「スケアクロウ」 1973年 アメリカ
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監督 ジェリー・シャッツバーグ
出演 ジーン・ハックマン
アル・パチーノ
ドロシー・トリスタン
アイリーン・ブレナン
リチャード・リンチ
アン・ウェッジワース
ペネロープ・アレン
ストーリー
マックス(ジーン・ハックマン)とライオン(アル・パチーノ)が出会ったのは南カリフォルニアの人里離れた道路。
マックスは6年の懲役を終えて刑務所から出てきたばかりだった。
洗車店を始めるためにピッツバーグへ向かう途中、ちょっとデンバーに立ち寄って、たったひとりの肉親である妹コリー(ドロシー・トリスタン)を訪ねてみるつもりだった。
ライオンの方は、5年ぶりに船員生活の足を洗って、デトロイトに置き去りにしたままの妻アニー(ペニー・アレン)に会いに行くところだった。
今年5歳になる子供がいるはずだが、男か女さえも知らなかった。
その2人は知り合ったとたん気が合った。
こうして2人はコンビを組み、洗車屋を始めるために旅をする事になった。
トラックや汽車を乗り継いでデンバーに着いた2人は早速コリーを訪ねたが、そこで一緒に生活していたフレンチー(アン・ウェッジワース)という女にマックスはすっかりいかれてしまい、ライオンもコリーが気に入った。
意気投合した4人は、これからずっと行動を共にしようという事になったが、町の連中と喧嘩になり、マックスとライオンは30日間の強制労働を課せられた。
それを終えると、2人は連れ立って目的地へ急いだ。
ようやくたどりついたが、アニーは2年前に再婚し、子供は出産直前に階段から落ちたために死んで生まれてこなかった事、洗礼を受けていないその子は地獄に落ちたまま永遠に天国へは行けないだろうと大声でまくしたてたが、それはアニーの悲しい嘘であった。
寸評
ジーン・ハックマンとアル・パチーノの表現力が際立ち、見る者の心にいつまでも残る映画である。
スケアクロウとは案山子(かかし)のことで、劇中でもそのことが語られ二人の人間性を比喩的に表現していたが、別にみすぼらしい人という意味もあるらしい。
二人のスケアクロウ的行動が可笑しくもあり切なくもある。
ライオンは常におどけ、冗談を言っている。
常に冗談を言って自虐的な態度をとることで現実逃避を計っている人間ているものだ。
どこかにコンプレックスを持っていて、それを覆い隠す手段としているのかもしれない。
ライオンはそんな人物である。
ライオンは妻を置き去りにして5年間の船乗り生活をしていた。
生活費を送金していたようだが生まれた子供の性別さえ知らない。
それでも何とか自分を許してもらえるのではないかと思っているふしがあり、いつも小脇に抱えているプレゼント用のリボンがかかった電気スタンドの小箱が象徴的だ。
マックスは傷害事件を起こして6年間刑務所にいた男なのだが、何枚もの服を重ねて着ている。
彼は寒いからだと言うが、寒いのは体ではなく心だという象徴でもある。
なぜか故郷ではなくピッツバーグの銀行に預金していて、事業を始めることを夢見ているが、服役中に事細かな計画をメモしているし、預金の事も手帳に書き込んでいる。
風貌に似合わず神経質な男なのだ。
話は各パートに別れていて、それぞれが二人の人物像を浮かび上がらせるように描かれていく。
二人が出会い、マックスの妹コリーがいるデンバーを目指すパート。
コリー宅にいたデンバーでの出来事を描くパート。
甦生施設に入り強制労働に従事するパート。
そしてライオンが妻と再会するために訪れたデトロイトでのパートで、それらは物語上の起承転結となっている。
マックスは短気でケンカ早いし、ライオンはそんなマックスをなだめる役ばかりだ。
バーで喧嘩になりかけた時もライオンは機転を利かせて止めようとする。
ライオンはそれに乗って、ストリップショーまがいに洋服を脱ぎすてて喧嘩をやめ、お客の喝さいを浴びる。
心をも覆いつくしていた服を脱ぎ捨てるこのシーンはマックスの心の解放の瞬間でもあったのだと思う。
デトロイトについてライオンは妻のアニーに電話する。
旅の初めで、電話するとその時点で断られるのが怖いし子供にも会えなくなってしまうかもしれないので突然行くんだと言っていたことが思い起こされる。
ここでもライオンは自分の心を偽って無理やりひょうきんになるという哀しいシーンが胸を打つ。
広場の噴水を使ったアル・パチーノの狂乱から病院にかけての描写が見事で、マックスはここでライオンへの友情を精一杯示す。
可笑しくもあるがジーンとくる場面で、友情の素晴らしさを見事なまでに表現していたと思う。
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監督 ジェリー・シャッツバーグ
出演 ジーン・ハックマン
アル・パチーノ
ドロシー・トリスタン
アイリーン・ブレナン
リチャード・リンチ
アン・ウェッジワース
ペネロープ・アレン
ストーリー
マックス(ジーン・ハックマン)とライオン(アル・パチーノ)が出会ったのは南カリフォルニアの人里離れた道路。
マックスは6年の懲役を終えて刑務所から出てきたばかりだった。
洗車店を始めるためにピッツバーグへ向かう途中、ちょっとデンバーに立ち寄って、たったひとりの肉親である妹コリー(ドロシー・トリスタン)を訪ねてみるつもりだった。
ライオンの方は、5年ぶりに船員生活の足を洗って、デトロイトに置き去りにしたままの妻アニー(ペニー・アレン)に会いに行くところだった。
今年5歳になる子供がいるはずだが、男か女さえも知らなかった。
その2人は知り合ったとたん気が合った。
こうして2人はコンビを組み、洗車屋を始めるために旅をする事になった。
トラックや汽車を乗り継いでデンバーに着いた2人は早速コリーを訪ねたが、そこで一緒に生活していたフレンチー(アン・ウェッジワース)という女にマックスはすっかりいかれてしまい、ライオンもコリーが気に入った。
意気投合した4人は、これからずっと行動を共にしようという事になったが、町の連中と喧嘩になり、マックスとライオンは30日間の強制労働を課せられた。
それを終えると、2人は連れ立って目的地へ急いだ。
ようやくたどりついたが、アニーは2年前に再婚し、子供は出産直前に階段から落ちたために死んで生まれてこなかった事、洗礼を受けていないその子は地獄に落ちたまま永遠に天国へは行けないだろうと大声でまくしたてたが、それはアニーの悲しい嘘であった。
寸評
ジーン・ハックマンとアル・パチーノの表現力が際立ち、見る者の心にいつまでも残る映画である。
スケアクロウとは案山子(かかし)のことで、劇中でもそのことが語られ二人の人間性を比喩的に表現していたが、別にみすぼらしい人という意味もあるらしい。
二人のスケアクロウ的行動が可笑しくもあり切なくもある。
ライオンは常におどけ、冗談を言っている。
常に冗談を言って自虐的な態度をとることで現実逃避を計っている人間ているものだ。
どこかにコンプレックスを持っていて、それを覆い隠す手段としているのかもしれない。
ライオンはそんな人物である。
ライオンは妻を置き去りにして5年間の船乗り生活をしていた。
生活費を送金していたようだが生まれた子供の性別さえ知らない。
それでも何とか自分を許してもらえるのではないかと思っているふしがあり、いつも小脇に抱えているプレゼント用のリボンがかかった電気スタンドの小箱が象徴的だ。
マックスは傷害事件を起こして6年間刑務所にいた男なのだが、何枚もの服を重ねて着ている。
彼は寒いからだと言うが、寒いのは体ではなく心だという象徴でもある。
なぜか故郷ではなくピッツバーグの銀行に預金していて、事業を始めることを夢見ているが、服役中に事細かな計画をメモしているし、預金の事も手帳に書き込んでいる。
風貌に似合わず神経質な男なのだ。
話は各パートに別れていて、それぞれが二人の人物像を浮かび上がらせるように描かれていく。
二人が出会い、マックスの妹コリーがいるデンバーを目指すパート。
コリー宅にいたデンバーでの出来事を描くパート。
甦生施設に入り強制労働に従事するパート。
そしてライオンが妻と再会するために訪れたデトロイトでのパートで、それらは物語上の起承転結となっている。
マックスは短気でケンカ早いし、ライオンはそんなマックスをなだめる役ばかりだ。
バーで喧嘩になりかけた時もライオンは機転を利かせて止めようとする。
ライオンはそれに乗って、ストリップショーまがいに洋服を脱ぎすてて喧嘩をやめ、お客の喝さいを浴びる。
心をも覆いつくしていた服を脱ぎ捨てるこのシーンはマックスの心の解放の瞬間でもあったのだと思う。
デトロイトについてライオンは妻のアニーに電話する。
旅の初めで、電話するとその時点で断られるのが怖いし子供にも会えなくなってしまうかもしれないので突然行くんだと言っていたことが思い起こされる。
ここでもライオンは自分の心を偽って無理やりひょうきんになるという哀しいシーンが胸を打つ。
広場の噴水を使ったアル・パチーノの狂乱から病院にかけての描写が見事で、マックスはここでライオンへの友情を精一杯示す。
可笑しくもあるがジーンとくる場面で、友情の素晴らしさを見事なまでに表現していたと思う。