平成28年12月13日(火)
昨日十二日に、沖縄本島において仕掛けられている事態を記したので、
次ぎに北方領土について書きたい。
この遙か離れた南と北のことを、無関係で繫がりがないことと思ってはならない。
まず共に、我が国の南と北の「国内」において起こっている事態である。
しかも、この南を狙う中共と北を占拠しているロシアが、
別個に動いていると思ってはならない。
北のロシアも、南の沖縄を狙い、
南の中共も北の北方領土を狙っている。
中露はともに連動して、
我が日本を周回する海洋と空の覇権を握ろうとしている。
この推移を放任すれば、その内、
中共が、我が領土の国後・択捉にシナ人を大量に入植させるであろう。
本年、我が国の先島諸島沖領海を、
まずロシアの軍艦が通過し続いて中共の軍艦が通過した。
その上で、六月、中露両国海軍は、南シナ海で合同軍事演習をしている。
既に対馬海峡から津軽海峡と宗谷海峡そして西太平洋は、
中露両海軍の日本周回コースである。
また、我が国の領空には、
中共とロシアの軍用機が盛んに接近し、
平成二十七年の我が国領空に接近する中露の軍用機に対するスクランブル発進回数は、
中共軍機に対して571回、ロシア軍機に対して288回。
七年前の平成二十年には、それぞれ237回と193回であるから、
中露両国軍機は、近年急速に我が国領空への接近を増やしている。
また、昭和六十二年(1987年)十二月、
我が国の沖縄本土領空をソビエト軍用機が侵犯したことを忘れてはならない。
ソビエト空軍のTU16偵察機バジャーJが、
南から北に沖縄本土のアメリカ軍基地と空自基地上空を通過した。
普通の国なら無警告で直ちに撃墜しなければならないそのバジャーJに対して
我が空自のF4ファントム戦闘機二機が警告射撃を行った。
これは東京の政府ではなく、沖縄の空自南西混成団の殊勲である。
仮にF4がアメリカ軍基地上空を侵犯しているバジャーJに対して
警告射撃をしなかったならば、
アメリカ軍の我が国に対する信頼は地に落ち、日米亀裂の要因になったであろう。
この流れの中で、
現在、南で中共が尖閣諸島領有の為の軍事行動(威嚇)を繰り返し、
北の国後・択捉の我が領土においては、
ロシアが既に軍事基地を建設している。
以上の事態を総合すれば、
現在、中露両国は、連動して、東シナ海から時計回りに
対馬海峡、日本海、オホーツク海そして西太平洋という日本周回の海と空を
制圧しようとしている。
これはロシアのプーチンにとって、
日露戦争の原因となった帝政ロシア以来の大海原への野望の実現であり、
中共にとっては、
日本を屈服させて東アジアに中華秩序を建設する妄想の実現である。
その為に、中共は、尖閣諸島に軍事行動の気配を強めつつあり、
沖縄本島においては、
中共に仕掛けられた人の売国左翼が米軍基地反対闘争を繰り返して、
東アジア安定のための戦略的要衝である沖縄における
日米の軍事抑止力を低下させようと仕組み、
北方においては、
ロシアのプーチンが軍事基地を建設しつつ、
我が国から資金を取ろうとしている。
つまり、ロシアは、我が国の資金で
我が国を制圧する経済力と軍事力を建設しようとしているのである。
これはかつて中共が味を占めた手口であり、
既に種の開いた国際的詐欺であるが、
プーチンは、堂々と、我が国にそれを繰り返させるために、
安倍さんの住んで育ったこともない「故郷」山口県に現れるというカラクリである。
以上が、現実に中露によって行われている軍事行動によって明かな
来日するロシアのプーチンの意図である。
ここで改めて海洋国家である我が国の南と北の聖なる領土の面積を確認したい。
沖縄本島 1206・96Km 人口129万人
国後 1489・27Km
択捉 3166・64Km
歯舞群島 100Km
色丹 253Km
ここにおいて、改めて知るのは、
国後と択捉の沖縄本島を遙かに超える広大さと、
「北方四島」という呼称が、
我が国を謀略的に騙す為に使われているということだ。
国後・択捉・歯舞・色丹の領土における
歯舞と色丹の面積比は7%である。
この7%の歯舞・色丹を日本に返還することを、
プーチンがかつて「柔道の引き分け」と「言った(この頃言わない)」。
日本の中にも、この「引き分け」論者が出ている。
7%と93%が、何故、引き分けなのか。
引き分けであるはずがないではないか。
強盗が奪ったものを7%返すと「言った」ので、
それで満足して強盗に援助する馬鹿が何処におる。
世界が嘲笑する。
この馬鹿が安倍さんであってはならないのだ!
百人が北朝鮮に拉致されているのに、
七人だけ解放されて九十三人を見捨て、
北朝鮮と国交を結んで巨額の資金を渡すことと同じであるからだ!
いま何故、
このプーチンが「言った」にカギ括弧を付けたのか。
ロシアのプーチンが「言った」ことを実行すると思ってはならないからである。
昔から言われているではないか。
ロシア人は約束を破るために約束をする、と。
つまり、プーチンの「引き分け」に乗って金を払い「平和条約」を結ぶことは、
国後・択捉・歯舞・色丹の全島を永遠に放棄することだ。
では何故、ロシアのプーチン大統領は実に度々安倍総理と会見し、
この度、笑って来日するのか。
次ぎに、ロシアというものが、その版図を東の太平洋沿岸にまで広げて以来、
ユーラシアの東と西で、
それぞれどういうポーズをとってきたか、その歴史を観てみよう。
①1853年~56年、
クリミア戦争でロシアは、イギリス、フランス、トルコを相手に戦って戦費を使い果たし経済が疲弊する。
その時、ロシアは東のアラスカをアメリカに売却した。
西の戦争→東のアラスカ売却
②1939年5月~9月3日
モンゴルのノモンハンの草原でロシア(ソ連)軍は日本軍と戦った。
我が国の歴史教科書では、ノモンハンでの対ソ戦で、我が国は壊滅的打撃を受けたように教えられている。しかし、この日ソ戦で、一個師団わずか二万人の日本軍が、ジューコフ将軍率いる二十三万のソ連軍に甚大な損害を与えたのだ。
双方の死傷者数は、日本軍一万七千四百五名に対しソ連軍二万五千五百六十五名である。
我が陸軍航空隊は五月だけで百七十九機のソ連軍機を撃墜し、
我が軍の損害はたった一機(パイロット無事脱出)である。
そして八月までに日本軍が撃墜したソ連軍機は千六百七十三機に及び日本軍機の損害は百七十九機にすぎない。
また、日本軍に破壊されたソ連軍戦車は八百台で日本軍の戦車は二十九台が破壊されただけであった。
つまり、ノモンハンでソ連軍のジューコフ将軍の創設した戦車と航空機からなる機械化部隊は壊滅したのである。
その上で、日本軍は十万の増援部隊をノモンハンに送り込もうとしたのである。
それを知ったスターリンは、一個師団二万人の日本軍から、二十三万のソ連軍が機械化部隊壊滅の大打撃を受けているに、この上、十万の日本軍増援部隊を相手に戦えば、
ノモンハンでソ連軍は壊滅し、外モンゴルもソ連の支配から離れてゆくに違いないと判断した。
それでスターリンはどうしたのか。
直ちにドイツのリッペントロップ外相を通じてドイツのヒトラーに停戦の仲介を依頼し、八月二十三日、独ソ不可侵条約(モロトフ・リッペントロップ協定)を締結した。
東の戦争→西の独ソ不可侵条約
③1941年4月13日
ドイツのヒトラーは、独ソ不可侵条約を無視してモスクワ攻略のバルバロッサ作戦を発動してドイツ軍がモスクワに迫った。
その時、ノモンハン事件で日本軍に対する恐怖心が身に染み込んでいるスターリンは、
日ソ中立条約を締結して極東軍を西のモスクワに投入してドイツ軍をモスクワから後退させた。
西の戦争→東の日ソ不可侵条約
④1945年8月8日
スターリンはドイツ降伏によってドイツからの脅威が消滅したので、安心して日ソ中立条約を破って満州に攻め入って対日戦争を開始した。
東の停戦→西の戦争
以上、ロシア(ソ連)における
ユーラシア大陸の西と東で起こった事態に対する
西と東におけるそれぞれ連動する戦略を観てきた。
では、現在のプーチンの日本訪問を如何に観ればいいのか。
プーチンは、このロシア(ソ連)の伝統通りに動いている。
即ち、
西のクリミア併合による経済封鎖とシリア問題(戦争)→東の対日接近
従って、プーチンは、現在、
西のヨーロッパ方面におけるドイツのバルバロッサ作戦に直面して、
東の日本と日ソ中立条約を締結したスターリンと同じ行動をとっているのだ!
そこで、そのプーチンという人物に関して適切な説明を
十年間ソ連の収容所に閉じこめられていた内村剛介氏の著書「ロシア無頼」の中で見つけたので記しておく。
プーチンは、1952年、レニングラードの労働者の家庭に生まれた。
16歳でソビエト社会でのし上がるためには共産党に入党して
KGBに入るしかないと見極め、レニングラードKGB本部に採用を申し込む。
そして、大学卒業後にKGBに入り、
諜報活動、工作活動を習得し、エリート・コースに乗る。
そして、ソ連崩壊後、
政敵を毒殺すること、暗殺することを辞さず、
ジャーナリズムを恐怖で支配して大統領への道を登ってきた。
やはり、独裁者なきロシアなどあろうか。
これがロシアである。
そこで内村氏の記述通り、
これがプーチンである。
「無理難題にたじろがず、手段を選ばない者が共産主義的エリート・コースに乗る、
・・・そしてこのオルガナイザーは、なにもののまえでもたじろがないから、
当然、親友を裏切ることを屁とも思わない。
オルガナイザーは裏切り者でなければならない。」
では、最後に、
このプーチン、そして、ロシアに対して、
我が国は、如何なる態度をとればいいのか。
まず、報道されるように、日露間の経済交流が主要課題ではない。
それは、従であり、主要は、北方領土返還である。
従って、決してこの主要課題で譲歩してはならない。
決して「引き分け論」に乗ってはならない。
そして、
クリミア戦争の時、ロシアは東で領土を売った。
独ソ戦バルバロッサ作戦の時、ソ連はいそいそと日ソ中立条約を締結しに来た。
今ロシアは、西でクリミア問題・シリアの戦争を抱え
西側から経済制裁を受けている。
このことを想起すべきである。
決して、我に不利な情勢ではない。
ロシアは、西でくたくたになれば、東で宥和する。
よって、安倍相に言う。
西での苦境と経済の低迷で、プーチンは、必死だ。
よって改めて、プーチンに、
奪われた領土の返還に関して妥協の余地はないことを明言し、
領土返還がなければ、経済支援はびた一文あり得ないことをハッキリと示すことだ。
これは、「政治家の決断」の領域である。
従ってまず、国内の外務省路線からの脱却が必要である。
その上で、領土返還がなければ、
そう、交渉決裂!
であることを、
プーチンに思い知らせることである。
以上は、口を使ってすることである。
そこで、その口と連動して為すべきロシアと中共に対して最重要なことを言う。
それは、手に棍棒。
つまり、北海道と南西方面における早急なる軍備(抑止力)増強だ!
西村眞悟の時事通信より。