちは猛特訓を開始するが、やっと演奏の楽しさを知った矢先、吹奏楽部が復活。
17人の夏休みは、不完全燃焼のまま終わっていくのだった。
だが、一度知ったスウィングの楽しさは忘れられるものではなく、大奮闘の末に楽器をゲットした彼らは、隠れジャズマニアだった数学の小澤先生の指導(?)の下、演奏も徐々に様になっていく。
そして、一度は去ったメンバーたちも戻って、“東北学生音楽祭”にも出場して、満員の会場でみごとな演奏を披露するのであった。
寸評
間に「パルコフィクション」をはさんで、「ウォーターボーイズ」から3年の時を経て、矢口監督が再び放つ学園ドラマである。
「ウォーターボーイズ」が男子高校生のシンクロを描いていたのに対して、今回は女子高生によるスウィング・ジャズのビッグバンドを描いている。
どちらも、最初はダメな高校生が、やがては立派な演技者(演奏者)になるといった展開は同じだけれど、本作品のほうがより喜劇的ウェートが高くなっている。
その喜劇性が人情味に支えられているので、言ってみれば「フーテンの寅さん」の世界でもある。
冒頭の補習授業のシーン、弁当を届けるエピソード、悔しさの余り泣き出す友子達にかけるおばあさんの一言など、数え上げるときりがない。劇場は笑いの渦だった。
「グレン・ミラー物語」というスウィング・ジャズの名作があったけれど、あちらがシリアス・ドラマなのに対して、こちらは全くもって愉快なコメディだ。
しかし、これを標準語でやられると鼻につくけれど、山形弁で押し通されるとなんだかほのぼのとした青春ドラマになってしまう。言葉のもつ魔力なのかもしれない。
わかっている結果とは言え、最後に彼女達が演奏する「ムーンラナト・セレナーデ」や「シング・シング・シング」などのスタンダードナンバーに涙が出てしまった。
良江(貫地谷しほり)が鼠のマスコットをトランペットに取り付ける気持ちも良くわかる。
僕はもともとスウィング・ジャズは好きなので、やはりというか演奏が始まると自然と体がスウィングしてしまうし、片足でリズムを取りながら密かに拍手を送っていた。
敵役を作るでもなく、登場する人物がすべていい人たちであることは、方言を駆使した映画として当然の帰結だと感じた。
ヒロインを演じた上野樹里も良かったけれど、僕はドラマーを演じた豊島由佳梨が抜群に面白かった。
彼女のドラム・ソロに映画の中の観客に負けず劣らず拍手を送ったし、ホリゾンライトを浴びて演奏する彼女はカッコよかった。三枚目的役割だっただけになおさらだ。
気弱な関口(本仮屋ユイカ)が一番上達が早かったり、最後に落ち着きを皆に与えるなどは、定石とは言えピタリとはまっている。
ラストの一呼吸置いた後の上野樹里が見せる、「やったあー!」という表情のストップモーションはよかった。
笑顔がこぼれるストップモーションになるまでの、緊張した表情のシーンの長さが、とてつもなく計算され尽くした時間に思え、絶妙のタイミングで切り替わった。
映画を見た帰りの電車の中、女子高生が定期券をドア付近で落としたのを目撃し拾って届けてあげたが、座席に座りヘッドフォンを聞きながら参考書を開く彼女からは一言もなく、この子は勉強疲れかそれとも精神的に死んでいるのかと思った。そんな進学校の女子高生に比べたら、この映画の落ちこぼれ女子高生は、はるかに生き生きとして魅力的だった。