ジーン・ウールの不思議な旅

ジーン・ウールは不思議な女性です。姿を変えて過去にも未来にも現れます。
もしかしたら貴方の友人や奥様かも知れません。

『マレーシアとイスラム教』 その2

2011-09-29 22:43:30 | ご講話・ヘラトリ・リバティ 

『マレーシアとイスラム教』
(その2)

(本稿は、2011年9月27日北海道正心館七の日講話のエッセンスをまとめたものです。)

涙ぐましい努力?

 二点目に、イスラム教は、少なくともその発祥時においては、
「キリスト教、ユダヤ教と両立・融和できるように、涙ぐましいまでの努力をしていたことが、『コーラン』を読むとよくわかる」ことを挙げたいと思います。

「モーセやイエスに降りた神と同じ神(アラー)が、ムハンマドに臨んだ。そして、ムハンマドが最後の(但し最大の)預言者であった」というのが、イスラム教の立場であることは、ご存じの方も多いと思います。

実際、それを実証するために、『コーラン』を読むと、おびただしい量の新約・旧約の聖書からの引用(特に旧約からの)が出てくることに驚かされます。
前述の井筒俊彦教授によると、「日本人で、『コーラン』を一番良く理解できるのは、キリスト教徒だろう」という話があるくらいで、実際、聖書に関する基礎知識がないと、ちょっと分かりづらいだろうと思われる気もします。

『コーラン』は全部で114章あるのですが、その中に、「ヨセフ」(ユダヤ教3代目の族長)だとか、「アブラハム」(初代開祖)だとか、「聖母マリア」だとか、「天使」という名前を付された「章」が、続々と登場してくると、「これは一体、聖書の解説書なのか?」と思ってしまうくらいです。

「同じ神の啓示なのだ」ということを、繰り返し、繰り返し、その中で述べているのですね。
第19章が、「マルヤム」(聖母マリア)という章なのですが、そこでは、「まだ子供だったイエスが、"私はアラー〔主〕の僕(しもべ)です"と言ったのだ」とか、「モーセは、実に誠実な預言者であった(私(アラー)の言葉をよく伝えた)」という話が出てきます。

さらには、イドリースという人物のことを褒めたたえ、「彼は実に正直な預言者であったので、我々(アラー)が、彼を高い世界に昇らせて(還らせて)あげた」という話が出てきます。イスラム教の神秘主義(スーフィズム)の方では、「この"イドリース"というのは、ヘルメスのことだ」と説明されているのですね。

以前も渋谷精舎でお話したことがありますが、世界の三大宗教は、表の顕教(けんきょう)は、それぞれ別の顔をしていますが、密教の部分(キリスト教→グノーシス派・一部ヘルメス思想/イスラム教→スーフィズム/仏教→真言密教)は、相互につながっています。
「南インドで密教を興したときに指導したのは、実はヘルメスである」というお話は、中国正心館の御法話の中に出てきます。

「スーフィズムを興したときに指導したのは、ヘルメスとオフェアリスである」というお話は、沖縄正心館の御法話の中にありますね。
そして、スーフィズム自身の中で、「ユダヤ教の中に登場してくるヘルメスの名前を挙げて、「これが実はイドリースのことなのだ」とした上で、これらの霊存在の霊界での名前が"ヘルメス"である」ということを言っているのです。

同じく沖縄正心館の御法話の中で、「ムハンマドに"塹壕戦"と"弓の一斉射撃"というインスピレーションを与えて、絶対勝てないと思われた戦い(624年の"バドルの戦い"と思われる)に勝利をもたらしたのは、ヘルメスである」とありましたから、このスーフィズムの主張には、説得力があります。

それから、中東に関心の薄い日本の国では、あまり知られていませんが、622年のムハンマドによる、メッカからメジナへの「ヒジュラ」(聖遷:転戦のこと、実際はメジナへの脱出)というのがありますが、このイスラム教を立て直したメジナという場所は、実は、ユダヤ教徒の町だったのです。
そこでユダヤ教と共存しながら、ある時は彼らを味方につけ(最終的には離反)、ある時は協力を得ながら、多神教(クライシュ族)の聖地だったメッカへの反転攻勢を期していたのですね。

その過程で、随分、ユダヤ教徒(キリスト教徒)への説得・融和が試みられ、その努力の跡が『コーラン』の内容にもにじみ出ているわけです。
(しかし、ユダヤ・キリスト教徒からの迫害は止まず、最終的には彼らを責めることになってしまったのは、「ムハンマドの霊言」で説明があったとおりです。)


意外と自由にやっている

 ここまで理知的な話が続きましたので、多少"閑話休題"的な話をしますと、皆さんも、イスラム教というのは、「ガチガチの戒律で大変だ」という印象があるでしょう。
確かに、原理主義的な宗派の一部には、そういうところもありますが、最近会内でも、中東に出かけて行って、彼らに啓蒙(伝道?)する人が増えてきましたので、その方々のお話を聞くと、「意外とそうでもない」というのですね。

特に、石油王等の大富豪であるとか、最近は、欧米や日本とも取引をする経営者なども多いですから、そういうセレブ系の人達の場合は、こっそり教えてもらったところによると、
「メッカの方角に向って、日に5回(ムハンマドの時代は3回だった)やる礼拝は、実際には1回しかやっていない人が多い」のだそうです。
これは分かる気がします。私も長い間密かに、「5回もやったら、仕事にならないだろう」、
「その間に、ライバル・メーカーにお客さんを取られてしまうではないか」と思っていましたので、こういうバランス感覚(常識)が働くというのは、よく分かります。

一回目の「ムハンマドの霊言」にもありましたけれども、特に欧米・日本と仕事上の関係を持っている人達は、「自分達の教え(戒律)の限界をよく理解しており、幸福の科学の主張する「宗教の時代適合性」という考え方が、よく分かる人達だ」とありました。
そういえば、昨日(9/26)も、「サウジアラビアの国王が、とうとう女性の選挙権と立候補権を認めた」という報道が、世界を駆け巡っていましたが、これなどもまさに、「自由の神」(エル・カンターレ)の力が、背後で働いているのを実感させる出来事です。

エジプトやリビアの動きを見れば、「先手を打って、自由化・民主化の動きを取り込んでいかないと、自分達自身が追い出されてしまう」と考えていることが、よくわかります。「ムハンマドの霊言」でも、「政治・軍事と宗教を切り離す(一体となった体制は解体する)ところまでは持っていく」と言っていましたから、その流れの中で、思想信条(信教)と言論の自由が生まれてくる未来を見据えて、我々も、啓蒙(伝道)活動に取り組まなければならないでしょう。
(「その3」に続く)


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