29.
その時、彼の妻は、ウトナピシュティムに語った。
「あの若者は荒野を旅してここまでやって来ました。彼は疲れ切り、体力も消耗しています。だけど、あなたが死と生の秘密の〈回答〉を与えたので、彼は自分の国に帰るのですか。」
ギルガメシュは櫂を持ち上げ、舟を岸辺から遠ざけようとしていた。
ウトナピシュティムは、ギルガメシュをじっと見、やがて彼を呼び止めた。
「ギルガメシュよ、お前はここまでやって来て、疲れ切り、消耗している。
わしがお前に死と生の秘密の〈回答〉を与えてもいないのに、あきらめてお前は帰ろうとするのか。
死んだ人間以外でここまで来れたのは、神々のみだった。おまえは3分の2が神、3分の1が人間の身体だ。そのおまえが今ここまで来れたということは、おそらく意味のあることに違いない。
ギルガメシュよ、わしは隠された事柄を明かそう。
生命の秘密をお前に語ろうぞ。
その根が刺藪のような草がある。その刺は野バラのようにお前の手を刺す。もし、この草を手に入れることができるなら、お前は不死の生命を見出すだろう。
その草は深淵のなかにある。その深淵の底までたどり着けるなら、おまえは老いたる者が若返る、死と生命の秘密を手に入れることが出来るだろう。しかしギルガメシュよ、何があっても決して口をきいてはいけない。何も喋ってはいけない。言葉を発するとおまえは深淵に捕らえられ、二度と戻ってくることはあるまい。」
その時、彼の妻は、ウトナピシュティムに語った。
「あの若者は荒野を旅してここまでやって来ました。彼は疲れ切り、体力も消耗しています。だけど、あなたが死と生の秘密の〈回答〉を与えたので、彼は自分の国に帰るのですか。」
ギルガメシュは櫂を持ち上げ、舟を岸辺から遠ざけようとしていた。
ウトナピシュティムは、ギルガメシュをじっと見、やがて彼を呼び止めた。
「ギルガメシュよ、お前はここまでやって来て、疲れ切り、消耗している。
わしがお前に死と生の秘密の〈回答〉を与えてもいないのに、あきらめてお前は帰ろうとするのか。
死んだ人間以外でここまで来れたのは、神々のみだった。おまえは3分の2が神、3分の1が人間の身体だ。そのおまえが今ここまで来れたということは、おそらく意味のあることに違いない。
ギルガメシュよ、わしは隠された事柄を明かそう。
生命の秘密をお前に語ろうぞ。
その根が刺藪のような草がある。その刺は野バラのようにお前の手を刺す。もし、この草を手に入れることができるなら、お前は不死の生命を見出すだろう。
その草は深淵のなかにある。その深淵の底までたどり着けるなら、おまえは老いたる者が若返る、死と生命の秘密を手に入れることが出来るだろう。しかしギルガメシュよ、何があっても決して口をきいてはいけない。何も喋ってはいけない。言葉を発するとおまえは深淵に捕らえられ、二度と戻ってくることはあるまい。」