平成29年4月9日(日)
政治と軍事が不可分一体の時代に入っていることが、
まざまざと映し出されたのが、
米中首脳会談の影像と同時に流された
アメリカ軍の巡航ミサイルによるシリア空軍基地への爆撃の影像である。
米中首脳会談直前の
5日早朝の北朝鮮による日本海への弾頭ミサイルの発射と
4日のシリアのアサド政権による化学兵器を使った反政府側への空爆、
この期を捕らえて、
六日の米中首脳会談前にシリア空爆命令を発し(16:00)、
予定通り米中首脳の夕食会を開始し(18:30)
ミサイルの着弾(20:30~40)を確認して
大統領自ら横で飯を食っている中共の習近平にシリア空爆を告げ(20:40)
夕食会を終了させた。
この一連の経過を見るとき、
トランプ大統領見事である。
習近平、
横にいるアメリカ大統領が飯を食いながら告げてきた内容に、
胃に入ったものが逆流するような衝撃を受けたのではないか。
政治と軍事が不可分一体とはクラウゼビッツの昔から言われているが、
お互いの女房を両側において、和気藹々というふりをして
杯を挙げ飯を食う首脳夕食会の最中にそれを見せつけるとは、
トランプ大統領見事である。
この空爆は、もちろん、
シリアのアサドとロシアのプーチンの心胆を寒からしめたが、
それ以上に、食卓の横の習近平をゾッとさせ、
北朝鮮の三代目の豚のように肥った独裁者を失禁寸前に追い込んだ。
三代目はこれから、地下百メートルの防空壕でしか眠ることができなくなるだろう。
しかし、地下から地上に出る通路が塞がれることが心配になれば地下の方が眠れなくなる。
このような命令を下して何食わぬ顔をして飯を食っていたトランプという男が、
後の首脳会談で、習近平に、
北朝鮮において「独自の行動をとりうる」と明言したのだ。
効果抜群である。
これが、日本の迎賓館での首脳夕食会だったら、
どうなっているかと思えば、
如何に見事かが分かる。
日本では、その前も、食事中にも、食後も、首脳会談終了後も、
「情報収集に努めている」だろう。
そして、いくら情報が集まっても、空爆の命令はない。
拉致問題でもそうだ。
いくら情報が集まっても、救出の命令はない。
ところで、
米中の首脳が、それぞれ横に女房をおいて写真を撮らせていたが、
これが異様だった。
トランプ大統領の奥さんは、恐ろしい顔でカメラを真っ正面に見つめていて、
習近平の奥さんに一瞥も与えていない。
むしろ一瞥を拒否する剣幕であった。
女房同士で何があったのか、
そんなことは分からんが、
トランプ大統領の女房はオバマの女房とは違うということは分かる。
オバマの女房は娘とともに中共に接待されて、
国益のことは眼中になく、
得意になってシナの名所を大名旅行させてもらっていた。
トランプ氏の奥さんは、このタイプと違うことを願う。
とはいえ、あの異様な集合写真を見れば、
トランプ氏は、恐ろしい女を後妻にし、苦労しているのかも知れない。
さて、
トランプ大統領は、六日の16:00にシリア空爆命令を発し、
巡航ミサイル五十九発はシリアのシャイラト空軍基地に20:30~40に弾着し、
シリア空軍の二十機の戦闘機を撃破し、狙った格納庫を全て破壊した。。
ということは、アメリカ海軍の駆逐艦は地中海のシリア沖に展開していて、
いつ何時命令が発せられても、直ちに攻撃を開始できる体制にあったということだ。
つまり、アメリカ軍は、シリアの軍事施設を常に正確にピンポイント爆撃ができるように把握していたということだ。
そこで、我が国周辺に目を転じれば、
三月一日から朝鮮半島周辺で、米韓合同演習が展開されており、
海にはロナルド・レーガンとカールビンソンのツーセットの原子力空母打撃群、
イージス艦、原子力潜水艦が展開し、
空にはステルス戦闘機、シテルス爆撃機が飛んでいて、半島の陸には、
2011年5月2日、パキスタンに潜入してオサマ・ビン・ラーディンを殺害したネイビー・シールズが入っている。
まさに、朝鮮半島周辺こそ、いつ何時命令が発せられても、
直ちに攻撃目標を確定し攻撃を開始できる体制即ち戦闘体制にある。
では、何故、トランプ大統領は、
地中海の駆逐艦にシリア空爆命令を発するとともに、
朝鮮半島周辺に展開するアメリカ軍に対して、
北朝鮮の金正恩に対する先制自衛・限定爆撃を命令しなかったのか。
地中海の駆逐艦からは五十九発の巡航ミサイルを撃った。
現在の朝鮮半島周辺のアメリカ軍からは巡航ミサイルだけで千発撃てるではないか。
また過激なことを言う、と思われるか。
しかし、
我が国こそ、
この問題意識をもってアメリカのトランプ政権に対処するべきである。
この問題意識を持てるのは、遠い彼方のNATO諸国ではない。
朝鮮半島のと五十キロしか離れていない我が国ではないか。
我が国が、この問題意識を持たずして一体何処が持つのか。
北朝鮮当局は弾道ミサイルを発射した五日、
次のように表明している。
「今一度警告しておく。
我が軍の攻撃手段は米本土まで射程に収め、
常時、発射待機状態にある」
北朝鮮の攻撃手段は日本本土まで射程に収めていることは確かだが、
今はまだ、米本土まで射程には収めていない。
しかし、放置すれば、近いうちに警告通り確実に米本土を射程に入れる。
この北朝鮮内の流れを切断するのが、
アメリカが検討している断首作戦ではないか。
私は、北朝鮮情勢に関して、米中首脳会談に期待して、
そちらに任すというような雰囲気になっている日本政治の状況を憂える。
これを他人任せという。
こともあろうに、中共に任せて我が国家と国民の安全があろうか。
これでは、我が国は、
シリアのアサド政権軍からサリンを撒かれる
反政府地域に住む無防備な住民と、完全に同じではないか。
確かに我が国は、九条のお陰で、
巡航ミサイルを保有しない、ピンポイント爆撃をする情報も保有しない。
しかし、今からでも遅くはない。
我が国は、主体的に対処すべきである。
まず、アメリカのマティス国防長官と
軍事作戦を軍事用語で打ち合わせることができる防衛大臣を
自衛隊OBから抜擢すべきである。
その上で、
早急に両国の国防大臣と幕僚長らが一堂に会して日米の共同作戦を作成し、
日米共同の「対北朝鮮、先制自衛・限定爆撃作戦」を実施すべきである。
一九七七年(昭和五十二年)の秋、
アメリカは、自国には届かずNATOにだけ届くミサイルを
シアターミサイルつまり劇場のミサイル
と呼んでいた。
アメリカは、劇場での観劇のように、
NATOに落ちるミサイルを見物できるからだ。
その時、ソビエトが中距離核弾頭ミサイルSS20即ちシアターミサイルを
NATOに向けて実戦配備した。
此の事態に対して、西ドイツ首相のヘルムート・シュミットは、
断固として自らバランスの回復に乗り出す。
即ち、ソビエトのSS20に対して、
アメリカから中距離核弾頭ミサイル、パーシングⅡを導入して
ソビエトに向けて実戦配備し、「相互確証破壊」の体制を造った。
つまり、ソビエトがSS20を撃てば、
ソビエトの首脳はパーシングⅡによって確実に殺すという体制を造ったのだ。
北朝鮮の三代目もそうだが、ソビエトの独裁者も、およそ独裁者は、
殺されるのを何よりも怖がる。
従って、このパーシングⅡを向けられたソビエトはSS20の撤去に応じたのだ。
この時、我が国の総理大臣は福田赳夫さんだったが、
同時期に、ダッカ日航機ハイジャック事件で
全て犯人の要求にしたがった「超法規的措置」を講じていた。
その同時期に、フルトハンザ機をハイジャックされた西ドイツのシュミット首相が、
犯人の要求を拒絶して軍の特殊部隊をルフトハンザ機内に突入させて犯人を射殺して人質全員を救出したこと、さらに、まさに同時期、
そのシュミット首相が
SS20に対してパーシングⅡを導入して
「相互確証破壊」の体制を構築して自国を守ろうとしていたことに目をつぶった。
軍事に目をつぶるのが「戦後」だった。
しかし、安倍総理は、
まさに「戦前」となった今、
目を見開いて我が国を狙う中距離核弾道ミサイルを見つめ、
西ドイツのシュミット首相に学ばねばならない。
我が国を狙う核弾道ミサイルは、何処にあるのか。
それは中共の各所に多数実戦配備されているではないか。
そして、北朝鮮の独裁者が保有する寸前にいる。
六日の朝に、安倍総理が電話でトランプ大統領に何を話したか知らないが、
ぼつぼつ、アメリカに対して、
日本に届く中距離核弾頭ミサイルを、
昔通りに今も「シアターミサイル」(劇場のミサイル)と思っているのではなかろうな、
北朝鮮は、もうすぐ、アメリカ本土の近くに飛ばし始める、
従って、
そちらのNSC(国家安全保障会議)が検討している北朝鮮に対する断首作戦を
日米共同で展開しよう、
同時に、中共の核弾頭ミサイルに対抗する核弾頭ミサイルを我が国に貸してくれ、
と近いうちに電話でトランプ大統領に伝えるべきである。
なお、西ドイツのシュミット首相が、
SS20に対してパーシングⅡを導入しようとしたとき、
西ドイツを中心に大規模な配備反対・核反対の市民運動が巻き起こった。
シュミットは、その反対運動にびくともせずに、パーシングⅡを導入した。
しかし、後にソビエトが崩壊した後、
その市民運動は、ソビエトが仕組んだ工作活動の結果だったことが判明した。
安倍総理が、
私が申した方向に動き始めるとき、
その阻止運動が、子供を連れた女性の運動、学生と市民の運動として巻き起こり、
沖縄基地反対闘争も激化する。
しかし、今から見抜いていてほしい。
これらの市民運動は、
確実に、中共と北朝鮮の日本国内で仕掛ける工作活動であり、
それに国内の共産党や社民党や民進党や左翼団体が合わさったものである。
西村眞悟の時事通信より。