ザ・リバティWEBより
津波の犠牲者「9割が溺死」の教訓 2011.03.19
今回被災した岩手県陸前高田市の死者126人について、千葉大の岩瀬博太郎教授(法医学)が死因を調べたところ、9割が津波による溺死だったことがわかった。死亡した後に、津波で流された木材などにぶつかって骨折したとみられることから、溺死と判断したという。19日付読売新聞が伝えている。
痛ましいのは126人中、高齢者を中心に約50人がシャツやジャンパーなど7~8枚を重ね着しており、なかには印鑑や保険証、写真アルバムなどを入れたリュックや非常食のチョコレートを持っていた遺体もあったという。
寒い避難生活のための衣服や貴重品、思い出の品を持ち出したい気持ちは十分わかる。だが、いざ津波が迫れば厚着やリュックは身動きの自由を妨げ、肝心要の命を守れない恐れがある。厚着や荷物を用意する時間でもっと高い場所や遠くに逃げていれば、助かった人もいたかもしれない。
大川隆法総裁はかつて、悩みや緊急の場合における「捨てることの大切さ」を説いた。たとえば洪水で、家財道具を積んで逃げた船が沈みそうになった場合、「やはり荷物を捨てざるを得ないでしょう。そうしないと命を失うという場合には、命あっての物種なので、荷物を順番に捨てていくしかありません」(『奇跡の法』第1章)として、家財道具はもちろんお金や災害保険証書、はいている靴も捨てなければならない例を挙げている。
災害では一瞬の判断が生死を分ける。お金も証書もアルバムも大切だが命には代えられない。犠牲者から学ぶせめてもの教訓として、いざという時はそれらに執着せず、すべてを捨てて身一つで生き抜く覚悟を日頃から持っておきたいものである。(司)
今回の津波の犠牲者の9割が骨折だったことは、民主党政権が否定した「コンクリート」が、やはり大事だったことを示してもいる。津波が引いた後の被災地の映像を見れば分かるが、残っているのはコンクリート製の建物ばかりであり、報道のヘリコプターに向かって、旗を振るなどして「SOS」を求める人々がいたのは、コンクリート製の頑丈な病院や公的施設の屋上だった。岩手県普代村には高さ15メートルの水門があったため、その内側の地域の被害は少なかったという。
民主党政権は、これまで防衛関係費や八ツ場ダムやスーパー堤防などの公共事業の予算を減らしたり凍結してきたが、今後の震災復興では、津波を防ぐ高さ20メートルの堤防や、一定の重量がある建物の高層化など、津波被害を防ぐ「コンクリート」にこそ投資すべきだ。それが「人」を守ってくれる。(格)